末尾の名文



源平合戦供養塔(屋島山頂にあります)


長尾一雄の『能百番』は、「八島」の末尾を謡曲文中屈指の名文としています。

シテ「今日の修羅の敵は誰そ、なに能登の守教経とや、
あらものものしや。手並は知りぬ。思ひぞ
出づる壇の浦の、
地「その舟戦今ははや、その舟戦今ははや、閻浮に帰る生
死の、海山一同に震動して、舟よりは鬨の声、
シテ「陸には波の楯、
地「月に白むは、
シテ「剣の光、
地「潮に映るは、
シテ「兜の星の影、
地「水や空、空行くもまた雲の波の、打ち合ひ刺し違ふる
舟軍の駆け引き、浮き沈むとせ
しほどに、春の夜の波より明けて、
敵と見えしは群れゐる鴎、鬨の声と聞えしは、浦
風なりけり高松の、浦風なりけり高松の、朝嵐とぞなりにける。
〔詞章は、小山弘志・佐藤健一郎校注・訳『謡曲集』1(『新編日本古典文学全集』58、小学館、1997年〕

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