上の写真は東京都を流れる隅田川、能「隅田川」の舞台です。撮影場所の近くに、この能の子方梅若丸の塚があります。ある年の3月15日、隅田川の渡守は、都から下ってきた狂女に船賃として舞いを所望します。狂女は在原業平の古歌を引きつつ狂い、乗船します。向こう岸から聞こえてくる念仏の声のいわれを渡守が船中で説明します。それによれば、去年の3月15日に人買いにさらわれてきた子どもがこのあたりで息絶え、今日が命日なので大念仏が行われているとのこと。狂女は死んだ子が自分の息子ではないかと思い、渡守に今一度いきさつを訊ねると、まさにわが子梅若丸で、彼女は泣き伏します。塚に案内された彼女が念仏を唱えると、少年の亡霊が現れ、駆け寄って抱こうとしますが、亡霊は消え失せます。この能は世阿弥の息子元雅の作品です。世阿弥の物狂能は一般にハッピーエンドですが、元雅はその枠組みを破ったことで注目されています。
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