フランドールでも分かる小銃発展史



後編そのに



【登場人物】

毒虫(毒)
 本企画の解説役。巨大なお乳をこよなく愛する美少女ゲーマー。
 筆者とは何があっても別人なのだが、名前が同じでややこしい。
 なお、彼のいでたちは単なるファッションであり、
 特定の思想を持つ実在の団体とは一切関係ない。
 みかりんからは“センセ”と呼ばれているが、大して尊敬されてない。


アンドロイドM(M)
 毒虫くんの助手。自称“みかりん”。
 ぱっと見玉乃ヒカリ某ゴージャス姉妹三女風味の美女。
 お乳の大きさはゆうにハンドボール大を越える。
 実は長さ10インチの陽根を誇るオカマちゃん。
 元自衛官にして白兵戦のプロ中のプロ。
 ドイツ大好き。毒虫くんのことはもっと好き。


CHAPTER.7   兵士が見た地獄の原風景


M「というわけで、ここからはセンセお得意のヴェトナムねた全開ですわね♪ ごーごー☆」

毒「まあだいぶはしょるけどね。
  さてご存知のように、アメリカは60年代半ばあたりから、
  南北ヴェトナムの内戦に本格介入を始める。
  それに対し、とにかくアメリカの嫌がることをしたいから
  主にイデオロギー上の理由により、共産主義をかかげる北ヴェトナム軍と、
  いわゆるヴェトコン―――南ヴェトナム民族解放戦線に、
  中ソから種々の軍事援助が与えられる

M「具体的には、軍事顧問を送ったり、各種兵器を送ったのですわ〜。
  AKも、その流れでソ連から北に渡されたんですの?」

毒「いや、だいたいソ連が重火器、中国が軽火器を供与した。
  だから、北ヴェトナム軍やヴェトコンが主に使っていたのは
  中国製のAK47・・・・・・五六式自動歩槍だね。
  あと、中国製SKSカービン、五六式半自動歩槍も多数供与されている。
  まあソ連製も、ぼつぼつまじってたんだけどね」

M「似たようなモノ、といいたいんですが、
  中国製AKには、重いだけでクソの役にも立たない、
  折りたたみ式のスパイクバヨネットがついてますぅ☆」

毒「戦争当初、アメリカ軍及び、その同盟国である南ヴェトナム政府軍の兵士達は、
  M14自動小銃を装備していたが・・・・・・ジャングルの中での白兵戦では、
  長い銃身のM14は取り回しが悪く、
  またフルロード弾である7.62mm×51弾を使用していたため、
  反動が強烈すぎてフルオート射撃の制御が非常に難しく、
  AKを持った敵にまったく太刀打ちできなかった」

M「見通しの悪いジャングルの中だと、
  至近距離での“出会い頭の戦闘”がどうしても多くなりますから、
  遭遇するなり、フルオートでめくらめっぽう銃弾をバラまくような戦い方が有利になります。
  それなのに、ほとんどフルオート射撃が使い物にならないM14持ってたんじゃ、
  勝てるわけがありませんわね」

毒「そこで、米軍はM16を新たに制式小銃とし、前線の兵士達に配備したが・・・・・・
  軽くコンパクトで、反動の少ない小口径高速弾を使用したM16は、
  M14よりはジャングル戦には向いていたものの、
  度は作動不良が続出し、多くの兵士が、故障した銃を抱えたまま戦死することとなる

M「なんでM16がやたらと故障したかってのも、話すとめっちゃ長くなるんで、
  次章でくわしくお話しさせていただきますぅ☆」

毒「M16の作動不良に苦しむ米兵を尻目に、北ヴェトナムの兵士達のAKは、
  高温多湿、かつ糞と泥にまみれたジャングルの中でも、まったく問題なく作動し、
  アメリカの若者達の生命を奪い続けていった―――
  この事実は、やがて合衆国内でも知られるようになり、議会やメディアで取り上げられて大問題になる

M「フツーの国は、制式兵器に欠陥があったら、ちゃんと議論が起こるんだなあ、ハハ」(←滂沱)

毒「いや、加納さん・・・・・・胸がちぎれるほど切なくなるから、そのへんにしましょうよ」

M「にゃうー! 本名で呼んじゃダメー!
  やめないと、64式とか62式の愚痴をえんえんタレ流しちゃいますわよ!」

毒「それは本気でキリがなくなるってか、途中から
 『ルーミアでも分かる日本の防衛産業』になっちゃうからやめてね」

M「んー、だったら背広組のクソッタレどもの話を(以下略)」

毒「だからやめれって。
  ・・・・・・そんな銃後の騒ぎ(←のんき)をよそに、
  せっぱつまった前線のBorn to Killなナイスガイ達が、
  ついにブチ切れて『ガァー! こんなクソ銃もういらねー!』と叫び、
  M16を捨てて敵から鹵獲したAKを使う―――といった事態が続発する

M「微妙にまじった東方ネタはさておき、賢明な選択ですわね」

毒「ところが、AKの発射音は独特なんで、見通しの悪いジャングルの中で使うと、
  敵とカン違いされて、味方からの誤射(フレンドリーファイア)を受ける危険性が出てくる。
  そこで、軍は鹵獲したAKを使うことを禁じた

M「八方ふさがりじゃないですか、USA−GIども」

毒「例外的に、長距離偵察任務に従事していた特殊部隊員―――
  通称“ロードランナー”達は、その任務の性質上、
  AKの使用を許されていたんだけどね」

M「『銃は全員AKだ。ボタと俺はハッシュ・パピーも』
  ・・・・・・自営業閣下の『Cat shit One』にも、
  そんなシーンがありましたわね☆」

毒「何故特殊部隊がAKの使用を許されたかというと、
  彼らは主に、本来立ち入りを禁じられているはずの地域―――
  スキマの向こう側“トリプル・ボーダー”とか“タイガーランド”と呼ばれた、
  ヴェトナム・カンボジア・ラオスの国境が交差する地帯で、
  極秘の任務を行う必要があったため」

M「M16を使ったら『いてはいけないはずの場所に米兵がいた』ことがバレちゃいますし、
  普通の米兵が立ち入らない場所なら、友軍の誤射も受けませんものね。
  むしろ、AKを使うことで、敵に『アレ、味方?』と思わせる効果も期待できますわね☆」

毒「何より、長期間にわたって敵地に潜入する関係上、
  良好な補給がまったく期待できない長距離偵察任務では、
  信頼性の高いAKの方が絶対的に有利だったからね」

M「何日も泥まみれで持ち歩いてても全然平気だし、
  最悪、タマがなくなったら敵から奪えばいいもんね♪」

毒「まあそんなわけで、使う銃を選べない、かわいそうな一般の歩兵は、
  そのままヴェトナム戦争が終わるまで、
  M16の作動不良とAKの猛威に苦しみ続けたとサ」

M「AKが米帝を打ち負かし、自由と解放を勝ち取った―――
  っちゅー“神話”がここに誕生したわけですわねえ〜」

毒「実際には米軍の戦死者は5万8千人、
  対する北ヴェトナム側の死者は、戦闘員だけでも150万人以上、
  といわれているから、戦術的には圧勝だったんだけどね。
  アメリカの敗因は、国内の反戦運動等の、政治的な要素が強いんだが・・・・・・」

M「でも、世間一般には、“AKを持った自由と解放の戦士”が、
  “M16を持った帝国主義の尖兵”に勝利した―――てなノリの、
  お花畑イメージが広まっちゃったじゃないですか」

毒「まあ現実と乖離したイメージが流布するのはよくあるハナシで。
  誰とは言わないけど、原作では殺しのことしか考えてないポル・ソンファン電波っ娘なのに、
  何故か二次では清純派美少女扱いされてたりするようなモン」

M「もう、またそこでさりげなく緑巫女をディスる〜

毒「そうじゃなくて、早苗さんはとち狂ってる方がステキだってことだよ」

M「・・・・・・センセ、常にヒロインに狂気を求めるのは、トンプスンの読みすぎですわ」

毒「さて、散弾を喰らってピンクの血泡を吹きながら爆笑する神奈子さまのハナシはさておき―――
  ヴェトナム戦の勝敗うんぬんは抜きにしても、
  実際の戦場ではM16よりAKの方が優れたライフルであると、ここで証明された。
  それを認めたのは、敵であったはずの米軍兵ばかりでなく、
  M16の開発者であるユージーン・ストーナーも同様だった。
  彼はのちに、ミハイル・カラシニコフと会った時に、こう言ったそうな」

『ヴェトナムではあなたの勝ちだ』
  
M「ついに開発者みずからまでも、AKの魔力に屈したー!」

毒「・・・・・・まあ、ヴェトナム戦でのM16の作動不良は、ストーナーのせいじゃなかったんだけどね。
  元は優れた設計のライフルだったのに、もろもろの事情で不具合が起こってしまったんだ。
  そうじゃなきゃ、未だにAR15系が米軍の制式ライフルであるはずないだろ」

M「“もろもろの事情”については、次回思いっきりヤルから今回はカンベンしてね☆
  ・・・・・・でもセンセ、その理屈だと、今後も英軍制式ライフルとして使われることが決まってる、
  SA80も優れたライフルというコトに―――」

毒「ならねえよ。・・・・・・まあアレに関しては、
  イギリス人だから仕方ないとしか」

M「その一言で終わらすのか

毒「他にどう言えばいいんだよ? 
  早苗さんの蛮行を『まあ、早苗だし』の一言で片づけるのは、
  そんなに間違ったことなのか!?」  

M「そんなマジな調子で怒られても・・・・・・っていうかどれだけ緑巫女嫌いなんだよ

毒「バカ言うな。愛してるに決まってるだろ。特に最近は、臨月を迎えたからうんと優しくしてる。
  その間の我が下半身のM4−SOPMODのメンテナンスは神奈子ママが担当してるのだよ。
  HO−HO−HO−HO−!

M「センセ、センセ・・・・・・!」

毒「熱い、実に熱いと思わんかね?
  守矢ハーレムエンド―――身命を賭けるに値する世界だと思わんかね?」

M「・・・・・・いや、センセ。お願いですから、無表情のまま目だけをぎらつかせて
  ローデシアンリーコンベストに30連マガジンを詰め込むの、やめてくださる?」

毒「戦闘準備(ロックンロール)だ」(←ボルトキャッチをひっぱたきつつ)

M「この人なんとかしてよぉ・・・・・・」(←半べそ)

毒「・・・・・・あ、正確にはロックンロール(Rock 'n' Roll)じゃなくて、
 “Lock and load”(ロックして装填しろ)なんだけど。
  発音を確認したい人は、便所の中の微笑みデブとか、
  デュラントにH&K MP5を渡した時のシュガートのセリフをヒアリングしてね」

M「ブッ壊れ妄想モードから突然素に戻る。これが毒虫クオリティ

毒「病気なんだから仕方がない微妙にうるさいよオマエ。
  ・・・・・・こうして、ウラから手を回してアメリカをひどい目にあわせ、
 『アメリカンスキーざまぁwwwww』と大笑いしていたソ連だが、
  因果応報というかなんというか、数年後に自身もまるで同じ目に遭う

M「“ソ連のヴェトナム戦争”―――アフガン侵攻ですわね☆」

毒「そう、反政府ゲリラであるムジャヒディンの武装蜂起によって、
  崩壊寸前まで追い込まれたアフガニスタンの共産主義政権を支援するため、
  軍事介入したソ連軍は、ゲリラ達の執拗な攻撃を鎮圧することができず、
  実に十年にもわたって泥沼のゲリラ戦に巻きこまれる

M「この戦争でボロボロに消耗したソ連邦は、レーガンの一世一代の大ハッタリ―――
  スターウォーズ計画の壮大さについに心が折れちゃいまして、
  数年後にどばーんとスッ倒れてしまうのですわ☆
  これにて冷戦が終了です〜♪ らりらりら〜ふんふんふ〜」

毒「イヴァーンがひどい目にあってるとご機嫌ですね、みかりんさん!」

M「ヤツらは敵だからな」(←ぎらつく目で)

毒「そういやアナタの部隊、ソ連侵攻時の“最後の切り札”的存在だったもんね・・・・・・
  さておき、アフガン侵攻に先立つ1974年、ソ連軍は新型ライフル―――
  AK74を制式ライフルとして採用していた【画像】

M「アフガン侵攻が1979年からですから、
  新型ライフルが前線の兵士達の間にいきわたるには、
  充分な余裕がありますわね☆」

毒「AK74は名前からわかる通り、カラシニコフが手がけた改良型のAKで、
  最大の特徴は、小口径高速弾―――従来の7.62mm×39弾に代わって、
  5.45mm×39弾を使用していたこと

M「あとでやるんではしょりましたけど、
  これはアメリカが、7.62mm×51弾を使用するM14から、
  5.56mm×45弾を使用するM16に切り替えたのをマネっこしたんですわ☆」

毒「マネしたのは、当然メリットがあるから。
  まずひとつは、弾薬が小型化したことで、より軽量になったこと。
  ひとつひとつの弾薬が軽くなれば当然、
  同じ重量でよりたくさん持ち運べるって寸法」

M「参考までに弾頭重量のカタログスペックを紹介しておきますと、
  7.62mm×39弾がひとつあたり7.91グラム、
  5.45mm×39弾がひとつあたり3.40グラムですから、
  なんと半分以下! 単純計算だと今までの倍のタマを持ち歩けちゃいますわね☆」

毒「もうひとつのメリットとして、小型化したことで、
  反動が小さくなり、特にフルオート射撃時のコントロールが容易になる
  
M「前章でやった“クルツ弾”と同じ理屈ですわね♪
  タマが小さくなる→そのぶん火薬も減る→反動が小さくなるってこと」

毒「そして、小口径高速弾の最大のメリットは―――
  この種の弾丸は人体のような柔らかい標的に命中すると、
  そのまままっすぐに貫通せずに体内で横転し、中で転げまわる。
  結果として、目標の内部組織を広範囲に破壊することになる」

M「こういう、内部でタマが転げまわる現象を“タンブリング”といいます。
  よーするに、相手が人体ならば内臓をズダズダにぶっちぎるってことですわね☆
  おぉこわいこわい♪」

毒「従来の大口径弾だと、弾頭重量が重く、弾丸の速度も速いため、そのまま標的を貫通してしまう。
  そして、弾丸の運動エネルギーが大きいので、命中すると標的は即死する確率が高い。
  それに対し、小口径高速弾は、標的の体内にとどまって内部組織に深刻な損害を与えるが、
  弾頭が軽く、運動エネルギーが小さいため、頭や心臓に命中しない限り、即死する確率は低い

M「大口径弾が“標的を一発で倒す”弾なら、
  小口径高速弾は“標的に重傷を負わせる”弾なんですわね」

毒「戦場では、死者が出たらとりあえず放置しといて、あとで遺体を後送すればいいけど、
  重傷者はそうはいかない。その場で応急処置を行わなければいけないし、
  できるだけ早く後送して、治療を受けさせる必要が出てくる。
  そうなると、一人の重傷者のために、数人分の人手を割かなければならない

M「部隊にとっては、死者が一人出るより、重傷者が一人出る方が面倒な事態になるのですわ。
  重傷者のために複数の人手を割くってことは、部隊の戦力もそれだけダウンしますから」

毒「そういうことで、“標的に重傷を負わせる”小口径弾は、
  戦術的見地からみると大口径弾より有利ということになる」

M「そんなわけで、現在各国の軍隊が小口径高速弾を採用していますが、
  やっぱりデメリットもあるわけで・・・・・・」

毒「はいはいそこまで。その部分は次章の最後の方でやるから。
  ハナシをアフガン侵攻時のAK74に戻すと、
  新たに採用された弾薬―――5.45mm×39弾は上記の通りの効果を発揮した。
  この弾丸の一撃を受けた者の肉体の損傷があまりに無惨だったため、
  ムジャヒディン達はこれを“毒入り弾丸”と呼んで恐れはばかった

M「おっとセンセ、ここで5.45mm×39弾の、
  ナイショの空洞のハナシもしておかないと」

毒「もうちょいあとでするつもりだったんだけど・・・・・・まあいいか。
  AK74の弾丸がそのような破壊的な威力を持っていたのは、
  上記の“タンプリング”による効果だけでなく、もう一工夫加えてあったから。
  通常、弾丸というものは鉛の弾芯を銅で被甲してあるのが普通なんだけど・・・・・・
  AK74の弾丸は、弾芯と被甲の間に空洞(エアスペース)をもうけてある【画像】

M「何でわざわざそんな作りにしてるかっていうと、
  空洞があると、標的に命中した時に、弾丸が潰れて変形しやすくするためなのです。
  そうすると、標的の体内で、弾丸が変形し、バラバラに砕けて、
  さらに深刻なダメージを内臓に与えちゃうわけですわね☆
  ・・・・・・って、国際法とかアレ的に大丈夫なのか

毒「一応フルメタルジャケット弾なんだからハーグ陸戦協定はクリアできる・・・・・・っつか、
  ハーグ陸戦協定自体がずっと死文化してるのが現状なわけだが。
  さて、またハナシを元に戻すと、こうして登場した新型ライフル、
  AK74を装備したソ連兵に対し、ムジャヒディンが手にしていた小火器は、
  旧式のSMLE―――リー・エンフィールドのボルトアクション式ライフルが中心だった

M「そんな装備で大丈夫か?

毒「神(アッラー)は言っている―――ムジャヒディンは負ける運命ではないと。
  ・・・・・・さて、あの程度のバカゲーなら次世代機時代には腐るほどあった
  定番の小芝居はさておき、何でイギリス製のライフルを
  アフガニスタンのゲリラが使っているかっていうと、
  AKが登場する以前の“世界のどこにでもあるライフル”といえば、
  リー・エンフィールドのことだったから」

M「つまり、イギリスが世界に股をかけて災厄を撒き散らしていく過程で、
  イギリス製の銃であるSMLEも、一緒に世界に広まったってことですわね☆」

毒「相変わらず語弊山盛りだがそういうことだ。
  フィクションでもノンフィクションでも、
  古色蒼然としたSMLEをかまえた老ゲリラ兵―――というのはよくあるシーン」

M「さておき、最新のアサルトライフルを持ったイヴァーンども相手に、
  100年前に作られた、骨董品同然のボルトアクション式じゃ、
  全然勝ち目がないのですわ〜」

毒「実際その通りで、ムジャヒディン達は地の利を活かしたゲリラ戦術で
  ソ連軍に対抗するも、火力の差から正面戦闘ではまったく太刀打ちできず、
  国内の主要部分をほとんど制圧されてしまう。
  ・・・・・・さて問題。ムジャヒディンは、いかにしてこの苦境を乗り越えたのでしょう?」 
  
M「答えはカンタン・・・・・・AKをもってAKを制す!

毒「なかなか見事だ、荀ケ。
  ・・・・・・実は、ヴェトコンや北ヴェトナム軍をソ連が陰ながら支援していたように、
  CIA(米中央情報局)はアフガニスタンの隣国である、
  パキスタンのISI(軍統合情報部)を通じてムジャヒディンを支援し、
  大量の資金や武器、そしてゲリラ訓練を提供していた。
  その中で、最も多量にムジャヒディンに供与された兵器は、
  中国製のAKライフル―――五六式自動歩槍だった」

M「またか! またシナAKか! 本当にあの国が存在することは全人類にとって不幸だな。
  ・・・・・・『Cat shit One’80』だと、一巻でボタスキーさんが、
  中国製のAKとRPGを山ほどのっけた倒福マークつきのトラックで、
  アフガンゲリラの支援に駆けつけてましたわね」

毒「で、CIA局員であるラッツがその手引きをしたことになってるわけだ。
  ちなみにこの時、ソ連のヘリコプターに対抗するためのスティンガーも供与されていて、
  そのへんも作品内で描写されている。・・・・・・あのマンガ、実のところ
 『キャラ全員どうぶつさん』という部分以外に、ツッコミどころがないんで困る

FIM92A“スティンガー”=米国製携行式地対空ミサイル 【画像】

M「つっこみたいんでしたら、あたくしのラヴホール・・・・・・もとい、
  元アフガンゲリラの主人公がロボットを乗り回すようなアニメにしたらいかが?」

毒「どちらにもつっこむ気はさらさらない。
  ・・・・・・なんでわざわざ中国製かっていうと、さすがにソ連と戦争してる奴らに、
  ソ連やその衛星国で作られたAKを供与するのはムリがあるからね。
  何より、この頃は60年代に始まっていた、中ソ対立がまだ継続していたし、
  一応“隣国”であるアフガニスタンでの自国の影響力を高める目的もあって、
  中国は積極的にAKを売り込んだ」

M「世界地図を見てもらえればお分かりになると思いますけど、
  ちょうど、今ホットな新疆ウイグル自治区に、
  約75kmほどアフガニスタンと国境を接する部分があります〜」

毒「それだけじゃなくて、ムジャヒディンはCIAからもらった資金で、
  ポーランドやエジプト等で製造されたAKの派生型を購入したりもしている。
  そんなこんなで、アフガニスタンには数百万挺といわれる大量のAKが流入した

M「はい、またここにアンダーラインね!

毒「こうして、中国製AKをはじめとする各種の強力な兵器を手にしたムジャヒディンは、
  10年の長きにわたって戦い続け、多くの流血をともないながらも、
  ソ連軍に頑強に抵抗し、ついにはアフガニスタンから撤退させることに成功した

M「はいおめでとー☆ ぱちぱちぱちー!
  悪いイヴァーンを追い払い、平和になったアフガニスタンでは、
  このあとすぐに、政府軍と各軍閥の血みどろの内戦が始まりましたとさ♪
  めでたし、めでたし」

毒「悪意たっぷりにハッピーエンドっぽくしめるな。
  ・・・・・・さて、ここでAKを語る上で重要なのは、
  アフガニスタン侵攻を機に、AKを中心とする小火器密売の市場規模が爆発的に成長し、
  このあとすぐ訪れる、冷戦構造の崩壊による大量のAKの流出に対する受け皿となったこと」

M「ようするに、アフガン侵攻でAKがむやみやたらと売り買いされたおかげで、
  いつのまにやらヤミのマーケットでAKが大☆流☆行になっちゃって、
  冷戦が終わって東欧諸国が投げ売りしたAKがバカ売れ♪ってわけですわね☆」

毒「言いたいことはよく分かるが、いかんせん日本語になってない。
 『ソースの味って男の子だよな』とか『首ッ・・・・・・ブリッジ・・・・・・レスリング・・・・・・ッ』と同じく」

M「ヒトを言語障害みたくいわないでくださいな」

毒「それまでも当然、国際的な兵器のブラックマーケットは存在し、AKも流通していたんだけど、
  基本的にはAKは、ソ連から衛星国や第三世界の社会主義国家へ供与されるものだった。
  それがアフガニスタンにおいて大々的に売買が行われたことにより、
  闇市場における“商品”としての価値が需要側にも供給側にも広く認識された。
  このあとでやる、AKが世界中に蔓延する直接的な原因はもちろん、
  冷戦構造の崩壊による、東欧やその他の社会主義国からのAKの流出なんだけど、
  その素地は、それ以前にアフガニスタン紛争で作られていた、ということだね」

M「ついでに言えば、負けて泣きながら逃げてったイヴァーンどもは、
  ソ連製の兵器を大量にアフガニスタンに遺棄していきましたから、
  侵攻後のアフガンには、文字通りAKが“売るほどある”状態になってました☆」

毒「さらにまずいことに、アフガニスタンは資源に乏しい国なんだけど、
  ヘロインの原料となるケシだけはやたらと豊富。
  各軍閥はヘロインを精製し、それを輸出することで武器の売買や抗争の資金源にしたので、
  紛争の泥沼化になおさら拍車がかかった」
  
M「実は、今世界に出回っているヘロインのほとんどは、アフガン原産だったりします」

毒「もうひとつ、この件が現代情勢に重要な影響を与えたポイントがある。
  アフガニスタン侵攻において、ソ連軍打倒のために
  中東各国から多数のイスラム義勇兵が駆けつけたんだけど・・・・・・
  ソ連の撤退により、彼らは戦う相手や目的を失ってしまった」

M「戦士の黄昏なのですわ〜。早くみんなを新たな戦場に導いてあげないと☆」

毒「サウジアラビア出身の、ある奇特な富豪がまさにそれをやった。
  彼は大金持ちのボンボンであるにもかかわらず、
  自らアフガニスタンの戦場におもむいて戦闘に参加し、
  ムジャヒディン達の人望を集めていた。
  戦後、彼はその人脈と豊富な資産をもとに、多くの元義勇兵達のスポンサーとなり、
  武器や資金を与え、訓練を施し、世界各地で過激なテロ活動に従事させた―――

M「フォー! キマシタワー!

毒「そう、その奇特な富豪の名こそ、
  ご存知アメリカ合衆国最大の敵、ウサマ・ビンラディン。
  つまり、彼と、彼の率いるテロ組織“アル・カーイダ”のテロリスト達は、
  元をたどればCIAが手ずから育てたゲリラ戦士達であり、
  彼らが手にしているAKを用意したのは、アメリカ合衆国にほかならない―――
  という、皮肉な結論になる」

M「自分で育てたテロリスト達と全力バトルとか、
  アメさんったら一人上手なんだから☆
  あっと、ちなみにビンラディンさんの愛銃は、
  AK74の超ショートバージョン、AKS74U“クリンコフ”ですわ♪」【画像】

毒「“クリンコフ”はドイツ語の“クルツ”と同じで“短い”って意味ね。
  だからAKS74U以外のAKのショートバージョンもクリンコフと呼ばれるわけで」

M「でしたらAKS74Uは“ビンラディン・モデル”を正式名称に(以下略)
  ・・・・・・つーか、そんなことを言ってるうちにビンたん殺られちまったじゃないですか」

毒「誰だよビンたんって。
  いやー、ビンラディン暗殺作戦の実行部隊がSEALだと報道された瞬間、
 『任務の性質からいって実際にやったのはDEVGRUだな』と思ったけど、
  海外の報道によるとどうもそうらしいね」

M「ムダな推察力ばかりついてきましたわねえ、センセ。
  でも報道だと旧称の“チーム6”名がほとんどでしたわねえ」


DEVGRU=米海軍特殊戦開発群。米海軍特殊部隊SEALの選り抜きの隊員によって構成された対テロ部隊。
       いわば海軍版デルタフォース。デルタ同様、その存在を米政府は公式に認めていない。



毒「英SISが未だにMI6名で報道されるようなもんだろ。
  そういやSISも最近まで“公式には存在しない”ことになってたっけねえ。
  ああそうそう、今回の暗殺作戦、米軍側に人的被害を出すこともなく、大成功に終わった―――
  一方ブラックホークはまた墜落していた

M「なんでブラックホークすぐ墜ちてしまうん?

毒「そりゃ使ってる数が抜群に多いからに決まってんでしょ。
  ・・・・・・そういや、アフガンの時も墜落してたなあ。
  某イーシバ大尉が回収作戦に参加したらしいけど」【画像】

M「しかしまあ、友好国の庭先で堂々と暗殺作戦とか、
  ひさびさにアメさんらしいジャイアニズム全開でしたわね、うふふ」

毒「それはしょうがない。パキスタン軍やISIには、
  タリバンやアルカーイダのシンパがうじゃうじゃいるからね。
  事前通告なんかしたら絶対に機密が漏洩する。
  あと、パキスタン政府としては、国内にイスラム過激派の脅威があればこそ、
  アメリカから“対テロ戦争の協力国”として支援が得られるわけで、
  これはライヴァルであるインドに対抗していくためにも絶対必要なわけ」

M「つまりパキスタンにとってはビンラディンさんが生きてて、
 “イスラム過激派の脅威”をブリまいててくれてた方が、
  アメさんがいっぱいかまってくれて好都合、ってわけですか」

毒「じゃなけりゃ、首都の目と鼻の先の都市(アボッターバード)、
  しかも陸軍士官学校のご近所に、豪邸ぶッ建てて住んでたビンラディンの存在に、
  何年も気づかなかったなんてアホな話のつじつまが合わんだろ」

M「相変わらず世界は非情ですわねえ☆」

毒「楽園の国民であるオレにいわせれば、それに気づいてないのは日本人だけだよ。
  というわけで、多少ハナシがそれたが、
  これにてAK74の登場とアフガニスタン侵攻のところが終わり。
  次は冷戦構造の崩壊と終わりなきカオスの始まりをやるよー」

M「まだまだ、先が長いですわね・・・・・・」

毒「それを言うな。マジで心が折れそうになるから」
 


 BACK