
美汐「美汐と」
真琴「真琴の〜」
美&真「戦車講座〜!」
真琴「・・・・・・ねえ。なんでいきなりこんな企画なの?」
美汐「大人の事情、というものよ、真琴。
決してコレを書いているヒトが
『ギャース! 身長6フィートの肉肉しい大男ふたりが、
もそもそパレスティナの話してるトコなんかもう書きたくねえ!』
なんて言い出したわけじゃないありませんから」
真琴「確かに、暑苦しいことこの上ないコンビよね」
美汐「真琴、それ以上言うのはよしときなさい。
頭は悪いけどバカ力だけはあり余ってるお二人が、
あなたの下半身のお花さん×2に、熊でも悶絶死しかねない
非情の二本貫手を打ち込みにきちゃうわよ?」
真琴「ひィっ!」(←思わず手でおさえる)
美汐「そうそう、女の子の最後の砦なんだから、しっかりガードしないと。
・・・・・・そんなわけで、そろそろ始めましょうか。
本日のお題は、このコーナーにふさわしい、
イスラエルの主力戦車『メルカバ』です」

主役のメルカバ
美汐「メルカバの開発は六十年代にスタートしましたが、
それには伏線があります。
当時イギリスでは、第二次大戦後から配備されていた戦車、
“遅れてきた虎殺し”ことセンチュリオンにかわって、
新型戦車“チーフテン”を配備することにしました」

センチュリオン チーフテン
真琴「虎殺し? ド派手なトランクス着用で、
遊園地でキャンディおじさんと殴りあうハゲのこと?」
美汐「・・・・・・真琴。漫画ばかり読んでると、
『適齢期? 食えるのそれ。アヒャヒャヒャ』とか笑いつつ
日がな美少女ゲームしてるような人間になっちゃうわよ?」
真琴「あう・・・・・・それヤだ」
美汐「だったらおとなしく聞くの。いい?
・・・・・・センチュリオンはもともと、
大戦時のイギリス戦車が全く太刀打ちできなかった
ドイツ軍の重戦車―――パンテル、ティーゲルに対抗して開発されました。
・・・・・・実際に配備されたのはドイツの降伏直前で、
デビュー戦は朝鮮戦争になっちゃいましたが」
ティーゲル(タイガー/六号戦車) パンテル(パンサー/五号戦車)
真琴「だから“遅れてきた虎殺し”なのね」
美汐「まあ、私が勝手にそう呼んでるだけですが。
ちなみに“熊殺し”ウィリー・ウィリアムズが戦った
灰色熊(グリズリー)は、実は薬で弱らせてあった、とか、
爪が抜かれていた、という説があります」
真琴「それは関係ないわよぅ」
美汐「さっきの独歩ネタの仕返しです。
・・・・・・では話を戻しましょう。
その時、イギリスはイスラエルに持ちかけました。
開発したチーフテンをイスラエルに供与する代わりに、
以下のふたつの条件を飲むよう要求したのです。
(1)余剰兵器となる中古のセンチュリオンをイスラエルが買い取ること
(2)アラブ諸国の軍から鹵獲したソ連製戦車を提供すること」
真琴「ふ〜ん」
美汐「イスラエルは要求どおりセンチュリオンを買い取るとともに、
T−54等のソ連製戦車を提供。
ところが、例によって例のごとく、イギリスは裏切りました。
アラブ諸国の反発を嫌ったイギリスは、
一方的にチーフテンの供給をキャンセルしてしまったのです」
真琴「自分の取り分はしっかり取ったあとで?
それって完全な詐欺じゃん」
美汐「イスラエルもアラブも、こりもせずイギリスにだまされますね。
まるで相沢さんにだまされ続けるうちに、
それが性的快感になってしまった真琴のように」
真琴「快感になんかなってないもん!」
美汐「肉奴隷予備軍はみんなそう言うのよ、真琴。
・・・・・・さて、これにはさすがの真琴国家・イスラエルも怒りました。
怒ったイスラエルは『あう〜、もう誰も信じないもーん』とか言いつつ、
自力で戦車開発することを決意します」
真琴「・・・・・・美汐。ひょっとして、真琴のことキライ?」
美汐「そんなことないわ。大好きよ☆」(←天使のように微笑みつつ)
真琴「あう・・・・・・なんか営業スマイルっぽい」
美汐「細かいことは気にしないの。
ちなみに、同時期にフランスもイスラエルに対し、
ミラージュ戦闘機の禁輸措置をとったりしてます」
真琴「あうぅ、フランスまで・・・・・・」
美汐「もっとも、これに関しては、
イスラエルはご自慢の殺人部隊最強情報機関・モサドを使い、
ミラージュの図面を盗み出し、
それをもとに国産戦闘機“クフィル”を作り出してますが」
真琴「ま、真琴は盗んだりとかは、しないよ・・・・・・」
美汐「そうね。きっと、この時のイスラエルの中の人は、
ぶったくりの月宮さんだったんでしょうね。
さて、メルカバのお話に戻ります。
例によって例のごとく、ワガママで甘えんぼさんのイスラエルは、
優しいパパのアメリカさんからたっぷりおこづかいももらって、
開発計画は1970年に本格的にスタートします」
真琴「お、おこづかいって・・・・・・」
美汐「一説によれば、援助額は一億ドルだとか。
肉まん何個分?・・・・・・なんてベタな発言したら、
このスナップリングプライヤーで、
あなたのキュートビーンに痛い事しちゃうわよ?」

スナップリングプライヤ(下はスナップリング)
真琴「えひっ、えひっ・・・・・・美汐が恐いよう」
美汐「ああ泣かないで真琴。
だんだん快感に変わるようにうまくやるから」
真琴「絶対ムリっっ!」
美汐「それはさておき―――
・・・・・・ところが開発途中で、新型戦車のコンセプトを
一変させるような大事件が起こります」
真琴「?」
美汐「“ヨム・キプール戦争”―――
一般に第四次中東戦争と呼ばれるものです。
この戦いで、イスラエル国防軍の無敵神話を支えた、
戦車部隊が大損害を受けてしまったのです」
真琴「どして? アラブ人がガンダムでも持ち出したの?」
美汐「本気でアタマわりいなこの禽獣。
・・・・・・こほん。そうじゃないのよ、真琴。
イスラエルの戦車を斃したのは、
戦車でもビグザムでもプルガサリでもなくて・・・・・・
歩兵が携行する、対戦車ミサイルだったの」
真琴「バズーカみたいなもん?」
美汐「・・・・・・せめてパンツァファウストの名ぐらい出してね。
第三次中東戦争で一方的にイスラエルにブチのめされたエジプトは、
その教訓を活かし、イスラエル軍の戦術を徹底的に研究していました。
そしてイスラエルの機甲部隊に対応するために、戦車ではなく、
RPG−7、AT−3サガーといったソ連製対戦車ミサイルを
大量に用意していたのです」
真琴「でも、いくらたくさんあっても、それ持ってる歩兵が、
イスラエルの歩兵にやられちゃったら意味ないんじゃない?」
美汐「いいところに気がついたわね、真琴。なでなで」
真琴「えへへ・・・・・・」
美汐「ところが、当時イスラエル軍では、
“オール・タンク・ドクトリン”という考え方が主流で、
歩兵/火砲/戦車の連携という、
地上戦のセオリーが守られてなかったのです」
真琴「なに、それ?」
美汐「“オール・タンク・ドクトリン”というのは―――ひらたくいうと、
『戦車部隊が戦車オンリー構成ならスピーディに移動できてCoolだぜワーオ!』
という、ちょっぴり夢見がちな戦術です。
第三次中東戦争では、コレでけっこううまくいったのですが・・・・・・」
真琴「でも、戦車ばっかりだから強そうだと思うけど・・・・・・」
美汐「そんな認識では、“砂漠の狐”と呼んでもらえないわよ、真琴。
・・・・・・確かに戦車は、地上兵器の中では
他の追随を許さない戦線突破力を誇りますが、
反面、脇からこっそり歩兵に攻撃されたり、
航空支援がないと、意外なほどもろいのです。
その基本を見失っていたイスラエル軍は、
シナイ半島でひどい目にあい、貴重な戦車兵を多数失ってしまいます。
その苦い教訓は、開発中のメルカバにも大きな影響を与えました」
真琴「あうぅ・・・・・・真琴はロンメルじゃないよぉ・・・・・・」
美汐「お黙りなさい。
以上の経緯を経て誕生した新型戦車メルカバは、
“乗員の生命保護”“対戦車兵器を持った歩兵への対処”
という課題を重視したつくりとなっています」
真琴「えるうぃんでもないのにぃ・・・・・・」
美汐「それでは、メルカバの装備を見ていきましょう。
主砲は当時の西側の主流に従い、L7−105mm砲ですが―――
むしろ着目したいのは、ムダなくらい充実した対歩兵装備。
機関銃は7.62mmFM−MAG軽機関銃二門、
12.7mmブローニングM2重機関銃一門の計三門。
おまけに60mm迫撃砲もそなえております」
真琴「歩兵が恐くなったのは分かるけど・・・・・・
そこまでする必要あるのかなあ?」
美汐「大丈夫よ、真琴。
メルカバのデビュー戦は1982年のレバノン戦争だけど、
その時には難民キャンプでの虐殺で大活躍したから」
真琴「ダメじゃん!」
美汐「イスラエルの置かれた状況からいって、
うざい民間人ゲリラ等への対人攻撃はメルカバの大事なお仕事なの。
それがたまたまラッキーなことに虐殺に役立っただけ。
分かりましたか、真琴?」
真琴「あんまり分かりたくないかも・・・・・・」
美汐「さて、メルカバがもっとも重視している防御面では、
なんといっても中空装甲(スペースド・アーマー)の採用が大きいですね」
真琴「スペースドって・・・・・・装甲の中にスキマがあるの?
それってすごく弱そう」
美汐「そんなことはないわ。
複数の装甲板を隙間をもうけて重ねることによって、
モンロー効果を利用したHEAT弾(対戦車榴弾)の爆風を、
その隙間に逃がすことができるの」
真琴「あうあう、よくわかんない・・・・・・」
美汐「まあ、ケダモノ相手にモンロー効果を説明するのも面倒ですし・・・・・・
ようは『対戦車ミサイルにチョー有効な装甲なの♪』と
覚えておきなさい。わかった?」
真琴「う、うん・・・・・・」
美汐「ちなみに、スペースド・アーマーの中も、ただカラッポなのではなく、
防御力を高めるために中空部分に燃料タンク等が挿入されております」
真琴「燃料? それって、かえって危ないと思うけど」
美汐「いえ、メルカバはディーゼルエンジンを搭載してますので、
燃料は当然、軽油です。軽油はガソリンと違って引火点が高いので、
被弾しても常温で引火することがなく、
よって、燃料タンクをも弾除けとして採用したのです。
・・・・・・『兵員の人命尊重』というコンセプトに
ちょっぴりムキになってるのがカワイイですね」
真琴「カワイイ、かなあ?」
美汐「もう一点、防御面で特徴的なのは、通常は車体後部に搭載される、
エンジン及びトランスミッションが前面に配置されていることですね」
真琴「あれ、戦車ってクルマみたいに、
エンジンが前に載ってるんじゃないの?」
美汐「いえ、通常の戦車はRR(後部エンジン・後輪駆動)です。
メルカバのとったFF(前部エンジン・前輪駆動)形式は、
自走砲やマウス重戦車のようなアレな例外はともかく、
戦車としては非常に珍しいのです」
真琴「何の意味があるのか、よく分からないんだけど・・・・・・」
美汐「答えはカンタン―――これも弾除けです」
真琴「またそれ? いくら人命重視のためでも、
大事なエンジンを弾除けに使うのはムチャなんじゃない?」
美汐「いえいえ。戦車は壊れればまた作り直せばOKですが、
経験豊富な戦車兵はそうはいきません。
ただでさえ人口が少ないイスラエルは、
一人一人の兵士の生命がとても貴重なのです」
真琴「そんなに大事なら戦争しなければいいのにぃ〜」
美汐「それは言わないお約束です。
ついでに言えば、
『イスラエルにとってユダヤ人の生命が大事なのは分かったけど、
アラブ人の生命は・・・?』
などと訊かないのもお約束です」
真琴「あ、あう、真琴はそんなことまで言ってないのに・・・・・・」
美汐「おぼえておきなさい、真琴。
人命の価値は変動相場制。時期や地域によってはガラス球以下に暴落。
“奇跡”で復活なんて甘ったれたハナシは現実には存在しないのです」
真琴「あ、あうう・・・・・・それは言ったらダメよう。
そりゃ、シナリオをもらえなかった美汐は、
“奇跡”使ってないけど・・・・・・」
美汐「びきっ!」(←こめかみを激しくけいれんさせつつ)
真琴「・・・・・・あ、ごめん。
ねえ、美汐。怒った? 怒った?
怒ってないよね、ねえ・・・・・・?」
美汐「怒ってませんよ。(←頬をぴくぴくさせつつ)
ええ怒ってませんとも。しょせん私はサブヒロイン、
単なるあなたのシナリオの添え物ですからね。
能といえば、せいぜい子持ちのジャムおばさんより
ばばくさい扱いをされることぐらいです。うふふふ。
・・・・・・チクショウ! チクショウ!」
真琴「あ〜ん、美汐が怒った〜!」
美汐「え〜、その他、メルカバには車体後部に脱出ハッチを設けたり、
弾薬や乗員の生活物資をたくさん積み込めるように設計されていたり、
緊急時には搭乗員以外の歩兵も乗せることができたり、
飲料水のタンクが設けられたり・・・・・・といった、
実戦から得た教訓に基づく、さまざまな工夫がなされています。
進化を重ね、現在はMk.4が登場しているメルカバ、
今後も砂漠に血の雨を降らせてくれることでしょう。はいおしまい」
真琴「あう〜! すっごくテキトーに終わらせてるぅ〜っ!」
美汐「いえいえ。これは単に紙面の都合です。
ちっとも怒ってないから、泣かないで、真琴。ね?」(慈母の笑み)
真琴「う、うん・・・・・・」
美汐「・・・・・・さて、ここの会場を借してくれた人に、
お礼の電話をしないとね。ぴっぽっぱっ・・・・・・っと」(←ダイヤル中)
真琴「え、そんな設定があったの・・・・・・?」
トゥルルルル・・・・・・・
M『はいはい、鬼首でございます』
毒『おいッ、勝手にヒトの電話に出るな・・・・・・ぷぎゃ』
M『妻として当然の行為ですわ。・・・・・・で、どなた?』
美汐「どうも、天野です。
今日は会場を貸していただいて、ありがとうございました」
真琴 (なんか美汐、とんでもないトコに電話してる・・・・・・)
M『いえそんな、よろしいんでございますのよ、ホホホ・・・・・・
約束どおり次回はティーガーUを扱っていただければ』
美汐「そのことなんですが・・・・・・
ウチの真琴がですね、
『ティーゲルなんざァ欠陥品。車重がデカすぎて燃費はクソ悪いわ
ドン亀だわエンジンがすぐいかれるわで最悪。稼働率激低の粗大ゴミ』
と申してまして・・・・・・」
M『なんですとうッ!』
真琴「美汐〜! 真琴はそんなこと言ってな・・・・・・ぴぎぃっ!」
美汐「少し黙ってなさい」(←大変なところをつねりあげつつ)
M『センセ、センセ、聞きました!?
あーんのキツネ娘が、我らがティーガーを愚弄しやがりましたのよ?』
毒『いや、思いっきり正論だと思うんだけど・・・・・・』
M『ムギイっ! ティーガーを侮辱するだけでは飽き足らず、
あたくしのセンセまでその未成熟な肢体で籠絡するなんて!』
毒『籠絡っつーか、オレはT−34の方が兵器としての総合力は優れげろぼわッ』
M『・・・・・・美汐さん』
美汐「はい」
M『そこの淫猥女狐をあたくし達が到着するまで捕捉しててくれます?』
美汐「はい、喜んで!」
真琴(痛いよう・・・・・・大切なところがすごく痛くて動けないよう・・・・・・
でも早く逃げないと大変なことに・・・・・・)
M『うっしゃうらァ―――ッ!
キツネ狩り開始ィィ〜〜〜ッ!!』
美汐「・・・・・・じゃ真琴、私は帰るから」
真琴「美汐、助けて・・・・・・見捨てないでよう・・・・・・」
美汐「さようなら真琴。あなたと過ごした日々は、とても楽しかったわ―――」
真琴「美汐〜〜〜っ!」
美汐、舞台より退場。
舞台中央、真琴がうずくまってすすり泣く。
その横に打ち棄てられた、美汐の携帯電話からのつぶやき。
毒『いやさあ、この“戦車講座”、もともと前フリの文だったんだけど、
あまりに長くなりそうなんで別コーナー化しただけなんだよね。
だから“次回”なんてものは存在しないわけですが。
文章荒れすぎでアレなんで、そのうち書き直・・・・・・って、
キミタチ、聞いてる? 聞いてるかーい?』