フッ素化は子宮ガンを多発させ、中止により減少した。
              (米占領下の沖縄の体験)

                               村上 徹


Relationship Between Fluoride Concentration in Drinking Water and Mortality
Rate from Uterine Cancer in Okinawa Prefecture, Japan

Journal of Epidemioiogy, Vol. 6, No. 4, December 1996
Eiichi Tohyama,
Department of Preventive Medicine, School of Medicine, University Of the Ryukyus,.


 沖縄県は米軍の占領下におかれている間に多くの市町村の水道がフッ素化されたが、そのため子宮ガンが増加した事が最近の研究で明らかになった。沖縄県の水道フッ素化は本土復帰とともに、現在では全面的に中止されているが、久米島等では熱狂的なフッ素化論者である境氏ら一部の歯科医師の策動により、またぞろフッ素化が考慮中と伝えられており、早くも一部の村民らの反対運動が起こっている。
 この件に関して、2001年11月5日づけの琉球日報はこの研究を行った遠山英一氏(サイ・テク・カレッジ理事長)の次のような投書を掲載した。遠山氏の研究とともに紹介する。


「最近、新聞やテレビ、ラジオ等で久米島具志川村の水道フッ化物添加が報じられている。水道水へのフッ化ナトリウム等の注入については、アメリカ、日本、その他の国々で激しい論争が繰り広げられ、学者間においても賛否両論が沸騰し、怨念めいた応酬の様相さえ呈してきた。特に水はわれわれの生命と健康を意地する根源的な要素であるだけに、フッ化物添加の問題をめぐる論駁は熾烈を極めている。これまで私は琉球大学、東京大学医学部で調査研究を進めて来たが、この論壇での発言はもちろん、これら二大学とは全く関係がなく、独自の責任が行うものであることを、まず断っておかねばならない。

1995年日本公衆衛生雑誌(第42巻第10号)および1996年Journal of Epidemiology(Vol.6,No.4+Vol.7.No.3,1997)の二誌上で沖縄県における飲料水中のフッ素(フッ化物)イオン濃度と子宮がん年齢調整死亡率との関係について小論を報告した。これらの研究結果を要約すると次のとおりである。

1、子宮がん死亡率と飲料水中のフッ素濃度との間には、有意な正の相関が認められる。
2、子宮がん死亡率を目的変数とし、それと関係の可能性がある思われる水質因子、社会経済的因子等を説明変数として重回帰分析を行うと、有意性の最も高いのはフッ素イオン濃度である。
3、沖縄の本土復帰後、水道水のフッ素イオン濃度は急速に減少した。一方、全国最高率を示していた子宮がん死亡率もかなりの減少を示し、2者の時間的傾向は符合する。
4、水道水にフッ化物が添加された地域の子宮がん死亡率は、添加されなかった地域の子宮がん死亡率に比べて高い。

その後、水道水へのフッ化物添加期間と子宮がん死亡率の問題や、水道水の添加フッ素イオン濃度に暴露された地域の、暴露されなかった地域に対する危険度等について検討を重ね、ここで得られている結果も前記研究結果を強く支持するものとなっている。それらについては、来る11月15日、16日にパシフィックホテル沖縄で開かれる日本民族衛生学会において発表する予定である。
さらに国内外の文献によれば、フッ素は骨硬化症、骨肉腫、斑状歯等との関係が指摘され、また生殖活動や受精率に影響を与え、蛋白質、DNA合成を阻害し、培養細胞の染色体異常を誘発するなど、数多くの報告がなされている。
来年度、身近な久米島で起きるであろう問題を無為に看過することができず、一人の研究者として見解を述べる次第である。現在のところ、フッ素の危険性を指摘する研究が真であると、断定はできない。しかし、医学統計的、疫学的に、または動物実験等を通して人体に対する悪影響か疑われている以上、水道水へのフッ化物添加は実施すべきではないと考える。フッ素利用によるむし歯予防を望む者には塗布や洗口等の自由が与えられており、忌避者にまで強制的にフッ化物添加水を飲用させることは重大な問題である。




ちなみに、この一文にある遠山氏の日本民族衛生学会における口演の抄録は次のようである。


水道水へのフッ素添加期間と子宮がん死亡率

遠山英一
サイテク・カレッジ
〔目的〕
沖縄諸島は1945年から1972年まで米国の施政権下にあって、そのある期間多くの市町村の水道水に水処理のためフッ化ナトリウムやメタリン酸ソーダ等が注入されていた。筆者は、沖縄県内の20市町を対象に、水道水中のフッ素イオン濃度と子宮がん年齢調整死亡率との関係について相関係数や時間的傾向、交絡因子などの面から検討し、それらの有意な関連性を報告した(Journal of Epidemiology, 1966)。その報告に対し、小林ら(1997)はフッ素化経験年数が考慮されておらず、フッ素濃度は不正確であった、としている。
しかし、沖縄県市町村の水道沿革やその他の詳細な調査に基づけば、小林らの基礎データとして用いたフッ素化経験年数こそ不正確だといわねばならない。今回は日本本土復帰後の1973〜1982と1983〜1992の10年間における子宮がん年齢調整死亡率と水道へのフッ素化添加期間との関連について検討する。
〔対象と方法〕
沖縄における水道水へのフッ素添加は、1957年12月に始まり、1973年に中止された。その間の添加状況は、非添加、約5年間添加、約15年間添加の3つの群に大別される。沖縄県の村レベルの人口は極めて小さいので分析から除外し、沖縄本島内の市と町のすべて(但し、糸満市は一部地域の添加のため省いた)、それに離島の平良市、石垣市を加えた20市町を分析対象とした。市町別、年齢5歳階級別人口は、昭和60年の国勢調査人口を用い、年齢調整死亡率は間接法によった。死亡率の調査年は、1973〜'82と1983〜'92、添加地域は市と町に分類し、添加期間に関しては、非添加、約5年間添加、約15年、約(5+15)年として、子宮がん年齢調整死亡率を求めた。また、フッ素添加中止後10年間における非添加群と添加群の年齢調整死亡率、その信頼区間を求め、相対および寄与危険度を算出した。

〔結果〕
1)2つの調査年で比較すると、1973〜'82の年齢調整死亡率は1983〜'92のそれより、すべて高い。
2)フッ素が添加された市・町の約5年と約15の調整死亡率に大きな差はないが、非添加と約(5+15)年 添加を比べると、約(5+15)年の方がすべて高い。
3)1973〜'82における非添加3市2町と添加6市9町の年齢調整死亡率は、それぞれ9.47、13.39(p<0.005)で、前者の95%信頼区間の上限(11.60)は後者のそれの下限(12.13)より低い。
4)1973〜'82におけるフッ素イオン暴露群の非暴露群に対する相対危険度は1.41で、寄与危険度は3.92である。

遠山論文付表
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