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特別レポート シンシナティ市の歯科危機
歯医者不足と治療費とが貧しい人たちを拷問のように苦しめる
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これはもう第三世界そのものです。こんなにも悪くなっていることを知ったら、市民はきっとショックを受けると思いますよ。
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Erica Solvig記者
esolvig@enquirer.com
(原文)
朝7時少し前になると、シンシナティ市の公衆衛生診療所のまわりにはぞろぞろと人が集まって来る。泣き叫ぶ子どもを抱えた母親、食事もできないティーン・エイジャー、未処置の虫歯と張れた歯ぐきがズキズキ痛んでろくろく眠れない大人たち。彼らは行列を作って歯科医を待つ。歯科医は別な時間にはここに来たがらないのである。
週末以外の毎日、60人もの患者がこの診療所が開くのを待つ。
それでも彼らはラッキーな方だ。彼らは市の10人の歯科医師による緊急治療を受けるために、毎年この診療所に群がる10万人の患者の中の人たちなのだ。
今後2年間の待機リストを見せてもらうと、何と4,000人もの患者がおり、その多くが子どもである。大部分は治療費がなくて歯科医にかかることができず、歯科医療の保険にも入れない人たちである。そして何百人もの人たちは、ただ決まりきった処置だけを求めている。
しかし、市の診療所が患者の洪水に襲われるようになったため、何千人もの者は、虫歯が感染を起こしたり、我慢できないほど激しくし痛むかどうかを医者にただ見て貰うだけである。
「我々が見る時には、患者の状態はもう絶望的になっているのが普通です。これはもう第三世界の出来事です。」とマクミッケン歯科医院のジュディス・アレン歯科医師はいう。
アメリカの子どもの歯科衛生そのものが良くない時期に、シンシナティは歯科の危機を経験しているのである。市の地域医療関係者は、虫歯の治療は市の未解決の問題のナンバーワンだという。
「我々が要求を満たしてあげることはできません。」と市衛生部の歯科主任であるラリー・ヒル歯科医師はいう。
「これは見るも無残な悲痛なことです。我々のこのコミュニティには、未処置の歯の深刻な感染を有する子どもたちがいるのです。我々は、自分を大切にしなければならない問題を抱えてながら激しい痛みにさらされている子どもたちがいるというのに、彼らを送るべき施設はこの市内にはどこもないのです。この問題がこんなにも悪くなっていることを知ったら、市民はきっとショックを受けると思いますよ。」
シンシナティ市だけがこうした問題と悪戦苦闘しているわけではない。政府の調査は虫歯がアメリカの子どもの慢性疾患の最大の問題であることを明らかにしており、それも喘息の5倍、アレルギーの7倍なのである。
それにしても、本紙(シンシナティ・エンクワイアラー)が調べたところ、シンシナティでは問題は悪化する一方である。
市の公衆衛生診療所で歯科の緊急治療を要する患者の数は、1990年以降では3,437人だったのが
10,030.3人と3倍にも増えているのである。
市の歯科医師が取り扱った患者の総数も増加している。1992年には24,309件だったのが、昨年では26,129件と、
7.5%増である。
市内の貧困家庭では8歳児の43%が重度の虫歯に罹っている。その感染率は、1996年では37%である。
歯痛と感染とは、市民が大学病院の緊急治療室にゆく原因のナンバーワンなのである。
シンシナティ市立学校の看護師が昨年度に歯科治療を委託した件数は500件で、これは以
前と比較すると100件近く多くなっている。
さらに事態を一層悪くしているのは厳しい経済状態だ。これが歯科保健計画の資金を危機にさらしている。連邦や州、市の予算は大幅に削減された。これはシンシナティの歯科計画には殆ど資金がまわってこないということを意味する。
これは市民が歯科の医療保険に入るのを、一層困難にするということでもある。80万人近くの市民、またはシンシナティ首都圏の40%もの市民が歯科の医療保険に入れないでいるのである。何千人かの人たちは部分的な保険に入ってはいるが、それは歯科医療費をまかなってはくれえない。この問題は貧困層だけの話ではない。大卒の若い人たちすら市立の歯科診療所にやってくる。その理由は歯科の医療保険がないからである。
「この問題の解決は、ますます困難になりつつあります。たとい歯科医の支払いができ、歯科医療保険に入っていたとしても、この問題の深さは底が知れないようです。わずか1、2歳の子どもが深刻な歯の感染症にかかっているのですよ。」とヒル歯科医師は語っている。
シンシナティと同様に、他の都市でも公設診療所に押し寄せる患者の大群と、予算の削減や長期間の待機リストに直面している。この状況が全国的に深刻なものとなりつつあるのは、2000年に連邦公衆衛生課長がこれを「沈黙の疫病」と名付けたくらいである。
ケンタッキー州では2歳〜4歳児の半数近くが虫歯にかかっており、これは国の平均の約2倍である。オハイオ州では3年生の子どもの約半数が歯科医にかかったことがない。
未処置のままの虫歯はやがて感染し、血流を介して全身に医学的問題をひき起こす。
「アメリカの口腔衛生・公衆衛生課長報告書」の責任編集者であるキャスエル・エバンス博士は、「この事は、国にとっても厄介な痛ましいことです。とにかく国はこんな事に対しては予防が可能なのですし、そのための資源や能力ももっているのですから」という。しかし、同時に、「こうした事は見過ごされることも多いのです」ともいう。
どこにも行く所がない
歯科の治療にかかれないのが、シンシナティや他の都市が直面している歯科的危機の最大の理由だと評論家はいう。
これまでの10年間、この地域は公設の歯科診療所を削減してきた。例えば、ハミルトン郡では、1990年代の半ばから歯科治療計画を廃止した。そのため患者はその代わりとなるものを探す必要に急遽せまられたのである。
「我々は小児病院のような施設の方が、診療所よりベターだという決定をしたのです」とハミルトン郡の保健担当官のティム・イングラムはいう。そして彼はさらに歯科治療に関しても「患者はどこでだって治療を受けられると我々は確信していました」ともいう。
しかし、シンシナティ・メディカルセンターの子ども病院の歯科は、毎年35,000人もの患者で満杯であり、新患に対しては月に一度しか受け付けができない状態である。
こんな状態は、例えばノース・フェアマウントの27歳の3児の母親であるラションダ・グローバーさんにとってはきわめて不満である。彼女の9歳になる娘のギャリエシャ・ハンフェリーちゃんが歯科医にかかったのは、少なくとも、もう3年も前なのだ。
最後に子ども病院にかかった時、ギャリエシャちゃんは2本の歯を抜かなければならなかったが、その時の医師の話では、すぐに治療を受けていれば充填で済んだだろうという。
「いろんな所へ当たって見るべきです。」と保護司のグローバー夫人はいう。「この場合は、単に予約が難しかっただけなのじゃないかしら。」
マドソンビルのような他の地域でも、近隣地域に歯科サービスを提供する事に公的資金を要請している。しかし、緊縮予算(これは全国的で、オハイオでもシンシナティでも同様あるが)は、コミュニティに資金がまわって行かないという事を意味してきている。
たとい歯科医にかかれたとしても、多くのオハイオ州人は歯科医療費が払えない。オハイオ州の係官によれば、およそ400万人以上、つまりオハイオ州の人口の約40%もの人が、歯科の医療保険には入っていないのである。この割合は、一般の医療保険に入れない人たちの割合である11%の4倍近くに達する。
「これはオハイオ州人が必要としながら受けられないでいる治療のナンバーワンです。」と州口腔衛生課のマーク・シーゲル課長はいう。
さらに州の調査によれば、オハイオ州の低収入家庭の6〜8歳児の31%が、親が希望している歯科治療を受けられないでいる。
「食と住とが、彼らの真っ先の問題なのです。」とマクミッケン診療所のコーディネーターであるセンダ・バーナードさんは語る。.
医療扶助を受けている家族でも、それで歯科治療をしてくれる歯科医を見つけるのは難問である。先の連邦公衆衛生課長報告書でも、保険に入っていない子どもが歯科治療を受ける機会は、保険に入っている子どもより2.5倍も少ないようだと述べている。
「こういう人たちこそ、病気がありながら、治療を受けられないでいる人たちなのです。」とヒル医師はいう。「耳が痛いといえばそのままにはしておかないでしょう。しかし、歯が痛いというのなら、まぁ、いいかということになるのでしょう。」
涙せずにはいられない場合
3州の医学の専門家の間では、「歯科の最悪の問題は、この地域の最も若い患者において見られる」と警告する声が増えている。
全国的にも、80%ちかくの乳幼児虫歯が20%の子どもに見られるという調査がある。歯の崩壊は、人生のごく初期から始まっているのである。虫歯のあるものは、いつまでもミルクや母乳を与えておくという事で起こる。そして成長しても、貧困に縛られた子どもやティーン・エイジャーたちが、定期的に歯科医に通うことはないのである。
「多くは自分用の歯ブラシさえもっていないのですよ。」とヒル医師はいう。
予防ケアがないということは、やがて痛みと不快感へと進行する。そしてこの事は、生徒の等級や全体の学習にも影響する。シンシナティの教師や歯科医師は、歯の痛みに悩んでいる生徒は集中することができず、クラスで苦しむようになるという。
「我々はこうした事が自己評価の問題になり、彼らの勉強の進行を妨げてしまうという事を知っています。」とヒル医師はいう。「しかし、その子が歯痛をこらえて座っているのに、テストを増やすというのは、学校にとっても辛いのことなのですよ。」
公衆衛生課長報告書によれば、全米を通じて5千百万時間の授業が、歯に関係する病気のために失われているという。
シンシナティではそのような統計はとっていないが、市の学校管理官は、関連する500人の学校看護師の多くは前の年と同じことを繰り返すといっている。
「あなたを泣かせるのは、本当に悲しいケースなのですよ。」とシンシナティ保健局の学校看護師のキム・トゥーレ監督官はいう。「この子どもらが学校で本当に気の毒な状態にあるのは疑いありません。」
先週、エイボンディールの11歳のケンヤダ・デービスという子は、ながく続いた歯痛が特にひどくなって、学校を水曜日の早々に止めて帰らざるをえなくなった。
「あの時は本当に痛かったよう」と彼女は話してくれた。
次の朝には、市のエルム通りの歯科診療所のまえで、6年生の子どもが開院の一時間も前から外に座って待っていた。母親のアンジェラは、わざわざ仕事を休んで子どもと一緒に待っていた。
「不満でなりませんが、しなければならない事はしなければね。」と36歳のお母さんはいった。
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エンブロース・H・クレメント保健センターで何千もの患者のカルテの側で働くヴァージニア・ベーカーさん
(写真・Glenn Hartong )
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シンシナティの子どもたちの歯がいかに悪いかは、市内に5か所ある診療所の棚にぎっちりと積み上げられているカルテを見ればすぐに分かるだろう。
アレン医師は、彼女の診療室にくる子どもたちの最悪のケースの写真を一山持っている。口蓋を食い破った膿瘍とか、元来はそこにあるべき歯の場所に張られた緑色のスタンプとか、未処置の虫歯によって腫れだした頬っぺたとか等々。
これらは30年も経験のあるベテラン歯科医師の心を痛ませる。
「この痛みの中でこの子たちがどうやって生きてゆけるのか私にはわかりません。」と彼女はいう。「しかし、シンシナティにはほかにどうする事もできない人たちがいるのです。」
「この子は決して笑おうとはしませんでした」とアレン医師はいう。「そればかりか、話しをしようともしませんでした。余りにも歯痛にいためつけられて、すっかり心をこじらせてしまったのでしよう。」
市の係官は、歯科医にかかる必要がある子どもたちが沢山いることは確かだといっているのだが、親がそうしてやれないのである。
ヒル医師はいう。「私はこの子どもたちの親が、わが子が歯痛に苦しんでいるのを知っているのかどうか、また、どこに連れてゆけばよいのか知っているのかどうか何も知りません。いずれにしても、我々はこの人たちを外に連れ出して呼び鈴を押し、彼らを中に入れるという立場ではありませんし、まして何千人もの人たちを予約表に登録するという立場でもありません。」
打ちのめされているのは、市の歯科診療所だけではない。保険がないために市内の歯科医院に通院することができない家族は、シンシナティ病院の緊急外来に子どもをつれて行かざるをえず、このためにこの病院は、毎年2000人もの患者を時間外に見なければならなくなっている。
この病院に13年以上も勤務している看護師のトレーシイ・ディックさんは、こう語っている。「見なければならないのは、何より歯の膿瘍と虫歯なのですよ。この人たちの歯は、まさに壊滅しているのです。」
ユナイテッド・ウエイの調査によれば、住民が大学病院にゆく第一の理由は歯痛である。昨年の地域住民が病院に請求された歯科治療費の総額は1,700万ドルであり、この殆どは通常の処置で予防できるものである。
「ここは心停止その他の緊急処置を想定している施設だけに、歯痛の患者さんを見るのは不満がつのります。こんな事はあってはならないことです。」とヒル医師は述べる。
計画に要する資金
連邦公衆衛生課長の2000年の報告書は、歯科医療費は軽く600億ドルを超えていると述べているが、この数値は、国の問題を低めに評価しているとも警告している。地元の係官は「虫歯とそれに関連する費用は高額であるが、それは予防できるものだ」と言っている。
ケンタッキー州の口腔保健計画の管理官であるジム・セシル博士は「この予防可能な疾患を有する子どもを一人治療室につれて行くと、その費用は5千ドル〜6千ドルかかります」と言っているが、さらに「充填や抜歯によって生じるこの費用は、おそらく一人あたり数百ドルは節約できるはずです。我々は患者を待たせることで多くの金額を無駄に浪費しているのです。同時に、多くの人間という貴重な資源も浪費しているのです。」と語っている。
費用が上昇するにつれて、地元の虫歯の問題とたたかう機関の資金は不足するようよなってきた。
保険に入っていない低所得層、障害者、高齢者などが歯科医にかかれるようするこの地方の最大の団体は、シンシナティ首都圏口腔保健協議会である。これは1909年より機能している。
この協議会の140万ドルの予算のおよそ25%は、オハイオ州保健局からの助成金である。しかし、州予算の削減に直面して、口腔保健協議会の公的資金は、より少なくなる一方である。
この事は、それでなくても悪化している口腔の疾患のための予算が削減されるという事を意味する。例えば、オハイオ州7郡の学童8,253人の奥歯の溝をプラスチックで予防的にコーティングする昨年の計画は危うくなっている。
ある企業や財団は、プロクター&ギャンブル社のヘルシー・スマイル2010計画を援助しようとしている。この計画は、歯ブラシや歯磨き剤などを配布するほか、10年後には全国の5千万人の子どもや家族が歯科医にかかれるようにするのを目的としている。
また、シンシナティ首都圏のユナイテッド・ウエイやシンシナティ首都圏の健康財団も、オハイオ州、ケンタッキー州、インデアナ州の9つの郡のための口腔保健地域評価計画を立ち上げている。これが1月に完成すれば、歯科的ケアの改善に道をひらくはずである。
しかし、個人の金は不十分だ。
「これらの計画は助けにはなるでしょう。しかし、問題はあまりにも大き過ぎて、我々はいつも後追いをしているだけなのです。」とヒル医師は語る。
シンシナティ市や痛みに苦しみながら歯科医にかかるのを待っている何千人もの人たちにとっては、この事は歯科診療所の外で相変わらず行列が続くという事を意味しよう。しかし、今年6月にオハイオ大を卒業し現在35銀行の貸し付け係を勤めながらも歯科医療保険に入れないでいるティナ・ジェニングのような人にとっては、他に行くところがないのである。
「それはもう、酷い痛みですよ。」と、先週エルム通りの診療所の外でエニングさんは記者に語った。ボンドヒル出身の25歳の彼女は口を押さえながら、親知らずが感染したために起こるこの激しい痛みがやわらぐ事を祈りながら、さらにこうも言ったのであった。
「ここで待ていとうなら、何時までだって待ち続けますわ。」
フッ素化しているボストンは「歯の危機」に見舞われている
ボストン市は虫歯の危機とたたかいを開始した
ボストン・グローブス,1999年11月11日づけ
Dolores Kong, ボストングローブス社記者 翻訳 村上 徹
ボストンの学童の未処置の虫歯が全国平均を大きく上回っているのが明らかになり、同市の保健当局は、増加する一方のいわゆる歯の危機との戦いを開始しようとしている。
同市の歯の危機には、このほかにも、ロクスバリーやドーチェスター地区の乳幼児の「哺乳ビン虫歯」や、歯科ケアを探し求める市民からの「市長の健康110 番」にかかってくる頻繁な問い合わせ、患者が最も必要とする歯科医療を提供する歯科医師の減少、近接する地区の歯科医院の最近の閉鎖などがある。
事態はひどく悪くなっており、保健局は来月にも大ボストン地区の口腔衛生の需要に関して議員や世間の認識をたかめるため、公聴会の開催を計画している。
すでに市当局は新しく虫歯の予防処置を追加することも考えており、この中には虫歯を減らすためのシーラントや、ボストン市内を定期的に回って歯科サービスを提供する循環診療車が含まれている。
ボストンの水道は1978以来、虫歯を予防するフッ素が添加されているのであるが、市当局は、こうした問題の背景には、歯科をカバーしない保険や歯科医へのアクセスに問題があると言っている。
「歯科医へかかれない事が、ボストン市の住民の健康の最大の危機です」との市の公衆衛生局上席参事官のジョン・アウエルバックさんはいう。「問題は、保険のない人や一部の保険しかない人、医療扶助(メディケイド)を受けている人を優先したがらない供給側、供給側のケアに対する保険からの不適切な弁済などがこんがらがっており、複雑です。」
同市の保健年次報告書である「ボストン市の保健・1999」が引用している統計によると、「1995年のタフツ大学歯学部の小児歯科計画で診察した 4歳以下の幼児の18% に哺乳ビン虫歯が見られた」という。これは子どもが寝るときにジュースやミルクを与えられることで起こる痛い虫歯である。この治療には、子ども一人あたり4,000 ドルくらいの費用がかかる。
1996年の未公表の調査によれば、ボストン市内に107 校ある高校の生徒の90% が歯科治療を必要としている。この報告書は同時に、市内の高校生の未処置の虫歯の数は全国平均の4倍である、と言っているが、その理由が統計上の相違なのか、保険の適用のあるなしのせいなのか、歯科医にかかることの難易の差によるのかどうか、細部にはふれていない。
1995〜1998年間に「市長の健康110 番」にかかってきた相談のうちで、歯科に関する事はプライマリーケアに次いで2番目に多かった。(しかし、プライマリーケアや歯科治療のような特殊な健康サービスの要請で多く聞かれたのは、これに一般の健康保険の適用を求める市民からの電話であった)。
ボストン市内のホームレスの生後3か月から17歳までの子ども114 人について行った1994年の調査によると、こうした子どもたちの未処置の虫歯の割合は、ニューイングランドの平均を大きく上回っており、8倍近くに達している。
1997年にドーチエスターの小学校88校で検診したところ、そのに44% に明らかな虫歯が見つかり、11% に歯周病があった。「しかも、その子どもたちは2年生ですよ」と、この検診に協力したドーチェスターハウスの開業看護師エミリー・ファインベルグさんと言っている。
こうした児童は、メディケイドで歯科医療費は扶助を受けているものの、この保険を取り扱ってくれる歯科医や、タイミングよく予約をしてくれる歯科医がなかなか見つけられないでいる、と彼女は語っている。ファインベルグさんによれば、毎年の歯科検診は学校も要請せず、ボストンでは学校の歯科診療室もないそうである。
このような歯の危機がある一方で、ボストンばかりか州全体を通じて、手近に歯科医療を供給してくれる者の数は減る一方である。
この夏、年間3,000 人の患者の診療を行ってきたジャマイカ・プレイン歯科医院が、保険による歯科医療費の弁済があまりにも低額なために閉鎖された。この医院はマーサ・エリオット・ヘルスセンターに基づいていたのであるが、保険から支払われる金額は、請求額に対して多くて38% でしかなかったのである。
そしてマサチュセッツ州の4,700 人の歯科医のうち、今やマサチュセッツ保険として知られているメディケイドを取り扱う歯科医は800 人以下にしか過ぎない、とマサチュセッツ・地域保健センター連合会の統計は述べている。
そのほかの州では、特にコネティカット州やニューヨーク州などが、学校の中に歯科治療室を設置することで若年者の間に蔓延し出したこの歯の問題との戦いを開始した。
これらの事実や、患者や労働者ばかりか子どもの両親、歯科医師などからの証言などが、12月7日のこの危機に関する公聴会で発表されることになっている。その会場は、ジャマイカ・プレーンのブルークサイド地域健康センターで、午後3時から行われる予定である。この公聴会は、保健センターや市の公衆衛生局、ボストンに基盤をおく「全住民のための保健ケアを進める会」という団体が協賛している。
(この記事は11/27/99づけのボストン・グローブA01 面です。 Copyright 1999 Globe Newspaper Company. )
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