動物愛護法5年目の見直しシンポジウム
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動物愛護法5年目の見直しシンポジウム・7月24日
市民会議が幹事を務める動物との共生を考える連絡会が来年に迫った愛護法の見直しに向けて各分野の講師にお話いただき大盛況でした。
ここに抜粋を載せます。
基調講演:怒りと暴力・唐木 英明(東京大学名誉教授)
人はなぜ人を殺すのか。或いは人が動物を殺すのかについて考えたい。
昔は人が動物に殺されていた。動物が動物を殺す理由は生きるため肉食獣が草食獣を襲う、けれど縄張り争いやメスをめぐる争いは決定的な殺し合いは少ない。ところがハヌマン、ラングール、チンパンジー、ゴリラやライオンは前のハーレムの主の産ませた子を全部殺し今のハーレムの主である自分の子を産ませる行動をする。これが動物の子殺しであることが分かった。
ローレンツの考えでは道具が無いころは殺人は無かったので人間には同種殺傷防止機構が発達しなかったが、人が動物への狩りの道具を作り、動物を食料として狩をするになってから、人も殺すようになった。
中世期キリスト教は野獣は悪魔と罪人の象徴で人には動物への愛護の義務は無いと考えていた。また中世期は動物の狩は貴族の特権であった。だが18世紀ロックは「心は体のはたらきだ」と唱え、人と動物との境界は小さくなった。19世紀に動物虐待防止協会が作られたが、狩りは別だった。現在はさらに距離が小さくなり、動物は人と同じように苦痛を感じる。遺伝子レベルでは人との差は小さい。魂は脳の働きで、進化の結果生まれたもので動物も魂を持つと考えられている(魂の定義による)しかし動物虐待は続いている。
脳の働きを考えると、愛護も虐待も大脳の働き(図参照)である。即ち視床下部辺縁系は快楽を求める脳で、食欲、性欲、暴力をつかさどり、不満な場合は暴力を繰り返し、動物虐待へつながるる。ここで快感を感じるとドーパミンを産出し次の快楽を期待する。前頭連合野は愛着をつかさどり親子、夫婦、親族、隣人、動物への愛を感じ動物愛護へもつながる。
そして現在は動物と人間の境界はさらに小さくなり、動物も人間のように苦痛を感じる。魂は脳の働きであり、進化の結果生まれたもので、動物も魂を持つ(魂の定説による)といわれる。
われわれが覚えることは3つあり、1、は体で覚える記憶(自転車、水泳など)2、学校などで言葉で説明できる記憶、3、家族、友達、動物、自然との付き合いなど社会性である。
動物を虐待しない脳を育てるには社会を作る脳
(知識や思い出、規則、懲罰など)を覚え、知的活動を実行し、種の保存、自己保存などの本能の食欲、性欲、暴力を制御して、うまくいかない場合のストレスに慣れ、自分勝手なことは罰を受け、うまく言った場合は誉めることの快感を覚えさせるという社会性を教育していくことが大事である。
アドバイザーの言葉
河野太郎(自民党衆議院議員環境部会長)
愛護法成立の時は皆さんと何が必要か、その時出来ること出来ないことをはっきり分けて討議し、いろいろなデータも戴いた。5年間でやってこられたこと、出来なかったことの内容もよくチェックし、今後どうしても必要なことをはっきり例を挙げて、議員立法の後押しをするように持ってきてください。
北村直人(自民党衆議院議員動物愛護管理小委員会委員長)
今回の見直しの責任者として、皆さんのあらゆるお話、要望を聞いた上で法案を作り、来年の連休明けごろに国会に提出したい。動物の戸籍を作りたい。そのため毎月の小委員会には皆さんもぜひご出席になり、ご意見を出してください。
城島正光(民主党衆議院議員)
前回は党を一丸にまとめて法制化した。
もう見直しの時期かと感慨に耐えない。今回は問題多いペットショップの規制、営業停止をぜひ入れたい。実験動物は私も参加していたことでもあり、今回は避けて通れない問題だ。青少年の凶悪犯罪の多発もあり、心身ともに健康な社会を作るために国会で多くの議員に働きかけたい。
今、出来ることは
林 良博(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
環境省の見直し検討会では議員立法の材料の選定に当たっているが、今後5年間で出来ること、出来ないことの区別が必要だ。繁殖業、登録業、販売業への規制の強化は必要だ。そのために愛護推進員制度の強化は絶対必要だ。また実験動物については第3者の評価法が必要だ。これはピュアレビュー(専門家による評価)が適当である。規制緩和時代だが強化すべきはやるべきで、所有者責任(家庭、実験、産業動物)は強化すべきだ。家庭動物の福祉向上も大いに叫ばれているが、このためにも推進員制度の位置づけをはっきりするべきだ。今回の改正にも付帯決議をつけ5年後ごとに改正するようにしたい。
畜産動物の福祉
内藤善久(岩手大学教授)
東洋では仏教思想に基づき動物との連帯性を重視し、また西洋ではヘブライ思想に基づき人が利用するためのものとして動物との関係が作られた。そのため東洋は動物福祉が遅れている。
EUでは子牛は8週令以上、また群れ飼い子牛の飼育の面積は150kg以下は1.5u以上、150-220kgは1.7u以上,220kg以上は1.8uに決まり、豚は10Kg以下は0.15u、110kg以上は1uのように決められている。2003年以降、鶏のバタリーケージは、1羽当たり最低面積は450→550cu、高さ40cm以上に拡大、新方式の場合は750cu以上、砂場、止まり木つきになった。また輸送業者もストレス減少のため、輸送時間(8時間以内休息含む)、給水の間隔、輸送車内で動物の占める面積も厳しく決められている。
と蓄業者:と蓄場に入れられた時から休息、スタンニング(失神)とその過程の間ストレスを与えない方法が決められている。
米国では58年に家禽の法律、66年動物福祉法(但し家畜は除く) が成立した。95年人道的なと蓄に関する法が再提出されたが未成立だ。EUは時間をかけて愛護基準を作っているが、国際的な競争力が低下する恐れもある。
国内ではこれらの国際競争に参加しなければならないが、わが国の畜産動物の福祉はまだ啓蒙の範囲で、これからの問題だ。終わりに小岩井農場の広い野外の鶏の牧場を見せます。健康で良い味との評判で価格は高いが充分採算に合っている。
愛護法の見直し
鍵山直子(自然科学研究機構生理学研究所)
愛護法には実験動物に関する項目が第5条(飼育規準)と第24条(苦痛の緩和Refinement)とにある。
5条は機関の長と飼育責任者にかかり、24条は実際に科学上の利用に供する実験者の「洗練」にかかる。
ただし、飼育は環境省所管で、実験は文科省所管と別れているが、実際には飼育と実験は切り離せない。私が日本は法で縛らない自主規制が行き届いていると説明すると諸外国では実験がスムースに進むだろうといわれるが、透明性に欠ける点もあり海外からは法体系が見えにくく、勢いアメリカの規制で出さなくてはならないこともある。私は次の3Rを今度の改正で24条に盛り込むべきと思う。(Replacement代替Reduction削減Refinement洗練)にプラスしてRsponsibility(責任)も加え4Rとしたい。またこのような自主管理には第3者評価が必要だが、これはピュアレビュー(専門家の評価)としたい。
マウスは集団飼育のほうが丈夫だが、一匹づつでないと正確な科学的データが得られないことがあり、無駄に生命を殺すことになる。このときは一匹で飼育実験したほうが命を大事にすることである。
ペットの輸入について
大矢秀臣(動物輸入業者協議会事務局長)
私はペット輸入業者として、インターネット上のペット販売、通信販売の禁止を訴えたい。
ネットの写真だけ見て即送金、買い取った動物にあまりに問題が多い。下痢、目やに、他感染性疾患などあらゆる病気が多く、抗議しても発送時は丈夫との返事、或いは返金に応じないなど売主側の資料も何も無く治療費も泣き寝入りだ。
マニア同士の販売でもワシントン条約で禁止された動物の販売、感染症の問題など非常に多い。
ダチョーの輸入も大部分が禁止だが、原産地が変われば許可になり、国内に入れば希少動物として環境省の許可無く移動は出来ない。ダチョー牧場として、繁殖、販売する業者をぜひ動物取り扱い業として取り締まって欲しい。また私は、動物輸入業者はすべて届け制ないし、許可制にして欲しいと何年も前から関係機関にお願いしているが、経済産業省は規制の時代では無いと未だに変わらない。
自治体の取り組み
本田三緒子(東京都動物愛護相談センター多摩支所主任)
都条例で、狂犬病予防法、動物愛護法にかかる相談を担当している。相談は多岐にわたり、食鳥、野鳥、学校飼育動物、好き、嫌い、飼育方法まである。動物愛護推進員、市町村と役割分担をして進めたい。最近はネコの問題が多い、地域ネコ、野良猫、などによる被害、迷惑などの他、飼養の仕方、鳴き声、などの他に、虐待の問題がある。水や食事を充分与えない。猫の問題で飼い主に金を払わないと殺すという通報で駆けつけたが、私たちには立ち入り調査権が無いのでどうも出来ず、警察官を呼んで調べてもらった。
犬の散歩で自分の犬は安全だからと紐なしで散歩させる人が良くあるが、逆に交通事故、咬むなどの危険と、毒入り餌を食べるなど事件もあり、係留の義務を守らないと逆に犬の命を守れなくなります。
咬傷事故も多い。48時間以内に獣医師に届け検査してもらわないと危険ですが殆ど守られない。また、犬がマンションや自動車の買い上げの景品に出される例も多く、命を景品化するものでよくない。クレーンゲームでミドリガメやハムスターが景品になっている例もおおいので、見つけたら都にお知らせください。なるべく早く改善させます。
ペットの法律相談から
矢花 公平(弁護士)
ペットショップの登録制について付帯決議では1、優良業者の育成、消費者保護のために考えるべきとなっているが、私は実際には消費者が不利な取引を迫られてる例が多いことを言いたい。
1、売買契約書が無い(一目ぼれで買ったなど)
2、一方的に業者が有利な内容が多い
3、消費者契約法(H13年制定)を知らない。
ある契約書では生き物は天地の産物なので病気、死亡、などでは返金できない。契約解除できない。などの内容があり、返金を迫っても契約した以上無駄と断る例が多いが、これらはすべて消費者契約法、又は瑕疵担保の責任賠償法で処理できるものだが、一般の人は契約した以上仕方が無いと泣き寝入りが多いのは残念だ、消費者センターによく相談して欲しい。付則10-3の業務停止の項目を入れることは、業者への心理的圧力の面でも有効だから今回ぜひ入れたい。
私たちの考え
青木貢一(動物との共生を考える連絡会代表)
1、動物虐待の定義の明確化。未だに動物虐待を器物損壊で捕らえる警察が多いので、愛護法での虐待の定義をよりはっきりさせたい。
2、動物取り扱い業は、社会的レベルを高めるために、一定の講習を受け資格を持った担当者を置き、登録制ないし許可制にして全体の資質を高める必要がある。3、動物実験の改善、4、英国並みに虐待の実態に立ち入り調査が出来る権限を持った調査員制度の確立。5、動物愛護担当職員は全国自治体でまだ条例が完備していない県があるがこれは「置くことが出来る」という努力規定の部分を置かねばならない」の義務規定にする必要がある。推進員制度及び協議会を強化して更なる格上げが必要だ。
5年後の再見直しまで待たずに、今必要なことは直ちにやらねばならないと思います。
*敬称省略しました。
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