希少動物を感染症から守れ!西表に条例可決
「島だから出来るのではない。大切なのはみんなが協力すること」
イリオモテヤマネコを守ろう!ヤマネコ保護へ向け条例可決
沖縄県・西表島(竹富町)の絶滅危惧種イリオモテヤマネコを猫との接触による感染症から守るための条例案を、同町が6月議会に提出し、可決された。今後、詳細部分が決定次第7月中を目標に施行予定とのことで、希少動物保護のため猫の飼い主を国内で最も厳しく規制する試みとして注目される。
条例は飼い猫のマイクロチップによる登録やウイルス検査と予防接種、屋外で飼う場合の避妊・去勢手術などを義務付ける内容で、猫エイズを引き起こす猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)のヤマネコへの感染防止が目的。2001年施行のネコ飼養条例の改正案として細則の整備後に7月から実施予定。
長崎県・対馬ではツシマヤマネコがFIVに感染した例があり、竹富町自然環境課は「飼い猫の管理を厳しくし、ヤマネコとの接触を徹底的に防ぐ」としている。
希少動物保護などの目的で猫の飼い主に制限を課した条例は他に東京都小笠原村や沖縄県のやんばる地域(国頭村・大宜味村・東村)に前例がある。
世界遺産登録を目指す小笠原諸島では、飼い猫の適正飼養条例として平成11年4月から登録制度を実施している。マイクロチップの導入はされていないので、登録と同時に特定の首輪を配布しているとのこと。現在135頭が登録されている。今後の方向性としてマイクロチップを埋め込んでの繁殖制限(避妊・去勢手術)も条例の中に盛り込む予定だ。
一方、やんばる地域の三村では平成15、16年度の環境省によるモデル事業で猫にマイクロチップを挿入し、平成17年度に施行。現在153頭の猫がマイクロチップ挿入済み、そのうち76頭が登録されているとのこと。この猫の愛護及び管理に関する条例はヤンバルクイナなどの希少動物の保護と猫の管理のために定められている。避妊・去勢手術に関しては義務ではないが、現状から考えてなるべく行って貰うように飼い主に要請しており、ワクチン接種は飼い主に一任している。やんばる野生生物保護センターによれば、マングース駆除のワナにかかってしまった猫が飼い猫かノネコか区別がつくようになったという。
マイクロチップによる登録義務化は、やんばる地域についで西表島が二例目。ウイルス検査と予防接種の義務化は国内初の試みで、島外からの猫の持ち込みを制限するのが狙いだ。
西表島には現在、飼い猫が200〜300匹と野生化したノネコが数十匹いると見られている。ノネコについてはこれまで九州地区獣医師会連合会(福岡市)や環境省が住民の協力を得て捕獲や飼い主探し、餌場となるゴミ捨て場の廃止などを進めてきた。今後もノネコは島外へ搬出し、ヤマネコとの接触を防ぐほか、FIVなどの感染猫は収容したり、健康な猫と同じく里親を探す(すでに感染症にかかっている猫を飼育している飼い主などをあたる)など、飼い猫として天寿をまっとうできる機会も与えている。やんばる地域及び竹富町の条例制度に関わっている沖縄県うるま市の長嶺獣医師は、「こういうことをしているとよく、島だからできるのだと言われることがあるが、それは違う。それぞれの地域や環境に合った方法が必ずあり、みんなで協力しようという姿勢が大切」と語る。
東京新聞
他、竹富町自然環境課・沖縄県自然保護課・国頭村環境衛生課・やんばる野生生物保護センター・ながみねどうぶつクリニック長嶺獣医師・小笠原村役場のお話より



