インターネット猫虐待事件
世論が検察庁と裁判所を動かした!
インターネット猫虐殺事件の被告に有罪判決
猫を虐殺する様子がインターネットで公開された事件で「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法)違反の罪に問われた広島県呉市の無職・松原潤被告(27)に、福岡地裁は10月21日、懲役6カ月執行猶予3年(求刑懲役6カ月)の有罪判決を言い渡した。
判決によると
被告は今年5月6日夜から7日未明にかけ、当時住んでいた福岡市の自宅アパートで、ホームレス猫の耳やしっぽをはさみで切断したり、ひもで首を絞めて殺害。そのようすをデジタルカメラで撮影して、インターネットの掲示板で実況中継したという。
これほど残虐な事件を引き起こしながら懲役6カ月執行猶予3年というのは罰が軽すぎるとは思うが、2000年12月に「動物愛護法」が施行される以前は、動物虐待の罰は「動物の保護及び管理に関する法律」(旧動管法)で「3万円以下の罰金又は科料」と、信じがたいほど軽かった。しかも、74年から95年ま での22年間に適用されたのはたったの139件。そのうち(略式)起訴となったのは、たったの71件だ。それを考えれば、はるかに重い罰といえる。
この有罪判決の背景にあるのは、市民の怒りの声だ。
当初は、福岡県警と警視庁が5月22日に男を動物愛護法違反容疑で書類送検したものの、男が殺害を否認。画像だけで虐殺を証明する難しさから、捜査は頓挫するのではないかと見られていた。しかし、男の厳罰を求める数千(!)にのぼる嘆願書や電話が福岡地検に舞い込み、事態は一転。
同地検は獣医師に画像の鑑定を依頼
その結果、猫の瞳孔が開くなど死んでいる可能性が高いと判断して、男を8月6日に逮捕、翌7日には起訴に踏み切った。ともあれ、北朝鮮による拉致事件への政府や官僚の対応に見られるように、現代の日本社会では、世論が政治や司法を変える大きな原動力となる。それは動物虐待事件についても同様だ。世論が盛り上がり、動物虐待事件の容疑者が厳罰に処されれば、「動物虐待は重大な犯罪である」という認識は社会で普遍のものとなる。
それが動物虐待事件を減らすことにつながるのは想像にかたくない。
なお、裁判官は執行猶予がついた理由として、被告と家族のプライバシーがインターネットで公開され、さまざまな嫌がらせを受けたことに言及。「いわば 『さらし者』にされており、行き過ぎた社会的制裁を受けた」と説明している。
一部の人たちが、虐殺された猫になりかわって「リヴェンジュ」をもくろんだのだろうが、これは法治国家では許される行為ではない。それより法廷で容疑者に厳罰が下されるよう、世論を盛り上げることに時間と労力を注ぎたいものだ。
フリージャーナリスト 香取章子



