uso.












とてつもない運動量を持った言葉を、
いまひとりになった帰り道で誰かが呟いている。

誰に訊かせるでもなく、ただ訥々と。
誰に訊かせるでもなく、足下に現れる土を照らしながら、ただ訥々と。
単語として対立するものがすぐそこに迫りながら、
ただひたすらに言葉を見つめ続けている。
表情もなく、
濡れてぎらぎらした眼差しで、ただひたすらに言葉を見つめ続けている。


吐いた息、
移動する残り香、
揺れる束っぽい髪、
軌跡を描く白い指先、
私は見ている、それを。
私は見ている、それを、間接的に。



家に着く頃、誰もいない部屋にひとりでに灯りが点るの。
まだ口が開いている、


「あ」

【 愛している 】 110515