uso.


















橙の明暗のシフォンが裾を翻す
ただ細いだけの腕で焦げついた紙吹雪を高く低く放っている
ときどき、まばらな拍手が鳴る
筋のない肢体はゆらゆら揺れて終りもなく膨張と収縮を繰り返す


油っぽい土が蒸された、
粘った空気が冷たい夜の風に巻かれて裸足を撫でつける。
静寂のなかで虫の羽音が近づき、
焚き火のうえで旋回しては炎のなかにじくじくと焼かれていく。
気が遠くなるほどの高さで星が鳴っている気がする。
爆ぜる音の先に鳥が起つ気配がする。
傍らに積み上げられたスチールを焼べながら、目を伏せ耳を澄ます。



誰かが私が帰るのを待っている。

【 墓守 】 100830














完全武装でやちだものベッドに横たわる。
西日が磨りガラス越しにてらてらと室内を光らせている。

 粗い皮膚から吹き出す汗、 装備に伸された体は疲弊しきっている―はあはあと息を吐いて、 あっという間に部屋中が油臭くなっていく。


 セミシングルの狭いベッドの上でごろごろ転がりながら、 ところどころほつれだした裾やら、 穴の空いた丸に指を引っかけるやらして出てくる糸で、素肌をぐるぐる巻かれたりしながら、 満身創痍になりつつようやく丸裸になった頃には、 皮膚はすっかり冷えきってがさがさに乾いている。
 (ああ、)とか(うう、)とか言葉にもならないことを喚きながら、眠るでもなく、
 こうきたらこうかわす、とか、
 一度命乞いしてみるのもありだ、とか、
 明日着るものがない、とか、
来るべき明日のことを考えている。

 家のランドリールームは空で、 同じくぼろぼろにほつれた服が資源回収の袋につめこまれたまま、 家の床じゅうに点々と放置されている。 胎児のポーズでまどろみながら、
 回収されたとしてどうなるのだろう、とか、
 プラスチックのトレーになって捨てられるのだろうか、とか、
 それだったらこのまま手元に残すのもありかな、とか、
煮え切らないことを考える。

 直線の暗闇のなかで突如として意識が立ち上がる。 ネガフィルムみたいな反転した思考のなかでも、やっぱり自分の姿だけは追えなくて、 色んな体験のあとをついていきながら、
 ああ夢ね、とか、
 そこでそうきますかね、とか、
 つまんなくなってきたしそろそろやめるかな、とか、
折角の夢のなかで現実的なことを考える。


 自分の油臭い部屋で汗をびしょびしょにして起きた頃、 私は玉虫色のシャツをなぜか着ていた。
 裸で歩いて回ると公然猥褻なので、私はしばらくそれを着てまわることにしている。 ほつれないし、超便利!

(続くのかも知んない)

【 まぬけな裸 】 100821