uso.
















それは箱。
部屋が狭い。
それも箱。
だからといって四角形に限った話ではない。



箱にはにはいろんなモノが放りこまれている。



(1)
 衣食住、最低限必要なもの。 自分に身分を与えてくれてる、少し厄介なもの。 あとは余計で何にもなり得ない、けれどどこか素敵なもの。 これはクロゼットのなかにも押しこめないし、 かといって上の2つのすき間に詰めておくには不恰好。 だからすぐ手に届く位置に投げられている。 整頓しても散らばることしかできないから、常に部屋は荒れている。

(2)
 フリーハンドで切りとられた箱の窓には空しか見えない。 建ち並ぶ家や町なみや、雑踏、人の気配、 朝から夜までのグラデーションによる光の色彩さえ透かせて、 ただ空そのものしか見えない。 地平線は空の色とおぼろげになって遠くのほうで滲んでいるから、 私はその線がどこで区切れているか認識できない。 もしかしたらいま立っている地上がずっと続いているだけかもしれない。 雨の日に窓は開いて、晴れの日には薄い黄色のカーテンがひかれる。

(3)
 部屋いっぱいに散らかったタンスや本棚が陰を落としている。 長くなったり短くなったりして時間が経過する。 夕方ごろ、あんまり影法師が伸びたので、いっしょに背伸びしたら背が伸びた気がした。 たぶんいま伸びたからいつか縮む気がして出来心にひどく後悔した。

(4)
 電子レンジが馬鹿になった。 冷蔵庫の奥で袋詰めの餅がかちかちになっていたのでレンジで餅を温めた。 みんなはみ出したいのにレンジが壊れるから餅はかちかちにひび割れたまま。 もしかすると、餅のほうがまずいのかもしれない。 どちらもどっちなのでやっぱりみんないけないと思いだした。

(5)
 必要に迫られて形を変えてみた。デザインを変えてみた。 拳を突き上げたら天井に穴があいた。 2、3日そのまま眺めていたけれど、箱として機能しないと思って穴をふさいだ。 跡が気にいらないので燃そうとしたら箱に喰われた。

(6)
 ・声にならない言葉(・・・ヒュゥ)
 ・言葉にならない思考(x、x、x、)
 ・宇宙(投げだされた?)



(結語)
 誰か総合して!(追ってきた箱がもうすぐそこ!)

【 訥々と、断片、箱のはなし 】 080429


















 文を打ちこみながら歌をうたった。

 文を打ちこみながらスピーカーのボリュームをあげて歌をうたった。 何べんも聞きかえした歌をうたった。 覚えのある詩が流れるように聞こえる歌をうたった。

 慣れないから曖昧にシャウトしてみた。
 慣れないから何べんも繰り返してみた。
 慣れないから頭をふり乱してみた。

 どれもいまいちでいらいらしたから全部やめてしまった。 やらなきゃよかったという後悔と、 思いどおりにならない音程と、 動いてるはずなのに端から死んでる頭と体。

 なぜか無性に腹がたってくるのに、どこかでほっとしている自分と、 どこかでやっぱり胎児のポーズをしてる自分。

 喰ってしまいたい。本当は地平線で頭ふり乱して絶叫したい。

【 嫉妬の斜め上あたり 】 080421


















 ところでBの頭はキャベツだ。キャベツでできている。
 何重にも厳重に結球した実は大きくふくれあがって堅く閉じている。 おそらくBは冬玉なんだろうなと僕は予想する。

 まわりにとり散らかった真っ青な葉には、晴れた日には紋白が、雨の降る日には容赦のない滴りが、 雨のあがった午後には葉をすべる雫がゆるやかに蒸発して、やわらかく優しい匂いがみずみずしく彼のぐるりを満たしている。 結球した実からほころびかけた、うすく色づいた葉からは青く熟れた香り。

 魅力的な彼のまわりにはいろんな人が近づいていくけれど、 僕は雨あがりに聞いた、ぱちぱちと固く結んだ葉に亀裂が走るのがBの本当なんだと思ってる。 彼に春玉という品種があるのを知らせてあげたいけれど、 彼が冬玉であるのはほぼ間違いないから仕方がなさそうだ。

 その風化しはじめたやわらかい葉から順に剥いてやりたい。

【 春の再来 】 080420