観測所と機材

Jan.22.2003 更新


このホームページに掲載した画像のほとんどは私が星仲間と八ヶ岳山麓に作った「赤色巨星観測所」の31cm反射望遠鏡で撮影したものです。

望遠鏡は開閉可能な屋根のついた小屋に格納されており、晴天で月のない週末には仲間が集まり星を観望したり、写真を撮影したりしています。

銀河を含む星の写真、CCD画像の撮影は長時間の露出を必要としますので、望遠鏡は露出中に正確に星を追尾できるように、またタワミやガタなどで星がずれないようにさまざまな改良工夫が施されています。

また最近は軸周りにエンコーダを組み込んで銀河などの対象が簡単に導入できるように導入装置「スーパーナビゲータ」を追加しました。
これにより「百発百中でど真ん中」とは言いませんが、望遠鏡のファインダーをのぞかなくても「スーパーナビゲータ」の表示通りに望遠鏡を向ければ撮像対象の天体を視野の中に導くことができますので非常に撮影効率が上がりました。

冷却CCDカメラは米国SBIG社のST−6という機種を使用しています。
ST−6は高感度が取り柄で、このホームページに掲載した画像も1ショット約3〜10分で撮影できます。
もっとも多数枚を合成して1つの画像に仕上げますので、ご紹介している作品はそれぞれ1〜2時間程度の総撮影時間を要しています。

また01年2月から同じSBIG社のST−9冷却CCDカメラを導入しました。このカメラも画素サイズが20ミクロン角と大きく、ST−6と同じように高感度なCCDを使用しています。
CCDサイズが10.2mm×10.2mmと大きくなり撮像に便利になりました。またST−6に比べてノイズが少なく画像処理が楽です。

撮像は冷却CCDカメラにCFW−6Aカラーフィルターホイールを装着して行います。
これは最新のモータ駆動フィルターホイールと異なり、手でフィルター切り替えをするタイプですが、ホイールにフィルターとともにプリズムが組み込まれていてカメラを取り付けたままで写野の確認ができます。

フィルターは当初SBIG純正OCLI製RGB三色分解フィルターを使用していました。これは干渉フィルターで透過率も良く定評のあるフィルターですが、赤外域での透過があるため別に赤外カットフィルターを装着しなければなりません。
2枚のフィルターを介して撮像するため、輝星のゴーストなどに悩まされました。

これの改善のため、99年暮れからトーカイ・タイプIIILRGBフィルターに変更し良い結果を得ています。
これは各色のフィルターに赤外カットコートが施されていることで赤外カットフィルターの装着が不要になりゴーストが減って透過率も上がったこと、色再現が銀塩に近く自然な仕上がりで、銀河のHII領域が良く写ることなどが理由と考えています。

ピントは作品の質を左右するので非常に重要で、ダイヤルゲージを使用して慎重に合わせます。
最良の気流状態の時は接眼部のドローチューブの引き出し量0.02mmの差でピントの変化が判ります。ただし大気の気流の状態の悪いときは像がぼやけてどんなに正確にピントを合わせても鮮明な画像になりません。

また同様に良質な画像を得るためには正確な日周運動の追尾(ガイド)も重要ですが、もともと私たちの観測所の機材は銀塩写真の長時間露出用に精密な調整と工夫がなされていましたので、これについてはCCD撮像を始めた当初からあまり問題は出ていません。

撮影した画像はMOなどに落として、自宅へ持ち帰り、画像の鮮鋭化、カラー化の処理を行っています。
別に述べますように、これらの処理についてもステライメージというすばらしい天体用画像処理ソフトができたおかげで、より自然な画像を得られるようになりました。

2002年11月に1眼レフデジカメ「ファインピックスS2pro」を導入しました。

このデジカメは従来に比べ長時間露出での熱ノイズの発生が画期的に少なく、銀塩写真に匹敵する画像を得ることができます。

また銀塩写真に比べて相反則不軌が無いことから短い露出で同等の画像が得られるので、撮影効率が飛躍的に向上します。
S2proの欠点の一つは電源で、ACアダプターを使用しないととても1晩の観測にたえません。
また記録は12ビットRAWでの保存が望ましいですが、情報量が極めて大きいので取扱いが大変です。
最近の銀塩カラーフィルムもそうですが、赤感度特にHアルファ輝線に対する感度が低く、赤い散光星雲の撮像には不利です。
惑星状星雲などの輝線で輝く天体は同じように銀塩で見慣れた色とは異なって写ります。
CCD受光面のゴミはもう一つの大きな問題です。
これは冷却CCDユーザーなら誰でも経験している問題ですが、銀塩から入った人は非常に気になると思います。

このようにまだいろいろの欠点はありますが冷却CCDの高感度、高解像度と銀塩写真の広視野、階調の広さの間をつなぐものとしてデジカメには期待ができるのではと思います。

なお、その後ニコンD70の赤外カットフィルターを交換しHアルファ光の感度を高めた改造機を入手しましたので、このホームページで作例をご紹介していくようにします。