文房具あれこれ
第9回 生体リズムの目覚ましスタンド
2001.12.12
文房具ではないし書斎の道具とも少し違うのだが、目覚まし機能付き電気スタンドを紹介する。
夜は寝っ転がって本を読むときの読書灯として、朝は目覚ましとして使いはじめた卓上型電気スタンドである。キャッチコピーは“生体リズムおめざめスタンド”、ニックネーム(?)は "assa"。なにやら谷岡ヤスジ風ですな。定価はほぼ三万円、卓上型電気スタンドとしてはちょっと高めの製品である。指定の電球は普通の白熱灯に比べてやや小ぶりの六十ワット・ミニクリプトン電球。
電気スタンドとしては、明るさを無段階に調整できることとオフタイマー(ボタンを押すと三十分後に消灯する)が付いていることくらいしか特徴がない。どちらも無くても構わない機能のように思われる。明るさは常に最大にしているし、オフタイマーはどういうときに使うのか用途がわからない。
このスタンドには時計が付いている。時計は乾電池で動いている(これは停電に備えてのことだろう)。この時計を使って目覚ましをセットするようになっている。目覚ましといっても単にブザーが鳴るだけではない。これが最大の特徴である。
設定した時間の三十分前にぼんやりと灯がともり、徐々に明るくなってくる。つまり人工的な日の出である。設定した時刻になると明るさは最大になりブザーが鳴る。ブザーの音も最初は小さくだんだん大きくなる。停止ボタンを押すとブザーは止み照度も落ちる(消えるわけではない)。そして五分後に再び明るくなってブザーが鳴る。五分ごとにこれを繰り返す。スヌーズ機構という。スヌーズを解除するには目覚ましの設定をオフにする(目覚ましの設定はスライド式になっていて、寝ぼけ状態での操作(目覚まし解除)は難しくなっている。これも気配りかな)。
この目覚まし機構がなんともすばらしい。ただの目覚まし時計の場合は“不意打ち”といった感じで起こされるが、このスタンドでは徐々に目が覚める。まさに生体リズムと称する所以である。使い始めてほぼ二ヶ月になるが、決まってセットした時間の十五分くらい前(すなわち灯がともりはじめてから十五分後)に“自然に”目が覚めている。ところがまだ眠いのでついうとうとしてしまう。そこでじわじわとベルが鳴る。空が白んでにわとりが鳴く。まさにそんな感じですな。使いはじめてから、目覚めの不快感はほぼ一掃された。これは大げさではなくほんとうのこと。
とはいえ、いくつか不満がなくもない。まずは目覚ましの設定がデジタルでないこと。このため、五分刻みくらいの大まかな設定しかできない。仕様書でもタイマーの精度はプラスマイナス五分とうたわれている。目が覚めたところでグズグズしているのだから、この程度の精度でも実害はないのだが、なんとなく落ち着かない。また、二十四時間制のデジタルなら設定時刻は一日一回なのだが、十二時間制なので放っておくと夕方にも作動してしまう。面倒でも朝に解除、夜に設定という作業が必要になる。いや、設定自体はスイッチをスライドするだけで極めて簡単なのだが、忘れないとも限らない。これは重要なことである。
ところで、起床時間が日の出のあととなる夏場はどうなるのだろう? 生体にうまく作用するだろうか?
もう一つの不満はそのデザイン。あまりにも無骨な姿である。デザインを云々する前にまずはその目でお確かめあれ。
これがその勇姿。背景がごちゃごちゃしていて申し訳ないが、狭い部屋ゆえどうしようもありません。

ご覧の通り、デザインはお粗末としか言いようがない。傘の下にはガードがついている。おそらくこれは、寝ぼけて操作して(目覚ましだから十分に想定されることです)転倒させてしまったときに電球を割らないための措置だと思われる。また、土台が異様に大きいのも転倒防止のためだろう。と、細かいところにも気を配った結果こんな姿になってしまったのだろう。理由はわからなくもないが、とはいえ、やっぱりねえ・・・。
たしかにこれは優れた製品である。とは思うのだが、その目的そのものには悲しいものを感じずにはいられない。自然の環境にしたがって、つまりそとが明るくなったら目覚めるのが生き物としての本来の姿だと思うのだが、現代の人間の生活では自然環境を無視して、時間が来れば起きなければならない。それが悲しいのだ。本当なら、いくら優れた製品とはいえ、こんなものは使わずにすませたいところである。
松下電工 SB697_