『火星物語』について 

戻る


正直、『火星物語』と聞いて分からない方も多いと思います。
そこで、駄文ながら、ここで参考ばかりに紹介させていただきます。

『火星物語』は平成7(1995)年4月、文化放送(1134kHz)のラジオ番組『広井王子のマルチ天国』の中で、リスナー参加型ラジオドラマ『火星物語』として平成12年3月までの5年間全10シリーズ放送されてきました。

基本的に脚本は毎回番組に届いたリスナーのハガキを元に広井王子氏(ゲームプロデューサー)がスタジオで書き上げ、その場で録音するという形になっています。その場でドラマを作り上げるという作家としてはかなりのリスクを背負いながらも、毎回出演者・リスナーを楽しませ、そしてその日のゲストを立てるようなキャラクターも登場させるという神業的な仕事を行っています。

ドラマの大体は、横山智佐さん演ずる主人公の男の子もしくは女の子、それをサポートする千葉繁さんのアヤシイ動物もしくはジジイや男、主役に対抗する位置を占める役を豊口めぐみさんが演じています。こうしたプロの声優陣に加えて、広井王子氏が悪役、黒幕、若い男性そして持ち役の『ランディ』を演じてラジオドラマが構成されていく。

各シリーズの色は統一されておらず、シリアス、ギャグ、ラブコメ、イロモノといったものが投稿ハガキの内容(つまりリスナーの意見)にしたがって次々と作られてきました。あくまでシナリオを書くのは広井王子氏ですが、その元になるハガキ達は様々な想像力に満ちています。そこには常に『風』があります。『風』は命であったり、人であったり、現象であったり、物質であったりと様々な形をとります。ですが、風が伝えるのは誰の心にもある懐かしい記憶であり、新しい世界だったのです。それこそが5年ものあいだ物語がつづられてきた秘密だと思います。

この『物語』で面白いのはやはりその即興性です。シリアスな話を無理やりコメディにしようとする千葉繁さん、ときどき素に戻ってしまう豊口さんの演技、これまたときどき白くなる広井氏の原稿(これをどう埋めるかがまた面白い)、失敗を更なる演出に変えてしまう『ドラマ』そのものの雰囲気。そして、原稿を小説にしてしまうと全くつじつまの合わないシナリオ。こうしたものは、他のスタジオで収録してしまうラジオドラマでは決して味わえません。

ラジオドラマのみならず、小説、漫画、ゲーム、CDといった形で様々なメディアに『火星物語』は世に登場しています。機会があれば、ぜひ触れてみてください。このような紹介文では伝えきれない、人の想像力のすばらしさを感じることができるはずです。

ちなみに、現在ラジオでは『マルチ天国』の後番組として、『広井王子のマルチ天丼』が同時刻に放送されています。そこでも、同じようにリスナー参加型のラジオドラマ『ドラゴンテイル(dragon tail)』が放送されています。これは『火星物語』と異なり一話完結型のドラマです。こちらの方が初見(初聴?)の人にはとっつきやすいかもしれません。独特の雰囲気のドラマですが、こちらもなかなか面白いのでお薦めします。

戻る


ホームページに戻る