『Sultan 〜The Lovesong is Forever〜』
Feles Scenario Another Story Part3
“いつか笑顔に到る日々” by 縮み吾木香様
僕は仔猫を抱えて部屋に戻った。
#レクス あ、あのさ……
部屋に戻るなり、僕はシーリーンに向かって遠慮がちな声を出していた。
#シーリーン どうかしました?
#レクス え、えっと……その……
少しの間言葉を選んで、それからぽそぽそと伺うように聞いてみる。
#レクス あの……
#シーリーン ……ねこさん、ですか?
#レクス な、なんでっ!?
#シーリーン もう、なに言ってるんですかっ
#シーリーン 前に同じことしたじゃないですかあなたは
#シーリーン 二度も同じ手に引っかかりませんよーだ
あっ、僕は不意にあのときの光景を思い出す。
フェレースを後ろに連れてこの部屋に入ったことを………。
#シーリーン あなたっ! 今度はどんなねこさんですか? 早く会わせてください
#レクス あ、うん
泣き出しそうになったところをシーリーン怒られ、
慌てて背中に隠していた仔猫を前に出した。
#シーリーン お名前は?
#レクス それは、そのぉ………
フェレース!
決定しているのに、シーリーンの前でその名を口にするのははばかられた。
#シーリーン フェレースちゃん………
#シーリーン それでいいんですよね?
#レクス な、なんでっ!?
#シーリーン もう、あなったたらそればっかり……
#シーリーン あなたのことならなんだってお見通しです
#シーリーン わたしはあなたの妻なんですからっ!!
#シーリーン フェレースちゃんいらっしゃいっ
仔猫はその名を呼ばれると、僕の手を離れてシーリーン胸に飛び込んだ。
シーリーンは仔猫を抱きしめる。
#シーリーン おかえりなさい、フェレースちゃん………
抱きしめたまま、シーリーンはうつむく。
#シーリーン ……あなたのことはなんだって知っています
#シーリーン ずっと、ずっと、あなただけ見てきたんですから……
#シーリーン ……フェレースさんのことを忘れてくれなんて言いません
#シーリーン わたしのことを愛してくれなんて言いません……
#シーリーン だけど、笑ってください。あなたは笑っていてください
言葉を切るごとに、シーリーンの声が湿ってくる。
#シーリーン あなたが笑っているだけで、私がどれだけ救われたか………
#シーリーン セラさんが、ピアナちゃんが、ロッタ君が、
#シーリーン フェレースさんだって、きっとそうです!!
#シーリーン そのほかの沢山の皆さんだって……
#シーリーン あなたは沢山の人々の願いを背負っているんです
#シーリーン だから、笑っていてください……
シーリーンが泣き笑いで顔を上げる。
#シーリーン 笑っていれば良いことありますよ
#シーリーン 私だって、笑っていたら、あなたに会えたのですから……
#レクス シーリーン……
僕は矢もたてもたまらずシーリーンを抱きしめた。
仔猫は慌てて僕たちの間を擦りぬける。
#シーリーン あらっ? ごめんなさい
#シーリーン なんだか、顔がぐちゃぐちゃになっちゃいました
#シーリーン ねえ、あなた……
#シーリーン 久しぶりに一緒にお風呂に入りませんか?
#レクス うん、入ろう
#レクス 前みたいにあひるさん浮かべてさ……
#シーリーン もちろんです!!
シーリーンは僕の胸から離れて、パッと笑顔を見せた。
足元で仔猫が不満げに咽喉を鳴らす。
#シーリーン フェレースちゃんも一緒に、ね
#フェレース にゃ〜
フェレースは嬉しそうにシーリーンの足に擦り寄った。
Fin.
Afterword(あとがき)
こんにちは、ブタベストです。今回は縮み吾木香様のテキストをご紹介させて頂きます。
このテキストは『思いの行く先』の感想を頂いたときに、一緒に頂いたショートストーリーでした。内容は見ての通り、翡翠様の『hello』の続きですね。ここまで来て、ようやくフェレースシナリオが本当の意味でグッドエンドなのかな…と思います。ああ…なんかブタベの言いたい事ってこのSSですべて語られてしまっているので、何も書けません…さすが吾木香様。
吾木香様もブタベ同様、シーリーン萌えの同志なわけですが、添付されていたあとがきに以下のような文章があり、とても納得させていただきました。
『シーリーンはものすごく子供っぽく見えますけど、
その裏には深い思いやりが込められているんですよ。
時折シーリーンとイリナさまが重なって見えるときがあります。
以前少し書いたことがありますが、スルタンには、母性が欠けていると。
でも、その母性はすべてシーリーンに集約されているのではないでしょうか?
子供が生めないが故に、すべてに愛情を注げる存在なのではないかと思えてなりません。』
まさにしーちゃんの魅力を詰め込んだ感じで、いいなぁ…と思うわけです。
ちなみにこのテキストは吾木香様の許可を得て掲載していますので、無断転載は不許可です。