悪がき 三昧

少年の心は未知との遭遇
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逃げる
 大きな公孫樹が
竪清水町の西生寺に生い茂り、雀が集まっていた。境内は雀たちにとっては安全な場所であるはずだった。しかし、悪ガキたちには、殺生が許されない境内は最高の狩場である。

 ここでは匿名にさせて頂くが、同級生のO君と一緒に木造銃(パチンコの類)を持って西生寺の境内へ雀撃ちに行ったことがある。

 毎度出かけているから、住職に怒られることは知らないわけではない。それでも雀を撃つスリルの方が勝るから、スキを見てもぐり込むのだ。いつものように雀を狙っていると、住職が出てきた。逃げ出すと、住職が追っ掛けてきた。

 追いかける方は遅い者を捕まえるに決まっている。何度か追われていると要領を覚える。足が遅い私が捕まらないように連携して、まずいつもO君は遅く逃げ、追われる役目を引き受けてくれた。

 ゆっくりと追いつかれそうに逃げて、彼の方に住職を引きつけて、私はそのすきに別の方向に逃げた。私には追手が掛からなくなくなると彼は本気で走り出す。二人で同じ方向に逃げるのは一番まずい方法だ。

 O君が住職のおじさんを巻いたつもりでいたら、住職も頭を使うから、すぐ近くに来ていた時がある。びっくりしてまた走り出しそうなったが、ここで走れば自分が犯人だというようなものになる。

 そこで、一計を案じた。「○○ちゃん、……だね」とまったく自分は関係ないセリフを住職のおじさんに聞こえるように言いながら、通り抜けて来たのには感心した。知恵が回るものだ。

 後から住職が来て、O君の親父さんに話していったことによると、境内にある水晶が傷つけられたり、盗まれるのを心配したのだという話だった。

 犬の頭蓋骨
 ある時、桃山町の四つ目川近くに豚舎を見つけ、眺めていた。
 豚の餌を煮ている大鍋の中を見てびっくり。動物を煮ているように見えた。近くに地面には犬の頭蓋骨がゴロゴロ落ちていた。

 緑町近くの中華料理店のラーメンは肉が厚いという評判だった。ここは、この店がやっている養豚場だと聞いた。その当時は肉が多いラーメンだと評判だった。

 これはてっきり野犬を捕まえて殺して、煮ているのだと思った。
 悪いことを想像した。
ここでそういうカラクリをやっていたから、おお儲けをしてるのだと頭がそっちの方に行っていた。

 急にこわくなって、逃げ出そうと思った。
 すると、我々を追って来る人がいる。それを感じて、逃げ始めた。走る走る。逃げた。やっと、誰も追いかけて来ないと判って、安心した。

 壁にボール
 子供数人で、K宅の壁に向かって投げては受けて楽しんでいた。子供の無邪気なボール投げにしても、家の中にいる人にとって相当カンにさわるものだ。昔の作りの家であれば、なおのこと、中に響く。大人になって今考えると、Kさん宅には迷惑を掛けたと痛感する。

 やはり、昔の人でも、「こらー!投げるんじゃない」と怒鳴ることができる人もいるが、できない人もいる。そこの人は、子供がボール投げをしている間には何とも言わなかった。翌日家まで来て、親に文句を言って来た。私の母はまま親で極めてキツイ人であったが、子供の腕白はよいと思っているフシがあった。だから、K宅の母が文句を言いにきたのだけど、適当にあしらっていたようだ。母は才覚のない子供は大嫌いだった。私がアイディアで何かをやらかせると、意外と喜んだようすである。


 わらの山へ
 ケイバジョウから下りて来ると、田んぼに脱穀したあとの藁がハザではなく、山のように積み重ねてあった。そのワラの山は、上の畑の上から飛び下りると、おもしろいぞ、と呼びかけているように見えた。

 飛び下りると、今でいうトランポリンの感覚になるので、数回続けてやって楽しんでいると、そこへ町で時々顔を見かけた青年がこわい顔をして出てきて、怒った。

 言葉ははっきりは分からないが、
「汗水たらして米を作っているのに、なんていうことをするのだ。遊びではないぞ」
と言っているようだった。


 悪がき捕まる
 友達と二人である畑で青ネギの頭を切って、管状になった部分に水鉄砲で水を入れていた。これは子供にとってこんなワルサは最高に面白い。油断していたら、大沢のおじさんに突然首根っこを友達と二人とも掴まれた。驚いた、驚いた。
 きっと大沢のおじさんは、子供が畑を荒らすのが我慢しきれなかったのだろう。親に渡す前に説教をタップリされて釈放されたが、それで懲りるわけではなかった。

 町に住んでいると、こういう地道な生産する苦労を知らないから、考えが甘いのかもしれない。人の生産していることを邪魔していても、ちっとも気づかない。子どもの無邪気は人の生活を破壊していたのかもしれない。


少年の心は未知との遭遇
 三又の本格的なヤス手を持っていたのはO君だった。羨ましかった。

 二人で清水町の裏へ行った。人の見ていないのを見計らって、よその池の鯉にヤスを投げつけ、刺さった大きな鯉をさっと引き上げ、それを川に放った。あれは、キズしたまま下流に流れていったが、死ぬだろう。

 あるいは、田んぼのカエルを捕まえ、尻から空気をストローで入れ、パンパンに膨らまして貨物の線路の上に置き、つぶすのは朝飯前だった。小学校の高学年、中学の1年までは悪さして回っていた。それが少年時代の遊びであり、未知との遭遇であった。


 
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