隔絶された裸の人々 イゾラド
イゾラドとは、文明と接触のない先住裸民族
                        NHKスペシャル 「沢木耕太郎 アマゾン思索紀行」

 イゾラド、アマゾンには裸で暮らす人々がまだ数千人はいるという。文明の側からは、「数千人も」であるが、先住民からすれば「数千人しか」であろう。500年前には先住民族は300万人いたと推測されている。

 番組では、イゾラドを保護する政府機関(FUNAIフナイ)の前線基地から、コルボ族(文明社会が最も近年に接触したイゾラド=96年初接触)と、絶滅部族のたった2人だけ残ったイゾラドを軸に、すさまじい勢いで世界を均質化する現代文明について考えていく。

 アマゾン奥地の開拓民から、食糧を盗むから先住民を駆除してくれとの要望から、生き残りと思われる二人が保護された。名前はアウレとアウロ。神経質なアウレと陽気だが片足の悪いアウロ。年齢は30〜35歳。男性。

 彼ら二人は、二人にしかわからない言葉を使っている。フナイに属する言語学者にわかった僅かな言葉から tati強い光、ui矢、muke銃 この三つの言葉におびえ、反応するという。つまりは、銃で襲撃され、焼き打ちににあい、部族が絶滅し、二人が残ったのではないか、と推測されている。

 二人には部屋と衣類を与えられ、保護された。朝、食事を与えようと部屋にいくと、二人はテーブルの下で膝を抱えブルブルと震えていた。「ジャングルブック」のオオカミに育てられた少年を思い出した。連れて来られた車が来たとき、彼らは着ていたものを脱いで裸に戻り、車に乗り込んだ。文明人の環境になじめないのだろう。

 先住民のパラカナン族の村に連れて行くと、おびえて車から降りなかった。次にアスリニ族の村ではしばらく暮らしたが、栗の実を盗もうとしたアスリニ族の若者を殺してしまい、政府保護地区に隔離した。

 1980年代、ブラジル政府はイゾラドを保護し文明化しょうとした。文明との接触後、イゾラドはまたたくまに死んでいった。彼らには病原菌に対する抵抗力がなかったので、59のイゾラドの部族が死滅した。

 「たとえ小さくても、彼らは国であり、部族である。部族の文化、言葉、神話を持っている。文明の名によって、世界を平準化していくのは、世界が貧しくなることである。どれほど私たちの文化と異なろうとも、彼らが死滅することは、私たちの豊かさを失うことである。」フナイの前線基地のボスであるポスエロは、カメラの前で語っていた。

 イゾラドが文明との接触を拒み、イゾラドだけで暮らす場所を守るか、あるいは、先住民同士が仲良くなり、文明を取り入れるか。

 多くの先住民は文明を取り入れる方向に進んでいる。それは、自分たちの思想、誇りのかなりの部分を放棄してしまうのではないか、と私は思う。文明の入る前と後では、多くの場合、それ以前の美しさが欠落する。純なだけ汚れやすい。田舎から都会に出てくると悪に染まりやすいと同じである。しかし、二人のイゾラドには文明に染まらない頑固さがあり、それが彼らを守っているようでもある。

 政府保護地区に隔離されたアウレとアウロ、沢木耕太郎が訪ねていくと、ジッと新しい侵入者を観察している様子である。特に神経質なアウレは沢木を見に来た。男二人では子孫は絶えるだろう。それでも、他の先住民族といっしょになるつもりはなさそうである。二人は、夜になると二人にしか通じない言語で語り合っていた。

 彼らの声が夜更けにきこえているのが印象的であった。これは、ルパング島の小野田少尉と小塚軍曹二人が残っていたソレに何か似ている。文明から引き離されて暮らさなければならないとしたら、かなりの孤立感がある。

  
  
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