1 朝夷奈峠/鎌倉十二所から池子の森へ
2 名越切通し/法性寺から逗子・鎌倉にまたがる浅間山へ
3 鷹取山/田浦から鷹取山〜古刹神武寺裏参道へ
4 仙元山/葉山教会から長柄へ〜阿部倉山をピストン
5 森戸川南尾根/大山林道から三浦アルプス縦走〜上山口へ
6 葉山縦断/大山林道から地蔵山〜峰山から長者ヶ崎へ
7 森戸川源流/大山林道から森戸川源流域〜乳頭山へ
8 二子山/大山林道終点から二子山〜南郷上ノ山公園へ
9 二子山北尾根/森戸川源流から桜沢尾根〜東逗子へ
  三浦半島 
 10低山彷徨 
その頃は、深田久弥の「日本百名山」がいつも心の片隅にあった。
仲間と毎月のようにどこかの山に登っていた。

山の天候が安定するつゆ明けを待って、夏山縦走に出かける。
今のような軽い素材でないテントは、
雨を吸うと余計に重くなり、リュックが肩に食い込んだ。
頂上に立つことを目的にした若い頃の「山」は、ひたすら苦しい登りに耐え、
山頂に立ったときの征服感が爽快だった。

初めて一人で山に登ったとき、
急斜面の登りの辛さと単独行の不安は、
残雪の広々とした雪原に出会うと、吹っ飛んでしまった。
山の名は「巻機山」(まきはたやま)、やさしい響きの、
上越国境に隠れた名山。忘れられない山の一つだ。

登山から山歩きへ、「山」と「いで湯」を組み合わせたものへ指向が移り、
山の中の秘湯に浸かるために、山ふところを歩くという時期もあった。
かつては担いだ20キロを超すリュックと同じ重さを、
自分の体に身に付けてしまい、やがて山から遠ざかると、
百名山は心の片隅からも消えていた。

長年、身につけてしまった重さを少し軽くして、
本棚の奥にあった本を手に取ってみた。
昭和57年、第1刷発行の「日本百名山」の文庫本、
表紙絵が気に入っていた当時のことを思い出す。
色褪せている最初のページをめくると、
登った山の名に赤いペンで印が付けられていた。
この先、33番目の百名山に登ることがあるかわからないが・・。

三浦半島には、百名山に載るような2千、3千メートル級の秀峰はない。
低い山の周辺はどこも開発の手が入り、
山路の木々の間には造成された家々の屋根、
野鳥の鳴き声と車の騒音が一緒に聞こえてきたりする。

そんな小さな半島の低山にも、山の良さは残っている。
手近な山歩きをまた始めよう。山をあちこち彷徨しよう。
荒れたコースには案内表示もない。脇道が多くどこに下りてくるかわからない。
三浦半島の名低山を探しに、
身体が重くなった分はリュックの軽さでカバーして・・さあ、出かけよう!
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