マタベーとおゆみ

 

1998年から1999年まで

1998年

5月12日

 かなりの雨の中,句を詠むのに夢中になって,マタベーのことをしばらく忘れていました.気が付くとマタベーは濡れ鼠で寒そうでした.マタベーの気持ちになって詠んだ川柳ともつかぬもの.

句を詠めば主は雨でも楽しそう

びしょ濡れでたった一人の心持ち

気が付いてジャーキー呉れたその笑顔


6月3日

 青緑色のセーターを着た雄のシーズー犬に逢いました.マタベーとすぐに仲良しになりました.

シーズーのちょこまか歩き薔薇淡し

6月10日

マタベ便秘あたしゃ近頃句に詰まり

6月18日

門口に猛犬注意日々草

 桜ニュータウンのある住宅.この家には猛犬マタベーに似た犬がいるに違いありません.これがマタベーなら,誰かが我が家に進入してきたら,飛びついて・・・甘えるかも.

6月23日

 紅紫の小さい朝顔が3輪咲いている家の白い小犬がマタベーを見て,生意気にも吠えました.

朝顔の咲きたる辻の小犬吠え

7月9日

 花室川の沖田橋にて.オハグロトンボは普通のトンボと異なり,ひらひらと飛びますね.

マタベーはお歯黒蜻蛉にからかわれ
 
 蝶がひらひら飛ぶのは,鳥などに目標を定められにくくしてするためだとか.オハグロトンボは飛ぶのが遅いですが,マタベーには捕まえられません.

7月13日

マタベーは竹馬のボロと再会す

 マタベー修行帳に書いたボロ君とマタベーはほぼ1年ぶりに遭遇しました.ボロは,小さい頃遊んだマタベーとは気付いていないようで,警戒して近づこうとしませんでした.わたしが思い出して名を呼んだところ,少し警戒しながら近寄ってきました.ボロは脱走してきた様で,近くに飼い主は見当たりませんでした.やがて,2匹は昔のようにジャレ合うようになりましたが,それを終えた後も,ボロがずっと付いてきてしまうのに弱りました.結局は500mほど付いてきて去っていきましたが,旧友の匂いが懐かしさを掻き立てたのかもしれません.

7月16日

 小雨が降ったり止んだりの繰り返しです.畑の間の道で犬を連れた少年に遭いました.マタベーとその犬は少し遊んで別れましたが,しばらくして,後ろから少年の泣き交じりの声が聞こえました.

向日葵や少年犬に引かれおり

 その犬はマタベーともっと遊びたかったようです.

7月17日

 いたずらを.

貝塚や雨にマタベがねぶの花

 西施とマタベーでは月とスッポンの差ですね.

7月22日

 顔なじみの雌犬のいるフェンスに首を突っ込んだマタベーの慌てぶり.

マタベーはフェンスに首が抜けなくて

7月30日

トロットを踏む柴犬や夏の朝

 マタベーが後ろから来るので,前を行く柴犬は後ろを見ながら,トロットのような可愛いいステップを踏みつつ歩いていました.

7月31日

おとなしい犬の集まる造成地

 土浦市の中(地名)には大きな団地が造成中です.以前はジョイフル本田の駐車場に集まっていた犬のうち,気の優しい犬の持ち主がこちらに集合するようになったようです.コルセットをしたコリーの老犬,チビで白のハナ,小太りのビーグル犬ラッキー,シーズーのバート.ハナを除けばみな初対面なのに,マタベーとすぐに仲良くなりました.先日ここで親しくなった黒ラブが今日はいないのが心残りです.


8月10日

溝萩は犬の穂槍か朝の庭

 マタベーが先を歩いている庭先のミソハギを,ふと穂槍のようだと思ったことでした.

8月11日

枯れ枝を踏み折る音にマタベ逃げ

 マタベーの後から行く私が枯れ枝を踏み折りました.その音に,飛び上がってマタベーは逃げました.後ろには私しかいないと分かっているはずなのに.それとも私だからこそ逃げたのか.

8月18日

マタベ行かばザッと逃げたる稲雀

 土浦市の中および右籾の田はいずれもまだ鳥威(とりおど)しを付けていませんでした.

8月20日

 夏期休暇の間,少し涼しくなった夕方には,近間の,でも徒歩で行くには遠すぎる公園や河川敷に,マタベーを乗せて車で行くようになりました.

 土浦市大岩田の霞ケ浦総合公園に行ったときのことです.園内を廻ってから,小高くなった休憩所で缶コーヒーを飲んでいると,やっと歩き始めたばかりの赤ん坊が,右手を前に差し出しながら,ヨチヨチとマタベーに近づいてきました.中近東系と見られる両親が,離れたところからそれを見ていましたが,心配しているようには見えません.やがて,マタベーの鼻に可愛い右手が触れそうになったとき.

ヨチヨチと赤ちゃん右手を差し出せば
後ずさりするマタベーの顔

 どうしてよいか分からないといった風で,マタベーは私の後ろに隠れました.その後,休憩所からオランダ風車に向かう途中でも,先ほどの赤ちゃんがマタベーに寄ってきましたが,またしてもマタベーはこそこそと逃げ出しました.

 そのときのマタベーの顔に,その過去を覗(のぞ)いたような気がしました.マタベーは拾われた犬です.おそらくお腹が空いていたためでしょう,フラフラになっているところを拾われたそうです.そのときの推定年齢は2ヶ月半です.生まれた家で,マタベーが赤ちゃんにジャレかかり,飼い主に怒られ,かつ捨てられた光景が私の脳裏をよぎりました.

 それはさて置き,2ヶ月半というのは,犬を親元から離して,新しい飼い主に引き取らせるのに丁度よい時期だそうですね.親元から離すのが早すぎると他の犬に馴れない犬になり易く,遅いと人間に馴れにくい犬になり易いそうです.

 マタベーは人間にも犬にも愛想がよくて,私にとってはありがたい犬です.

9月4日

 狂歌風のはすでに紹介しましたので,今日は都都逸(どどいつ)風のを.

子猫も二匹じゃわしゃ敵わんと
猫の看板マタベ避け

 今朝,花園に遊ぶ二匹の小猫の看板が地上近くに立ててあるのを,マタベーは横目で見ながら避けて通りました.2ヶ月ほど前,土浦市西根で,草むらにマタベーが入っていったと思う間もなく,二匹の小柄な黒猫に追いかけられて逃げてきました.私が猫共を脅してもすぐには逃げ出さないほど,猫共は気迫に満ち,恐ろしい形相をしていました.それ以来,マタベーは複数でいる猫を避けるのです.

# 都都逸の粋(すい)は粋(いき)ですが,不粋な私には粋な文句は浮かぶはずもありません.ホップの入っていないビールのような都都逸?はいかがでしょうか.

9月11日

菊芋よ出迎え大義とマタベ吠え

 我が団地の南側の出口は花室川に面する田んぼで,今朝戻ってきたときに,キクイモの花が一斉に我らの方を向いて,美しく咲いていました.本当は,マタベーは吠えませんでしたが^.^;

9月16日

 酔狂にも台風を見てみたいと,今朝,土浦市の桜ヶ丘ニュータウンと花室川を廻ってきました.住宅地の中では,鉢が幾つか転がっている程度で,風は余り強くはありませんでしたが,さすがに吹きさらしの6号線の陸橋の上や花室川の土手では,時折疾風が我らを襲いました.雨は大したことはありませんでした.

台風に付き合わされたマタベ哀れ

 早く家に帰りたいのでしょう,途中で何度か我が家の方向へ曲がろうとするマタベーでしたが,そのうち台風に馴れたのでしょうか,いつもより短い散歩に,我が家に近づいたら,帰るのがまだ早いというように,他へ行こうとしました.

9月18日

オオカミの子孫マタベの大あくび

9月30日

野牡丹や白馬の峰を歩きたし

 小雨降る朝の門口にひっそりと咲くノボタンを見て,情熱の残り火のようなものが掻き立てられ,あのノボタンのような女(ひと)と北アルプスを歩いてみたいと思いました.私と歩いてくれるようなひとはいないだろうから,来年の夏はマタベーと白馬へ行こうと思いました.


10月1日

 今日は長歌?に挑戦です.

柴折戸の曙の雨に     (しおりど)
また食べるマタベーを連れ
吉もあれば今日もまた
一歩二歩散歩に出でし

古池や省みすれば
千鳥鳴く五十路を過ぎて
豪傑のマタベーに引かれ
やむをえず散歩を始む

ひさかたの光りあふるる
平手打ち春の野原に

初心者の若葉のそよぐ
カレーもあれば林の初夏に

たて横や蓮の葉茂る
漢和辞典暑き真夏に

キャラメルや雨さえ混じる
疾風の野分の中に

肌を刺す木枯らしの中
また巡る春の兆しに

休みなく歩ける我を
世の人はまた風狂と呼ぶ

反歌

曙の雨にもマタベーと散歩せし
我を酔狂とひとこそ嗤はめ   (わらわめ)

10月9日

秋空にセッターの聲響くかな

 土浦市西根の鹿嶋神社の近くで,秋晴に,筑波嶺がくっきりと見えました.大きなセッターがマタベーを見て吠えています.セッターやポインターなどの猟犬にとって,獲物を追いながら鳴き続けることは大切な条件なのです.その声を頼りに猟師などが後を付けるのですから.したがって,よく響く声で鳴きます.ところで,セッターはsitterと同じ意味で,隠れている獲物に向かってすわることから名付けられたようです.ポインターは,片方の前足を上げて獲物の位置を示す(ポイントする)ことから,名付けられました.

10月12日

マタベーの走り登ればうろこ雲

 このところ,天気がようやく安定してきて,散歩も楽になりました.しかし,この秋は今までになく私の花粉症がひどく,今朝は少し頭がぼーっとしています.

 マタベーは,最近では時折リードを放してやって,自由に遊ばせています.車の通らない,人通りもあまりない小径などを選んでいますが.それで,安堵(あんど)したのは,「おしまい」と声を掛けると,マタベーは立ち止まり,リードを着けるまでおとなしく待ってくれることです.元々,この「おしまい」は家の中でマタベーと遊んでいるとき,もう遊びは終わりという際に掛けていた言葉なのです.初めて外でリードを着けけようとしたときに,正しく解釈してくれました.

10月14日

シマヘビとマタベ戦う朝ぼらけ

 今日までマタベーがヘビにちょっかいを出したのを見たことはありません.何度もヘビの側を通ったことがあるのですが,ヘビにマタベーが気付かないのです.一度などは,ヘビの上をまたいで通り過ぎていきました.今朝のようなことは初めてなので,詠んでみました.もっとも,マタベーがヘビと大立ち回りを演じたわけではありませんけれど.

10月15日

ラブがいるインパチエンスの花の庭

 盲導犬によく使われるラブラトリー・リトリバーはおとなしい犬が多く,マタベーと挨拶を交わしてくれます(匂いの嗅ぎ合い).今朝もパークシティー土浦のある家のラブとマタベーが,アコーディオン・ドア越しに挨拶を交わしました.

 ところで,私はインパチエンスは日々草の変種ぐらいに思っていましたが,図鑑で,インパチエンスはツリフネソウの仲間で,日々草はキョウチクトウの仲間であると知って驚きました.ある日,インパチエンスの花をめくって,花の後ろを見たところ,花が細い花茎(?)に吊られているのを見て,納得しました.

10月16日

石蕗の花を見守る老爺かな(つわぶき)

 土浦市内の高津貝塚から続く小径の脇に,老夫婦とヨークシャーテリア(ヨーキー)が住んでいる家があります.昨年の夏に,高津貝塚の入り口付近で,ヨーキーを連れた老婦人に会って以来,数回会っていて,始めはマタベーを避けていたヨーキーも,自分からマタベーに近づくようになっていました.このヨーキーは成犬ですが,とても小さいのです.チワワは世界最小の犬として知られていますが,私が今まで見かけたどのチワワも,このヨーキーよりも明らかに大きいのです.

 今朝は,その家の庭で,散歩を終えたと思われる老人が,小雨の中を傘も差さずに,ツワブキの花を見つめていました.

#石蕗やその花は,いづれも冬の季語とは驚きました.まだ,10月も半ばですから.

10月20日

脚上げてコスモス揺するマタベかな

 マタベーは,コスモスに挨拶したわけでも,横断歩道を渡ろうとしたわけでもありません.なにしろ,上げたのは後ろ足ですから.

10月22日

先を行くワンコの匂い嗅ぎ付けて
色めき立ちてマタベ駆け行く

10月26日

振り返り振り返りする
マタベーの期待むなしく
ジェントルワン現れず

 マタベーが子犬のときに知り合ったジェントルワンは厳めしい顔のこげ茶色の雑種です.顔に似合わず優しく,おとなしい犬で,初対面の小さなマタベーと遊んでくれました.マタベーが大きくなってからも,近くに散歩に行くたびに,遊んでくれたのですが,ここ3週間ほど,ジェントルワンの家の前を通っても,彼は現れませんでした.

10月30日

マタベーに侘しさなんぞ秋の暮

 秋もいよいよ深まって,わびしい景色,さびしい眺めばかりが目に付きますが,その感慨にふけること
ができません.マタベーのせいだ!


11月4日

吠える犬にはマタベも負けぬ
リード伝わる唸り声

 マタベーはあまり吠えたり,安堵(あんど)ったりしない犬ですが,最近は,攻撃的な様子の犬には,低く唸るようになりました.今日の唸り声は,あまりに小さく,リードに伝わる振動で,マタベーが唸っていることを知りました.

11月5日

マタベーが犬に食い付かれました.

 土浦市のネオジオワールド付近の農家から出てきた犬が,低く唸りながら,マタベーの後ろになったり,前になったりして歩いていたのですが,マタベーが前になったとき,走り寄ってきて肛門付近を食い付かれました.

 マタベーの前や後ろになりながら唸る犬は,今までに数匹会っていましたが,いずれも喧嘩(けんか)したり,噛んだりすることはなかったので,私は油断していました.

自戒:
付け馬と思いし犬の
オオカミに変心するも
時にあるぞよ

11月6日

マタベーと一月ぶりの再会に
チビは唸りてラン駆け寄れり

 桜川北岸の河川敷では,10ヶ月ほど前に知り合った雄犬のチビと雌犬のランにほぼ一月ぶりに会いました.チビは名前とは異なり,マタベーより大きく,ランはどんな犬とでも仲良くなれる愛想のいい犬です.

いつもならポチはマタベを無視するに
主人といれば吠え掛かりけり

 中高津のポチは本名ではなく,やせっポチだからと私が付けたあだ名です.マタベーがまだ5ヶ月ぐらいのとき,ポチの家の前を通りかかり,ジャキーをあげたら,それまでおとなしかったポチが,急にマタベーを唸りました.どうやら,ジャーキーを取られるのを警戒したようです.それ以来,我らが通りかかると,ポチはジャキーをせがみ,一方,マタベーはポチを避けますが,ポチもマタベーを相手にしませんでした.今朝,ポチはその主人と一緒でした.

11月10日

野を戻るマタベを飾る草の種

 最近は,原を駆け戻ってくるマタベーの体中に,たくさんの草の種が付いてきます.一番たちが悪いのはチカラシバか何かのイネ科の種で,先端は皮膚に食い込み,マタベーの毛と種の毛が絡み合って取りにくい思いをしています.

11月12日

シリウスをマタベー星と呼んでみる

 今朝は,この秋以降で一番の冷え込みで,ほぼ全天の星を見ることができました.子犬座はオリオンの連れている犬だそうですが,その一等星であるシリウスは,中国名でも天狼とか.

11月16日

鳩の飛び立つ羽音にマタベ
吃驚仰天エサ落し(びっくりぎょうてん)

 マタベーにジャーキーを上げようとした丁度その時,脇の家の軒下あたりから,鳩が急に飛び立ち,その羽音にマタベーはびっくりして,飛びすさり,ジャーキーを取り落としました.


12月1日

霧を行くマタベの白きシルエット

 マタベーのしっぽは白く,尻の当たりも一部を除いて白いのですが,霧の中を朝日に向かって先を行くマタベーは,シルエットのように霞んでいました.

12月2日

 宍塚大池からの帰りの林の道で,マタベーはどこかへ行ってしまいました.しばらくして,

ウンチをば首筋肩に塗り付けて
しっぽを垂れて戻るマタベー

 本能に導かれて臭い付けをしたものの,叱られることが分かっていて,すまなそうに戻ってきました.臭い付けは自分の臭いをカムフラージュして獲物に近づくための行動だそうですが,こちらとしては臭くてたまりません.

# 犬が臭いを嗅ぐ能力は,人間の1万倍というのを聞いたことがあります.それなのに,わたしが耐えられないあの臭さを,マタベーが何とも思わないのはなぜでしょう.おそらく,音や明るさと同じで,鼻の感度は臭いの強さの対数(対数の底が大きそう)になっているものと推察します.何であるにしろ,犬の鼻の許容レンジの広さには驚嘆します.

 まあ,人間と同じで,好きな臭いには耐えられるのかもしれませんが.

12月3日

 土浦市右籾の田んぼは,ところによってはすでに鍬返(すきかえ)しをしてあるところもあります.その中にマタベーは入っていきました.

シャンプーしたのに今朝また雨で
マタベ泥田で真っ黒け

 昨日の臭い付けを,朝は拭き取っただけでしたので,夜には風呂に入れて,きれいに洗ってやったのに.いつ頃から降り出したか知りませんが,今朝は,ときおり霰も混じる小雨が,降ったり止んだりしていました.

12月4日

冬枯れの野をマタベーと走りけり

12月8日

朝まだきマタベが上げた脚と湯気

 このところの陽気の中で,今朝はことのほか暖かかったのですが,昨日の雨で湿度が高いこともあったのでしょう,暗い未明の草むらにマタベーのおしっこの湯気が,はっきりと白く立ち上りました.

ジョガーに向かってマタベが走る
泥田を抜けてまっしぐら

 そのまま行かせては,マタベーが飛びついて真っ白な上下のジョギングウエアを汚してしまいます.
  「こらっ!」
大声を上げたら,マタベーは止まりました.

12月9

リード外せばマタベは着ける
泥のソックス草の種

 近頃,マタベーは泥田を走り回るのが,とても楽しいらしいのです.

12月15

マタベーは友達の犬歴訪す

 つくば市大角豆と並木のマタベーの友達の犬,5匹を歴訪しました.大角豆のチビは半年ぶりで,最後に会ったとき,マタベーが乗りかかろうとしたのを怒って,チビはマタベーを噛み付こうとしました.それを思い出したのでしょうか,マタベーはチビに近づきませんでした.チビの家までは,マタベーはわたしを引っ張るようにして行ったくせに.並木の大角豆2号公園のシロはいませんでしたが,テリア系のクロは遊んでくれました.しかし,クロは興奮するとすぐに呼吸がとても荒くなって苦しそうで,呼吸器系の病気ではないかと,短時間で別れました.

12月22

桜川へマタベ引っ張る冬未明

 マタベーの大好きな桜川方面に向かうと,まだ桜川まで2 kmも先なのにリードを引っ張り続けました.普段,リードを引っ張るのは,マタベーの友達のいる家の100 mほど手前からなのですが.

待てといってもマタベは聞かず
黒犬追って雲隠れ

 桜川の北岸の河原でリードから放つと,土手の上にいた黒犬を追って,学園大橋の下を上流方向へくぐり抜け,マタベーにとっては未知の町へ行ってしまいました.斎場や食肉協同組合のあるこの一角はわたしが敬遠して,連れてきたことはないのです.マタベーを見失ったわたしがとある町角を曲がると,そこにマタベーがしょんぼりと佇(たたず)んでいました.


1999年

1月5日

ラブとマタベが遊んでいれば
黒柴吠えて邪魔をする

 マタベーはパークシティー土浦の友達の犬3匹を訪問しました.3週間ぶりの訪問ですが,3匹とも塀の中からではありますが,歓迎してくれました.

1月7日
いうこと聞かないお仕置きのため
サンドバッグにマタベなり

 知り合いの親父さんに会ったマタベーは,「だめよ」の私の制止を聞かず,飛びつき,跳ね回り,普段なら効く「こらっ」にも止めようとしません.帰り道にも,つくば市上の室で,制止を聞かず畑の小屋の方へ行き,野菜屑を漁(あさ)りました.

 そんなわけで,マタベーのお尻を何度も叩きました.手袋をはめた平手打ちで,テキも毛皮をしているので,まるで効かないようですが.

1月11日

 今朝は一句もできませんでした.
感想:
花もなく実もなき今朝の逍遥に
マタベーのみは友と戯る

1月19日

家に近づきゃマタベは急ぐ
鎌倉街道俺の道

 そのくせ,家の前へ来ると座り込み,家に入るのを嫌がるマタベーなのです.

1月20日

親指の付け根の脹れに
マタベーが噛みし憎しみ甦りけり(よみがえり)

 暗がりで,マタベーは制止を聞かずに脇へ走っていきました.後を追ったところ,何かを口に咥(くわ)えていました.通常はいうことを聞く「捨てろ」の命令も無視しています.やむなく,口を開けて取り上げたところ,手袋の上から手に噛み付いてきました.反抗したので,お仕置きに口を鼻面もろとも押さえました.悲鳴を上げたので,すぐに離したところ,今度は思い切り強く,右手の親指の付け根に噛み付いてきました.口から離した後も,とても痛くて,足の甲でマタベーの尻を蹴り上げました.手袋をしていたせいか,幸い,噛み傷は見当たりませんでした.

 ところが,いつまでも痛みが続くので,1時間以上たって明るくなってから,手袋を取ってみたところ,親指の付け根は手首近くまで,真ん丸に脹れていました.さらに,数時間後から翌日の朝まで内出血が続き,腫れ全体がどす黒くなりました.今更ながら,犬の咬む力の強さを思い知らせれました.

1月25日

またも見上げるマタベーの眼は
ジャキー欲しいと訴える

 ほとんど吠えないマタベー.遊んで欲しいときには,鼻声を出すことはありますが,ジャキーが欲しいときには眼で訴えるだけです.

1月26日

霧の中バイクのライトに
マタベーのふっ飛んでくる黒い塊

 草むらで何を見つけたのか,マタベーは呼んでも来ません.業を煮やしたわたしは先に行きました.角を曲がって,花室川の河岸の舗装路をしばらく行ってから,大声でマタベーを呼んだのですが,バイクの前をふっ飛んでくるマタベーには,ハラハラしました.

1月28日

ちび黒ジャンボに餌やるときは
すねたマタベー知らんぷり

 マタベーがまだ3ヶ月くらいの頃,道路より1メートルちょっと高くなった敷地に建っている社員寮の脇を通りました.すると,その敷地の角にいた黒い柴犬が吠えました.ちびの癖に態度がでかいので,ちび黒ジャンボと名付けました.マタベーは遊びたがって,尾を振りながら背伸びして,ちび黒に近づこうとしますが,敷地が高すぎて届きませんでした.ちび黒はそんなマタベーに吠えました.次回,そこを通ったときにジャーキーを上げたら,ちび黒は食べましたが,尾を振るマタベーには相変わらず吠えるばかりです.それ以後,数十回はそこを通っています.マタベーはちび黒を無視するようになりました.

 ちび黒の横には茶の柴犬もいます.茶ワンと名付けました.


2月1日

マタベーのうなされ吠える腹の波

 昼寝していたマタベーがうなされて吠えましたが,大きな声は出ません.しかし,そのお腹は吠え声に合わせて大きくうねっていました.

2月2日

目を見ればいつもマタベは寄ってきて
米研ぐ見ればソファーに戻る

 寒い時期の朝一番に私がやることは,浴室のストーブを着けることです.浴室が少しでも暖まるまで,布団を上げ,歯を磨き,米を研ぎ,そして用便を済ませます.浴室の温度が15℃以上に上がれば,シャワーを浴び,それから散歩に出るのが日課です.

 米を研ぐとき,マタベーの寝室になっているダイニングキッチンに入ります.このときマタベーの方を見なければ,マタベーはソファーにそのままいます.

2月3日

日差しポカポカマタベの昼寝
大股広げヘソ天で

 冬でも晴天なら,マタベーのダイニングキッチンは暖かで,ソファーの上で仰向けになってマタベーは昼寝するときがあります.後ろ足はV字型に宙に浮いたままです.

2月4日

逆光に輝き光る聖マタベー

 昨日からの冬の季節風に払われて,スモッグはなく,冷え込みで靄(もや)もないので,今日の日の出の陽光は鋭く鮮やかで,花室川沿いの道を先に行くマタベーのシルエットの輪郭は,黄金色に輝いていました.

2月5日

ぬばたまの闇にうごめくほの白き
マタベーの在処かくて知らるる

 暗闇に放したマタベーの在処(ありか)は,ほとんど分かりません.幽(かす)かにほの白いしっぽの揺らめきによって知られます.

2月8日

凍てつきし小径をマタベー駆け抜けて

 常磐道から宍塚大池に向かう林の小径では,いつもマタベーをリードから放してやります.後ろから私の脇を駆け抜けてゆくマタベーは,生き生きとしていました.

2月9日

長椅子の背にチョコナンと肢掛けて
散歩に行くを待ってるマタベ

 シャワーを終えて,浴室から私が出てくると,マタベーは長椅子の上に立ちあがり,背もたれの上に両の前肢をそろえ,わたしの挙動を見守ります.「早く散歩に連れてって」といっているかのように.

2月10日

昼に戻れば出迎えもせず
夕方帰れば大はしゃぎ

 家まで車で10分ほどなので,昼休みに戻って,マタベーを短時間の散歩に連れ出し,小便をさせています.しかし,昼は眠いのか,ソファーで待っています.

2月15日

幅八十センチの農業水路
マタベー飛べずに悲鳴上げ

 中村西根の農業水路のコンクリートの桁を私は渡りましたが,マタベーがジャンプすれば飛び越えられる幅なのに,怖がって渡ろうとしません.勇気を出させるため,わたしは5,60メートルほど先に行ってマタベーに手を振りました.マタベーは何回か水路に近づいては退くことを繰り返し,やがて水路と反対方向に走って行きました.迂回して私の元に来る道を探そうとしたのかと思いましたが,7,80メートルほど行ってから,マタベーは「キャン」と悲鳴を上げました.どうやら,マタベーも私と同じ手を使って,わたしを呼び戻そうとしたけれども,我慢できなくなったようです.しかし,悲鳴に負けたのは私の方です.

2月16日

花愛でるその傍らで
マタベーが鼻を突っ込む
生ゴミの山

 ホトケノザ(春の七草ではない方)に気を取られているうちに,マタベーは隣の生ゴミを食べていました.

 マタベーいわく 「花より団ゴミ」 

2月17日

友達迎えるあのマタベーは
またもやってる座り込み

 面識のない犬が向こうからやってくると,マタベーはフセの形でうずくまります.この形をとることで,相手に敵意のないことを示しているようです.尾を振るのと似ていますが,消極的な歓迎の意を示しているといえましょうか.

2月18日

リード噛み走ろうようとマタベ言い

 昨日のように座り込んだマタベーを動かすとき,リードを短く持って持ち上げ,前肢を宙に浮かせてから,「行くぞ」と声を掛け,走り出します.マタベーはやむを得ず走るものの,憤(いきどお)りでリードを噛みます.このパターンを繰り返すうち,リードを噛むことが,わたしに走ってくれというマタベーのボディー・ランゲッジになりました.

2月19日

鼻で穴など掘るから見ろよ
マタベは砂の無精ひげ

 もぐらでしょうか,マタベはたまに砂に鼻面を突っ込みます.

2月22日

夜も九時にはうとうとマタベ
「お風呂入る?」に眼がパチリ

 一日の最後の散歩は夜の九時です.でも,今日のマタベーは眠くて,「散歩に行くぞ」と声を掛けても,うつろな眼を開けるだけで,ソファーを動こうとしません.ふとしたイタズラ心で,マタベーの嫌いな,「お風呂入る?」と声を掛けたところ,びっくりして眼が正気になりました.でも,すかさずの「散歩行くぞ」の声には,相変わらず反応はありませんでした.

 さて,こんなマタベーを,いつもはどうやって散歩させているのでしょうか? 次の中から選んで下さい.

 1.強くいう.
 2.ジャーキーを見せる.
 3.胸をさする.
 
 正解は明日に.

2月23日

寝ぼけ眼のマタベの胸を
撫でりゃノビして活気付く

 というわけで,昨日の正解は「胸をさする」でした.マッサージするようにかなり強くさすります.なお,このあと散歩に連れ出すには,「散歩行くぞ」と少し強く声を掛けますので,「強くいう」を選んだ人は30点,「ジャーキーを見せる」を試みたことはありませんが,かなり有効そうなので,60点とします.

2月24日

犬の心臓にチョコは毒と聞いて
余の胃袋に全部入れ

 獣医のホームページのチャット的な欄に,犬にとってチョコレートは心臓の毒であると,書かれていました.

2月25日

マタベのお腹はベタ泥ハネで
春寒くして水シャワー

 今朝は暖かかったのでまだよかったのですが,先日の雪の明くる朝は,さすがのマタベーも冷たそうでした.「春寒くして浴を給う華清の池」の楊貴妃さんとは大違いです.


3月1日

玄関のたたきに降りてはまた戻る
靴履くひまを待てぬマタベー

 散歩に出かけるとき,私が靴を履く間を待ちかねて,マタベーはたたきに降りては,その冷たさに,また戻るマタベーです.

3月2日

DKにいてマタベーの不幸かな

 朝は1時間半から2時間,昼,夜,寝る前3回は10分から20分の散歩,それ以外は13畳のDKにいるマタベーですが,自由に動ける身でありながら,ほとんど一人(匹)遊びをしません.昼間は窓の外を眺めるか,昼寝をしています.

 家の中で一人遊びするのは,飲用水用の空のペットボトルか,缶ビールの空缶を与えたときだけといえましょう.まあ,それ以外に,古い応接セットのセンターテーブルの脚を齧(かじ)るのも入っているかもしれません.それも私がいるときだけで,いないときには齧っているようには見えません.これは,マタベーが小さいときに,ストレス解消用に,これだけは齧っても私が叱らないで自由にさせていたものです.今ではほとんど齧りません.

 さて,散歩しているとき,すなわち外ではペットボトルや空缶を見つけてもマタベーはほとんど遊びません.しかし,家の中では齧り付き,放っておけばペットボトルや空缶に,マタベーの口の血の付くまで齧ります.やはり,家の中では散歩しているときよりストレスがあるようです.他の多くの犬より散歩の時間は長く,自由にさせているようでも.

 マタベーが一人遊びできれば,ストレスは解消されるかもしれません.何かいい案はないでしょうか.ただし,犬用のぬいぐるみ系のおもちゃ類は与えて5分もしない内に壊してしまうので,お金がかかりすぎますし,ゴム系のおもちゃは齧ってその一部を飲み込んでしまうので,与えられません.ボールやロープを結んだものは,一緒に遊んでやらないとほとんど遊びません.

3月3日

肢を洗うを嫌がるマタベー
狭い玄関逃げられぬ

 玄関のたたきで,マタベーの肢を洗っていますが,そのたびにマタベーは嫌がって逃げようとします.でも上がり框(がまち)の方には行こうとしないので,逃げられる訳ではありません.

 無駄な抵抗はよせ!

3月4日

辻々で脚上げて待つマタベかな

 リードから放ったマタベーが私より先に行ったときには,十字路などで小便をして待っています.

3月5日

俺のお腹に前肢かけて
ノビをするなよこらマタベー

 朝の散歩に出かける直前になると,こうやってマタベーはノビをします.肉体的かつ精神的な準備運動のようです.挨拶も兼ねてるつもりのようですが.

3月8日

久しぶりなる小路のシロは
近づくマタベを吠え立てた

 しかし,すぐ近くまで来ると,お互いに尾を振りたて,匂いを嗅ぎ合って,旧交を温めました.

3月9日

雨の降るのに畑を走り
マタベは困った泥狸

 近頃では畑に泥状の土を撒き,乾いた後にふんわりと仕上げるようにしているようですね.そんな柔らかい畑を走るのがマタベーの楽しみなようで,こちらの隙をうかがって畑を駆け回ります.雨の道のハネを付けたマタベーのお腹に細かい畑の黒土が付いて,マックロケ.あの剛刀の胴太貫(どうたぬき)ならぬ,泥狸のマタベーには困りました.

3月10日

ミニチュアダックス耳振り乱し
吠えて迫ればマタベ逃げ

 石屋の辻とわたしが勝手に名付けた裏道には,ミニチュアダックスフント,シーズー,シェットランドシープドッグ(シェルティー)と雑種の4匹が放し飼いになっています.シェルティーがいなくて,雑種がまだ仔犬の頃,ダックスが吠えながら追ってくると,マタベーは逃げました.ダックスの体重はマタベーの3分の1ほどしか無さそうなのに.古い話を持ち出したのは,実は続きがあるからです.それは明日に.

3月11日

近寄ればマタベを噛もうとする犬に
尾を振り近づきついに友達

 吠える犬に対しては小さな犬にも逃げていたマタベーが,一昨日は,近づくと噛み付こうとする犬に,尾を振り振り近づいては逃げ,近づいては逃げ,それを繰り返して,ついにはお互いに身体を寄せて,匂いを嗅ぎ合うまでになりました.

3月12日

マタベーはゴミの入ったポリ袋咥えて放さず
組み敷いて奪う

 何かマタベーの好きなものが入っていたのでしょう.どうしても放そうとしないので,首根っこを抑えて引き倒し,取り上げました.なお,こんなときすぐに離してやると,興奮しているので噛み付かれます.興奮が冷めるまで,3分ほど抑え込みを続けました.

3月15日

野ねずみか
狐跳びしたマタベーの鼻面
春の土にまみれて

 桜川の土手で,マタベーは狐のように跳び上がってから前肢で着地し,鼻面を草むらに押し込みました.ジャンプも狐ほどは高くはなく,獲物も捕らえられず,押し込んだ鼻面だけが土まみれでした.狐などが跳び上がってから着地するのは,ねずみのような小動物の背骨を折って動けなくするためだとか.

3月16日

青年とはいえまだマタベーは
地球の生活二年ぽち

3月17日

春霞に主見失うマタベかな

 花室川沿いに直進した私の後ろの方から,マタベーの吠え声が聞こえました.振り返るとマタベーは左折してしまっていて,私を見失っているようでした.私の方からは,かなりはっきりとマタベーが見えるのに.犬は本当に目が悪いですね.それに,マタベーは匂いでわたしを追うということをしません.今までにも,何回かわたしを見失っています.

3月19日

丈低き塀の上なる猫二匹
三日月の目をマタベに注ぐ

 マタベーが伸び上がれば届くほど低い塀の上に,二匹の猫がうずくまっていました.すぐ下を通ったマタベーを恐れる風もなく,眠そうな,笑っているようにも見える三日月型にした細い目を静かにマタベーに注いでいました.可愛いものでした.

3月23日

マタベーがまた我見れば
無意識にポケットさぐりジャーキー探す

 朝の散歩にはジャーキーをマタベーのおやつに持っていきます.全部食べさせた後にマタベーが欲しがると,「ないよ」といって知らせます.そんな後,わたしが句の推敲(すいこう)などに夢中になっているときに,マタベーが振り向いて欲しそうな顔をすると,無意識にポケットを探ってしまう,ということがたびたびあります.

3月24日

捨てろの上意に骨吐き出して
今朝のマタベー殊勝なり

 骨や魚などの大好物を拾い喰いしたときのマタベーは,「捨てろ」の命令を今日までは無視してきました.少しは大人になったのでしょうか.まだまだ油断はできませんが.

3月25日

右足上げるか左の足か
マタベ電柱で右顧左眄(うこさべん)

 マタベーが小便をするときに,しばしばすることです.例えば,まず右足を上げてみては,どうも具合が悪いと下ろして身体の向きを変え,次には左足を上げてみて,また下ろし,再び向きを変えてから右足を上げ,それで,やっとするのです.

3月26日

マタベに吠えつく痩せちび犬は
太ったおばさん連れている

 おばさんの食事の一部をあの痩(や)せ犬にやれば,どちらもが幸せになって,マタベーにも吠えなくなるでしょうに.女性が寝るときに髪を巻くボビン,あれを頭に付けたまま散歩をしているようなおばさんには,それを期待するのが無理なのでしょうか.

3月29日

名手マタベにジャーキー投げりゃ
口で取らずに鼻で受け

 マタベーの名誉のために本当のことをいうと,マタベーは投げたジャーキーの8割までは口でキャッチします.残りの2割のうちの半分ぐらいはわたしの暴投でしょうか.

3月31日

そぼ降る雨にしっぽり濡れて
マタベ帰れば水シャワー

 ハネ上げだらけのマタベのお腹,シャワーで落とさなければ家には入れられません.

4月6日

ゴルフボール追いかけ遊ぶマタベーは
泥田の中にまたも駆け入る

 宍塚大池の桜はまだ三分咲きといったところでした.大池から西へ常磐道に向かう小径に,なぜかゴルフボールが落ちていて,はしゃいだマタベーは山田の泥に駆け入りました.

4月7日

又兵衛はマタノヒョウエかマタビョウエか
ヒョウエと呼べば応へもこそすれ

 又兵衛の正式な読み方を知っている方,教えて下さい.

4月9日

マタベが知ってる岡山弁は
「そっち行かんよ」ただ一つ

 マタベーが生まれた平成9年2月には,NHKでは朝の連続ドラマ「あぐり」を放送していました.マタベーが我が家へやってきたときには,すでに「あぐり」は終わっていましたが,あぐりのお母さんが柔らかくたしなめる「いかんよ」が耳に残って,ある時,「そっち行かんよ」とマタベーに言ってしまい,それを今だに使っています.「そっち」を岡山で使うかどうかは知りません.犬に命令する言葉は「マテ」,「フセ」など,短い方がよいとのことですが,マタベーはこの長い言葉を正しく理解しています.

4月12日

マタベーと花びら歩くちょと滑る

 桜川の土手の桜は満開を過ぎていました.何重にも散り敷く花びらの舗装路を歩くと,雨に濡れていることもあって,少し滑りました.「おーっと」

4月13日

全力走りのおいらの脇を
マタベすまして楽走し

 夜の散歩は短いので,変化を付けてやるために,たまに全力疾走します.しかし,マタベーは私の方に顔を向けたまま,ぴょんぴょん跳ねるような走り方で,全力疾走には遠いものでした.四つ足にはとても敵いません.

4月15日

水の苦手なマタベのはずが
ザンブと飛び込む鴨追って

 今まで,マタベーが水に入ったことがあるのは,風呂とマタベーの膝下(ひざした)ぐらいまでしか水のない浅い調整池だけです.もちろん,泳いだことはありません.それが,宍塚大池の岸辺近くにいた鴨に向かって飛び込んだのです.マタベーに捕まるようなドジな鴨はいませんが.マタベーが泳いだかどうかはよくわかりません.底が浅くて,肢がとどいているようにも感じられたからです.

4月16日

「お風呂,入る?」は嫌いな言葉
テーブル下にマタベ逃げ

 お風呂という言葉を聞くとマタベーは逃げます.とはいっても,DKの中ではテーブルの下に逃げるくらいしかありません.

4月19日

シャープペン咥えて逃げるマタベーは
ソファー蹴るやら跳び越えるやら

 マタベーはわたしの気を惹(ひ)くために,テーブルの上のシャープペンシルを咥えて,目立つように殊更(ことさら)こそこそし,わたしがマタベーの方を見ると,テーブルの下に逃げ込みます.放っておくと,シャープペンシルを齧(かじ)って壊されるので,テーブルの下に身体を入れ,マタベーを追い出します.こうしないと,マタベーはテーブルの辺りをうろうろし,捕まえられません.追い出されたマタベーは応接セットの方へ行き,ソファーからソファーへと飛び移ったり,ソファーの背もたれを飛び越えたりと,すばしこく逃げ回るので,まだまだ苦労します.

4月21日

春雷に散歩を渋るマタベかな

 今朝起きたときは,かなりの雨と雷でしたが,散歩に出る頃には,一時,雨が上がっていました.しかし,音に弱いマタベーは雷が苦手で,家を出るのを少し渋っていました.でも,家を出れば,遠雷は鳴っていても,いつものマタベーでした.

4月23日

マタベーは掃除機正直苦手だぞ

 出来の悪い駄洒落で申し訳ありません.さて,音に弱いマタベーは掃除機の音も苦手です.小さな室内犬だったら,自分より大きくて,音を立てて動き回る掃除機本体は,不気味なものでしょう.しかし,我が家はセントラルクリーニングで,本体が見えないにもかかわらず,マタベーはホースから聞こえてくる掃除機の音を嫌がります.


このページの先頭へ   表紙へ

 

 

 

 

 

目次

1998年
1999年


マタベーの死
マタベーとおゆみ

2000年4月〜2001年3月
1999年12月〜2000年3月
1999年4月以前へ


表紙へ