| ジムカーナ雑記
ジムカーナとは…… 「パイロンなどで設定されたコースでタイムアタックをする」という単純極まりない競技なのですが、やってみるとその奥の深さは筆舌に尽くしがたいです。急加速、急減速、急旋回、Uターン、360度以上の回転……どれもが大胆かつ緻密、そして正確で無駄のない操作を要求されます。そして特徴的なのは極低速域で競われる事でしょう。基本的にギアは1速以外使用しません。ギアチェンジをしている暇がありませんし、「高速型の設定」といわれるコースでも最高速度は60km/h程度で持続時間は一瞬です。 ピックアップが良く、スムースなトルク変動でパワーの取り出しやすいエンジン、ローター温度が低い状況でも安定した制動力を発揮し繊細なタッチとリニアな効き味のブレーキ、旋回性を突き詰めた車体構成、そして滑らないタイヤが必要とされます。車体側のセッティングの他に、素早い体重移動に必要な身体のキレも重要な要素になりますから、減量をする方もいます。 なんでそんな事をするのか? 「バイクの運転が上手くなりたい」というのは誰でも思うでしょう。そこで「上手い」の質を考えてみました。サーキットを誰よりも速く走りたいとか、どんな場所でもバイクで行けるようになりたいとか、それは様々な事が考えられるでしょう。 最初に乗っていた時はバイクに乗れればそれで楽しくて、他は何にも要らないと思っていました。やがて漫画の影響(ちょうど「ふたり鷹」や「バリバリ伝説」の頃ですね)で速く走りたいと思い、いろいろ無茶をしました。 諸事情あってしばらくバイクを降り、数年経って再びバイクに乗り始めまた時はすでに結婚して子供もいたので、以前のような無茶はできなくなりました。そしてさらに何年か経ってNC24に乗っている頃に、ふと「速い」という事は、様々な技術を正しく使った結果として「速い」のだと思い至ったわけです。 つまるところは「結局何をするにも基本が大切」という全く面白くないけれど正しい結論です。 このあたりからマシンのコントロールという事に目覚め始め、色々勉強しました。そして究極のマシンコントロールを習得するにはジムカーナしかないと思ったのですが、実際に行動に移すまでにはかなりの時間を無駄にしました。大型を取得して力でバイクをねじ伏せる事ができなくなったので、やっと重い腰を上げたというわけです。 なぜ「大型バイクで」なのか? これは単純にこだわりです。いまさら中小排気量車をメインマシンにするのは辛いので、どうしても普段のアシは大排気量車になってしまいます。もう1台専用マシンを用意できれば事情も変わるのでしょうが、とても複数のバイクを維持・管理できる余力は無いです。それに私は普段から乗る自分のメインマシンを乗りこなしたいというのが目的なので、専用マシンを仕立てるというのはちょっと方向が違うでしょう。もちろんリスクが大きいので専用マシンを用意するという事自体は、十分説得力があり首肯するところです。でもそれは私の望むところではないのです。 根が貧乏性なので「現有戦力ですべてを賄う」というのが大前提です。RC30、SC36ともにハンドルロックまで使うフルステアが必要な「千鳥走行」や「Uターン」ではスロットルの握り直しを要求される(→[小手先]の[ハンドル絞り角]参照)ので、他のバイクでの操作感覚とはイコールになりません。「あっちのバイクだったらこんな事しなくてもいいのに!」というのがすごくイヤなので、頑固に1台にこだわっています。 「アップハン」は是か?非か? ジムカーナで良く見かけるアップハン(アップハンドル)仕様車ですが、どう思いますか? この問題は競技に対するその人の姿勢によって分かれると思います。私自身はアップハン仕様に否定的な立場ですが、それは「自分が使うか?」という場合に限ってです。元々私は車体に大きな改造を加えるのが大嫌いなので、外観を大きく変更する改造は極力避けています(RC30のリアホイルのように必要に迫られて交換した例もありますが)。でもこれは単なる私の好み・こだわりの部分であって、他人がするのを規制するつもりはまったくありません。とは言うもののアップハン仕様のレプリカやスーパースポーツを見ると複雑な気持ちになる事も事実です。 レプリカ系のセパハン(セパレートハンドル)は、その開発背景や想定された使用目的からいっても、ジムカーナでフルステアのまま540度も旋回するようにはできていません。ハンドルが低く前傾がきつくなりがちなレプリカ系バイクで、フルステアからフルステアまで切り返すような操作を要求されれば自然とアップハンが欲しくなりますね。 競技である以上、出場すれば勝ちたいのが心理という物でしょう。勝つためには、より良好な操作環境を必要とするわけですから、ジムカーナとは対極の高速側(サーキット走行など)に比重を置いたマシンでは交換もやむなしというところでしょうか。 キャブかインジェクションか? これはわたしが色々見聞きした限りでは「現状ではキャブ有利、究極はインジェクション」のようです。 キャブレターはスロットルボア内の気体速度が大きくなる→スロットルボア内の圧力が下がる→燃料が吸い出される、と段階を踏みます。一方インジェクションはスロットルボアの圧力は関係なくコントローラーの算出した量の燃料を機械的に吐出します。という事はインジェクションの方がスロットル操作に対して、よりリニアな応答性とパワーを提供できるはずです。が、本当にスロットルを開けたとたんにパワーが出ると「ドン付き」状態になり、良くてアンダーステア、悪ければリアタイヤがグリップを失い大きくスライドしてしまいます。このあたりの微妙なパワーの立ち上がりは、まだまだキャブレターに分があります。このパワーの立ち上がり部分を細かく制御できるノウハウが開発されれば、インジェクションはキャブレターを凌駕する事ができるかもしれません。 市販のインジェクションコントローラーでは1200〜3000rpmを細かくセッティングできるものを知りませんが、このあたりを200rpm刻み位で設定できるとジムカーナ用としてはベストではないでしょうか。また、インジェクションの強みとしてセッティングの変更が簡単というのもあります。パソコンでデータをバイクにダウンロードするのに要する時間は1分程度ですから、事前にいくつものデータを用意しておいてその場で目的に合ったデータを使う事も可能です。それこそ自走で会場まで出向き、会場でジムカーナ用データに入れ替え試合に参加、終わったらノーマルデータに戻して自走で帰宅…という事も実に簡単。 ダイノジェット、FCR/TMR、ハルコンなどキャブ/インジェクションを問わず高性能や高性能化を謳った製品が多数ありますが、いずれもある程度の回転数以降での能力強化で、ジムカーナで多用されるアイドリングからのフル加速ではほとんど意味を持ちません。強化された能力を使う頃には減速しなければならないので、投資した分だけ損かも知れないですね。 私の知人はスロットルボアの流速を維持する為に、キャブレター口径を絞ったりペットボトルを利用した特製ファンネルを作ったりしています。彼によると「スロットル全閉状態でも流速がある程度維持できるようになったらしく開けはじめの付きがよくなったし、その後の伸びも直線的で扱いやすくなった。」という事です。8000rpmで頭打ちになるそうですが、そこまで使う事がないのでジムカーナ用のセッティングとしてはこれでOKです。 |