Special  Column

  夏のスイスとちょっとだけフランス

2000年夏に、スイスを鉄道で旅してみたいと思い、出掛けました。4大特急列車に乗車すると共に、今まで訪ねたいろいろなスキー場の夏を満喫するのが目的の旅です。冬、広大なスキー場となる様々な山が、夏はどんな様相を呈しているのか、その比較をまじえながらレポートしたいと思います。

  【アルプス周遊12日間行程】

※表中の地名等をクリックすると詳しいレポートにとびます。

第1日

成田 昼発
 ↓
ロンドン経由
 ↓
チューリッヒ(泊)

第2日

チューリッヒ
 ↓
バーレンゼー
 ↓
サンモリッツ(泊)

第3日

サンモリッツ
 ↓
ベルニナ特急
ティラノ(イタリア)
 ↓
サンモリッツ(泊)

第4日

サンモリッツ
 ↓
氷河特急
 全線乗車
 ↓
ツェルマット(泊)

第5日

ツェルマット
 ↓
クラインマッターホルン
 ↓
ゴルナグラート
 クルムホテル(泊)

第6日

ゴルナグラート
 ↓
ローテンボーデン
エッシネン湖
 ↓
グリンデルワルト(泊)

第7日

グリンデルワルト
 ↓
メンリッヘン
クライネシャイデック
ユングフラウヨッホ
 ↓
グリンデルワルト(泊)

第8日

グリンデルワルト
 ↓
シルトホルン
シュタウフバッハ滝
トゥルンメルバッハ滝
 ↓
グリンデルワルト(泊)

第9日

グリンデルワルト
 ↓
パノラマ特急
(モントルー)
モンブラン特急
 ↓
シャモニー(泊) 

第10日

シャモニー
 ↓
エギュードミディ
モンタンベール鉄道
 ↓
シャモニー(泊)

第11・12日

シャモニー
 ↓
ジュネーブ
ロンドン
 ↓
成田

 

利用旅行会社

(株)HIS
   エレガンテ

 

 チューリッヒ
【チューリッヒ湖より市街を望む】
駅前よりトラム4番に乗りチューリッヒ湖へ。湖とリマト川との境となるケー橋からの景観がビューポイントで左の写真になります。右の高い塔が大寺院(グロースミュンスター)、中央が聖ペーター教会、そして左の塔がシャガールのステンドグラスで有名な聖母寺院(フラウミュンスター)です。
バーンホフ通りは賑やかで華やかなブランド店が軒を連ねていますが、ちょっと横道にそれた狭い裏道が古いヨーロッパの街そのままのような道でとってもいい雰囲気です。新旧が共存する美しい街チューリッヒです。
    【フラウミュンスターにあるシャガールのステンドグラス】
この3本の窓とその両側に1本ずつ、そして入口を入った左手高いところにある丸いステンドグラスもシャガールの作だそうです。早朝に行ったのでちょうどそちらから光が当たってとってもきれいでした。
画像ではその大きさがわかりませんが、見上げるほど大きく、教会の厳粛とした雰囲気と相まって荘厳な気持ちになるものでした。
【チューリッヒ中央駅】
どうしてヨーロッパの駅はこうも重厚で趣があるのでしょうか。日本の機能一点張りの駅とどうしても比較してしまいます。
この駅より今回の鉄道の旅が始まりました。始まりに相応しい、とっても雰囲気のよい素晴らしい駅です。

 

 サンモリッツ
【サンモリッツ湖よりサンモリッツの街を望む】
サンモリッツの駅構内の地下通路を通って街と反対側に出るとすぐ湖畔になります。橋を渡り振り返ると、絵葉書やパンフレットによくあるこのお馴染みの景色が広がります。写真右手の赤いラインは登山列車の赤い車体です。緑の草原によく栄える鮮やかな赤です。氷河特急、ベルニナ特急もこの駅から出発します。

駅後方にホテル群、そしてその上がゲレンデになります。夏は緑の斜面であちこちに牛が放牧されているのが見えます。

【コルバッチ展望台よりサンモリッツ方面を望む】
谷の右手奥がサンモリッツの街になります。コルバッチ展望台へは駅前よりポストバスに乗って15分くらいです。

冬のサンモリッツはこの旅行の何年か後に訪れました。街のすぐ上のゲレンデ、コースは、夏は一面緑の草原ですので、広くなだらかで快適なコースでした。でもその年はまだ雪が少なかったので、岩もところどころ出ていて少し怖かった。この山は3000m以下の山ですので夏は雪は残っていません。なだらかな丘陵地帯といった趣です。

【コルバッチ展望台よりピッツベルニナを望む】
ひとつ前の写真より120度右に視線を移すと標高4049mのピッツベルニナを望むことが出来ます。写真中央の稜線が白い雪の帯になっている山がそれです。このコルバッチ展望台付近にも積雪は充分あって夏スキーも出来そうでしたが、やっている人はいませんでした。冬はもちろんスキー場です。長いロープーウエイを2本乗り継いで頂上で、周りは広大な斜面ですので、滑りごたえ充分ではないかと思いました。

 

 ベルニナ特急
【車体横の表示板】
赤いボディーに掲げられた「BERNINA express」の表示板です。サンモリッツより約2時間かけて標高差1828mの峠を登り降りし、イタリアのティラノまで行きます。

9:30に出発したベルニナ特急はスイスの一般鉄道としては最高地点のオスピッツィオ・ベルニナを通り、その車窓風景たるや有名な氷河特急を遙かに凌ぎます。4000m級の連山や目の前に迫り来る氷河。登山電車ではないのが不思議なくらいな場所を走ってゆきます。

【珍しいオープンループ】
まるでジオラマを見ているようです。列車はぐるっと1回転して左下の線路へと続き、今通った線の下をくぐって走ってゆきます。ループしているところは他にもたくさんありますが、全てオープンで見えるところはここだけです。こうやって1800mを越える標高差を下っていくのだなーと妙な感心をしてしまうところです。カーブがきついためか、列車は「キーッ」とものすごい音を鳴らして走ってゆきます。耳栓が欲しいほどの大きな音です。
【オスピツィオ・ベルニナ駅】
白濁した湖はラーゴ・ビアンコです。氷河がとけて出来た湖なので白濁しています。すぐ右隣に雨水が貯まって出来た湖(レイ・ナイル)があり、そちらは透明でむしろ黒く見えます。「黒い湖」「白い湖」と呼び慣らしているそうです。ここは分水嶺にもなっていて、黒い湖は黒海へ、白い湖は地中海へ流れ込みます。背後に見える氷河はモンテラッチュ氷河、一つ先のアルプグリュム駅からはパリュ氷河が見えます。この壮大な大パノラマはベルニナ線でのみ見られる景色です。

 

  氷河特急
【出発!】
氷河特急は9:30発と10:00発の2本ありました。見える車両は上まで見渡せるパノラマカーです。パノラマカーは窓が開かなくて、晴れているととても暑いと聞いていましたが、空調が完璧で全くそんなことはありませんでした。むしろ、本当に右も左も上も見渡せて大パノラマを満喫できます。

氷河特急の見所は、サンモリッツ〜アンデルマット間の前半部分とブリーグ〜ツェルマット間の最終部分です。アンデルマットの手前、最も標高の高い「オーバーアルプパスヘーエ」付近は、よくぞこんな所に鉄道をと思わせるところで圧巻です。

【ランドヴァッサー橋】
高さ65m、半径100mの緩やかな半円を描く珍しいループ橋です。フィリズール駅を出るとまもなくトンネルとなり、そのトンネルを出るとすぐにものすごい高さの石の橋を渡っていることに気がつきます。しかし、あっという間に次のトンネルに入ってしまいます。このように一瞬の出来事であるのもこの橋のいいところかもしれません。次のトンネルを出るともう見えません。

 

【氷河特急レストラン】
予約の難しいレストランだそうです。右がテーブルに置かれてあるメニューで、左がそのメインディッシュです。付け合わせのポテトとラタトゥイユのおかわりをウエイターさんが「もっと?もっと?」と日本語(?)で聞いてまわり、後からたくさんくれました。

 

 ツェルマット
【ツェルマットからのマッターホルン】
氷河特急を終点のツェルマットで下車し、駅前より少し離れたところから撮った写真です。ツェルマットの街は深い谷間の中なので、4000m級の山々は見えませんが、マッターホルンだけは見ることが出来ます。冬は雪に覆い尽くされていた回りの山々は緑の草原で、全く違った趣でした。駅舎もそのテラスが見渡す限り赤いゼラニュームで飾られていて華やかな雰囲気でした。
【クライン・マッターホルンよりテオドゥル氷河を望む】
まさに氷河の上です。クラインマッターホルンからのスキーコース、またイタリアから来たときはテオドゥルパスからのスキーコースは氷河の上そのものということが夏に来て改めてわかりました。冬に雪で全てが覆われていたときよりも、夏の状況を目の前にして新たにこのスキー場のすごさがわかったような気がします。
【クライン・マッターホルンよりチェルビニアを望む】
手前の雪の斜面は夏スキーのコースです。雪の斜面の中央先端がチェルビニアの頂上テオドゥルパスです。それより下は雪が全くついていません。イタリアは南斜面になりますので当然です。スキーをしに来ている人がとても多いのでびっくりしました。
       【クライン・マッターホルン展望台の十字架】
この写真だけは夏も冬も変わりありません。そして寒さも同じようにとても寒くフリースを着込んでしまいました。このキリストとマッターホルンは何度見てもとっても印象的で、厳粛な気持ちにさせられます。
【フーリに向かうロープウエイよりツェルマットを望む】
雪に覆われていた下山コースも夏はのどかな牧草地帯でした。フーリより街まで下りのミニハイキングをしましたが、登山コースの周辺は天然のクロッカスの群生でした。雪に覆われるスキーのコースも、夏にはクロッカスの花が咲き乱れる。自然のすごさ、暖かさを感じさせられたハイキングでした。

 

 ゴルナグラート
【ゴルナグラートより朝焼けのマッターホルン】
ゴルナグラートクルムホテルに宿泊したので、こんな素晴らしい景色に出会えました。このホテルは秀逸です。バストイレは共同ながらとっても清潔で、食事も美味しく3000mの山の上にいることを忘れてしまう程です。そしてこの景色。反対側のスイス最高峰のモンテローザから太陽が昇ってきます。写真左に見える白い点は、日の出と対照的にまさに沈もうとする満月です。

 

     【リッフェル湖(逆さマッターホルン)】
ゴルナグラートより下ること一駅、ローテンボーデンで下車して丘を降りると大小2つの湖が見えてきます。それがリッフェル湖です。天気が良く風のない日は湖面に山の姿が映り、逆さマッターホルンとなる有名な湖です。写真は小さい方のリッフェル湖です。幸いにも行ったときは快晴無風で、絵葉書のような写真が撮れました。
【リッフェルベルグの広大斜面】
写真ではよくわかりませんが、緑の斜面の左下にリッフェルベルグの駅があります。つまり冬は一面の広大なスキーコースとなる所が、夏は羊たちの格好の散歩場所&食事場所なのです。たくさんの羊たちを先導しているようにみえる2〜3頭の羊にカウベルがつけられています。ゴルナグラートの展望台にいるときから、そのカウベルの音が「カラン、カラン」と聞こえてきて、澄んだ空気と相まって心がゆったりとするような何とも言えない快適空間です。
【リッフェルベルグからのマッターホルン】
中央の小屋は牧羊のための小屋ではなく、Tバーリフトの監視小屋です。ということはここももちろんスキーコース。リッフェルベルグ駅前のレストランでみんながちょっとお茶をしている間に乗りに行ったTバーでした。白一色の世界がこんなさわやかな高原になるなんて。知識では知っていても実際に行って見ると、新たに変な感心をしてしまうものです。

 

 グリンデルワルト
【メンリッヘンバーン】
長ーいゴンドラが架かっていることで有名なメンリッヘンもご覧のように一面の緑の牧草地です。ゴンドラからなんとあの「マーモット」2匹を発見しました。大きいネズミということですが、ネズミよりもっとかわいらしい2匹の小動物でした。
   
【メンリッヘン〜クライネシャイデック】
手前の暗い山にみえる一筋の道がハイキングコースです。ゆっくり歩いて2時間弱の平坦な道です。しかしその道沿いには様々な高山植物が咲き乱れ、まさにお花畑といった趣でした。もちろんここも冬はスキー場。厚い雪の下でこんなかわいらしい花たちが咲く準備をしていたなんて、また今までと違った感覚が沸き上がってきました。(今度滑るときはそういうことも考えて滑ろう!)
【クライネシャイデック】
前方に見える集落がクライネシャイデックです。アイガー・メンヒ・ユングフラウ三山の白く青く輝く山と、手前の緑の山とのコントラストが実にきれいです。そこここに牛が戯れています。山羊もいました。
 グリンデルワルト(メンリッヘン〜クライネシャイデック)ハイキングコースの花々】
    
    
【シルトホルン】
シルトホルン展望台からスキーコースを見下ろした写真です。急斜面の上級者限定コースでしたが、雪がついていないときに見る方がもっと恐ろしい感じです。ちょっとだけコースに出来そうな所以外は全て崖。もちろんそこにハイキングコースがつけられていますが、崖の方には「ドクロマーク」の立て看板がつけられていました。よくこんな所滑ったなー!という感じです。
【トゥルンメルバッハの滝】
シルトホルンからの帰路、ラウターブルンネンよりポストバスで10分位の所にあります。氷河融水の滝ですが、岩を浸食し、岩の中を怒濤の勢いで何段も流れ落ちています。その迫力たるや私の中ではNO.1の滝になりました。冬は閉鎖しているので是非行きたかった所です。
  

 

 シャモニー(ちょっとだけフランス)
【エギーユ・デュ・ミディよりバレーブランシュ入口を望む】
4000mにほど近いこの場所は冬と全く変わらない様相を呈していました。違いはといえば、氷河の上でキャンプをしている人、岩山をよじ登っている人、モンブランの手前にある雪山に登っている人がたくさんいることです。それぞれの人が思い思いに楽しんでいて、また本格的な登山やクライミングを目の前で見ることが出来るのが夏の楽しみではないかと思います。
【エギーユ・デュ・ミディよりロープーウエイ頂上駅とブレバンを望む】
冬に来たときは寒すぎて悠長に見学する余裕もなく、ザイルに繋がれて一つ前の写真のあの尾根を死にものぐるいで下ったものでしたが、夏はそれでも少し寒いものの四方八方見渡すことが出来ました。向かいの山はもちろんブレバンです。雪は全く残っていません。登山道か道路かわかりませんが、道がつけられているのが見えます。
【モンタンベール鉄道よりフレジェールを望む】
知らない人であれば、冬はスキー場になることがわからないくらいです。日本のスキー場は標高が低いので、どうしても木を伐採してコースを造らねばならず、夏に見るとものすごい環境破壊だなと思わせられます。その点、ヨーロッパのスキー場は森林限界の上にあったり、牧草地だったりして、自然を壊しているというよりも、自然と共存しているといった印象です。このフレジェール、ブレバン、そしてグランモンテも同じような感じで、夏に訪れて嫌な感じがしないのがとてもいいです。
【モンタンベールより眺めるメール・ド・グラス】
氷河の上に土砂がたくさん堆積していて表面は少し汚いです。しかし、観光のためにくり抜かれた氷河の中は、何と表現したらいいのかわからないくらい美しい青色を保っていました。

冬にバレーブランシュを下って、遙々この氷河の上も滑ったなんて本当に信じられない思いでした。

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