undertaker/墓堀人
マック・スミスの計画は順調だった。

国で一番警戒が厳重だと言われているこの刑務所から脱獄するためには、もうこれしか方法がないのだ。

そのために、差し入れの金品のほとんどを与え、更に脱獄した後のお礼まで約束して、渋る監獄医に半ば無理やり約束させたのだ。

偽の死亡診断書を書く、と。病死なら、死亡の診断はひとりの医師で済むと言う。それを利用したのだ。

しかし、診断書の方はまだしも「必要な道具を自分と一緒に棺おけに入れてくれ」と言う要望に、医師はなかなか首を縦に振らなかった。証拠が残る、と言うのだ。

保身に慎重な医師に、道具は決して発見されない自信があると言うことを説明するのが、一番の難関だったと言ってもいいだろう。

なだめすかし、最後には少々脅しまでかけて、なんとか承知させた。それでようやく、この計画の一番のキモがクリアできたのである。

棺おけの中で、そのキモである「脱出の道具」を確認したときは、さすがのマックも安堵のため息を漏らした。

マックは元葬儀屋。その上、屈強な身体をもつ。さらに棺おけの中にはあらかじめ頼んでおいた穴掘りの道具や、ライト、酸素のボンベまで用意してあった。

道具さえそろっていれば、埋められた棺おけから脱出する方法は、いくつか知っている。容易ではないが、この後何年もこんな異国の刑務所で過ごすのに比べたら、やるだけの価値はある。

「映画みたいに、棺おけの中で死体と一緒のまま生き埋めにされちゃ、たまらないからな。ふふふ」

マックは心の中でつぶやくと、自分のジョークにくすくすと笑った。「あとは埋められるのを待つばかりだ」と緊張を解いて仮眠に入る。

 

しかし、マックよ………

 

日本は火葬だ。

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