東京無情
なんだいジェニファー。

ボクがトーキョーに行ったときの話が聞きたいのかい?

ああ、いいよ。最近、そう言う人多いんだ。ヘルシーなフーズとミステアスな雰囲気が最高にクールで、みんなの興味の的みたいだからね。

まず、トーキョーについて最初に行ったのがウエノ。

ロッポンギだのアキハバラなんて行くのは通じゃないね。トーキョー的に言えばシロートさ。真のトーキョー通はそんなところには行かない。サイゴーのブロンズの前で記念写真をとるんだ。

それからレンタカーに乗って、あちこち見て回る。これだね。

ボクはウエノでレンタカーを借りて、とりあえずシンジュクに向かったんだ。でもトーキョーの道の複雑さはニューヨークに匹敵するからね。

気づいたらオンジュクだった。

まあ、シンジュクと同じようなものだけどね。でも、オンジュクからは海が見えるんだ。通はオンジュクのほうを選ぶんだよ。いや、強がりじゃなくて本当の話。

それからシンジュク方面に向かって走り出すと、空港が見えてきた。ボクは迷わず空港に向かったね。そしてついたのはナリタだ。

シンジュクにいちばん近い空港は、ハネダ。ちょっと違うけど、まあだいたい同じようなものだと思ったボクは、そこにいたヤングマン達に道を聞いたんだ。

新宿までって言ったら、彼らは笑い転げていた。サイコ―に陽気なナイスボーイ達だったよ。

でも、やっぱり道が複雑で、僕はまた迷ってしまったんだ。ここはどこだ?って途方にくれていたら、親切なファーマーが僕に場所を教えてくれた。

そこが有名なショウナンだったのさ。

名前くらい聞いたことあるだろう?カマクラだよ。

ファーマーは

「そっちのショウナンじゃねえ、ヌマにミナミのショウナンだ。ここはショウナン町だよ」

なんてファンキーなジョークを飛ばしていた。まったく、トーキョーってのは陽気でステキな人たちが多いんだ。ガイドブックなんてあてにならないってのは、本当だね。

それからボクはファーマーにいろいろ教わって、今度こそシンジュクを目指した。

ああ、トーキョーの地図かい?そんなのは駄目だ。使えないよ。縮尺が全然違うんだから。きっとその地図を作ったやつは、足し算もまともに出来ないに違いないね。

何時間か走ってシンジュクについた。ボクはバカじゃないからね。漢字くらいは読めるさ。近くを通った病院の看板に「柏新宿整形外科内科」って書いてあったんだ。

そばには「南柏」ってステーションしかなかったけど、シンジュクまではもう少しだったと思うよ。

え?行ってないのかって?

仕方ないんだ。その日はそこで日が暮れちゃったから、とりあえず近くのお店に入って腹ごしらえしようと思ってさ。小さくて寂れた店だったけど、ヤキトリは美味しかったよ。ファンタスティックだった。

ところがそこで革ジャンを着て耳にいっぱいピアスをつけた、荒っぽい男と口論になってね。僕だって腕に覚えはあったから、店の外で喧嘩になったんだよ。

そしたらポリスが来てジ・エンド。

ボクはそのままポリスの車に乗せられて、強制送還さ。あとでレンタカー屋から請求が来たときはびっくりしたね。ボク、ずいぶん走っていたんだよ。

それでね……あ、ちょっと待っててくれる?

 

 うるせえな、オフクロ!なんだよ?

 あぁ?留学生にでたらめ教えるな?

教えてねえよ!ちゃんと東武線で上野まで行ったじゃねえか。そのあとちょっと予想外のハプニングがあったんだから、仕方ねえだろう!

ナニ?新宿、行こうとして道に迷ったあげく、千葉県めぐりして帰ってきただけじゃねえかだと?

うるせえババァ!黙れ!ジェニファーに聞こえるだろうが!

 

おまたせ〜!

ごめんな?ジェニファ……あ、あれ?ど〜こ行っちゃうのかな?

待ってよ、ジェニファー!

え?東京の情報なんてちっとも知らないじゃないかって?

ははは、これがホントの東京無情なんつってな。

あ、ちょっと待ってってば!

今度の日曜日、ボクがトーキョーに連れてってあげ……

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