学校へ行こう
突然、沼田君から電話がかかってきた。

「おまえ、タカノリと付き合ってるのか?」

「ううん。付き合ってないよ?」

私は声が震えないように注意しながら、出来るだけなんでもない調子で答えた。嘘は言ってない。あいつとは別れたばかりだもの。

沼田君は安心したように、深いため息をついた。

「そうか……よかった……」

私は自分の胸がどきどき言い出すのを、止めることが出来ない。電話を握り締めたまま、顔が真っ赤になってゆくのが、自分でもわかる。耳が火照って来ちゃったよ。困ったな。

努めてさり気ない風を装いながら、私は聞いた。

「何がよかったの?」

「なんでもない。じゃあな」

沼田君は、がちゃりと電話を切ってしまった。照れてるのかな?うふふ、可愛い。沼田君の顔が浮かんできて、嬉しくなってしまった。

タカノリが別れ話を持ちかけてきたのが、一週間前。おととい何時間も話して結局、私達は別れた。そのときは悲しかったけど、今になってみればラッキーだったかも。だって沼田君の方が全然カッコいいからね。

神様、ありがとう!

 

次の日の朝、私はご機嫌で学校に向かっていた。でも、昨日の晩どきどきして眠れなかったので、ちょっと遅刻気味。

だから、いつもは通らない学校への近道、神社を通って行く。神社は高台にあるから、坂道が多くて普段は使わないんだけど。

遅刻しそうなのと、早く沼田君に会いたくて、私は全力ダッシュ!神社の階段を一気に駆け上がると、境内へ出た。

すると……

 

境内で、タカノリと沼田君がキスをしていた。

 

私は走ってきた勢いのまま、ふたりにドロップキック!ふたりは抱き合ったまま崖の下に落ちていった。

そのまま走って、なんとか遅刻は免れる。

 

学校に着いた私は、タカノリと沼田君の席を眺めて、心の中で神様に中指を立てながら、たむろっていた友達に向かって言った。

「ねえ、誰か。男、紹介してくれない?女好きでもいいから」

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