ラヴミーテンダー
あなたとはオンラインだけのお付き合い。現実のわたしの生活とは、全く関係ない知り合いだから話せるんだけどさ。聞いてくれる?

わたしは、ずっと、あのひとに愛されたかったの。

あのひとは、別の女を愛していたんだけどね。でも、いいの。あのひとの愛する女は、もういないんだから。

長い時間をかけて計画したんだもん。あのひとと、彼女のこと、出来る限りすべてのことを調べたんだよ。

彼女は性悪で、あのひとの事をちっとも愛していなかった。それでも彼は、彼女を愛してしまっている。全身全霊をかけて。私がえらべる道はひとつしかなかったのよね。

わたしは二年かけて、彼女のことをすべて覚えたんだ。

生い立ち、家族、あのひとの知らない裏のことまで、何でも調べた。クセも、言葉遣いも、使っている香水も、全部調べたんだよ?さらに整形をして、彼女の顔と身体も手に入れた。ほくろの位置まで完全に同じ。

それからが最終段階。

わたしは彼女を呼び出して、最後通牒を突きつけたの。ここで彼女が改心してくれるなら、わたしはそのまま外国に行こうと思っていた。でも、彼女はそんなわたしを嘲り笑った。

で、わたしは彼女を殺したわけ。

彼女の持ち物とわたしの持ち物を取り替えて、あとは、大金を払ったその筋の始末屋におまかせ。顔写真の同じ免許証やパスポートなんかを上手に使って、事件は事故死として扱われたの。

つまり、彼女はわたしの名前で死んだってこと。わたしと言う人間は、死んだの。

モチロンこんな事が、いつまでも発覚しないわけはないよね?いずれその死に不信を持ったわたしの家族や警察が動き出せば、わたしの計画なんて、あっという間に露見してしまうのは充分承知。

それでもいい。

少しの間でも、本当のわたしじゃなくても、それでもいいから彼に愛されたい。彼の傍らで、同じ時間と空間を所有したい。

そして、幸せの絶頂期に、わたしは死ぬの。それがわたしの考えた、わたしの人生の終わらせ方。

そんなのは愛じゃないって?そんな自分勝手は、彼を愛しているとはいえないって?うん、わかってるよ。

でもね、あなた勘違いしてるみたいだけど……

彼を愛しているなんて、わたしはヒトコトも言ってないよ?わたしが愛しているのは、わたし。自分自身を一番愛しているの。

もちろん彼のことは好きよ?好きだから、こんな計画立てたんだもの。わたしは彼が好きだから、彼に愛されたいの。彼に愛されたまま、死にたいの。そのあと何がどうなろうと、知ったことじゃない。

そんな身勝手は許されない?

そう思うなら、あなたはそう生きればいいでしょう?誰かを愛する方が、愛されるより幸せだと思うなら、愛して、その愛を貫いたらいいんじゃない?あなたはそれで幸せなんだから。

わたしはゴメンだけどね。

そろそろ時間だ。彼に会いに行かなくちゃ。へへへ、これから彼にいっぱい愛されて来るんだよ。いいでしょう?じゃ、また明日メールする。こんな話を聞いてくれてありがとね?

あ、そうそう、最後に聞かせてくれない?

本当のところ、あなたとわたし、どっちが幸せだと思う?

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