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preface
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微分幾何は、私が短い人生の中で出会った学問の中で、最も美しい学問です。 ∫M dω=∫∂M ω これは、(微分幾何の)ストークスの定理という式です。この簡潔な式からは、次の5つの式が導かれます。 1.微積分学の基本定理。
dp∧dq = dP∧dQ が「ある変換が正準変換であるための条件」を言い表してくれます。解析力学をやったことのある人ならば、あれだけ苦労した正準変換とはなんだったのか、そのヒントが垣間見えるかもしれません。
微分幾何と物理のかかわりが最初に見えてくるのは、ベクトル解析の分野です。ベクトル解析ではgrad,rot,divの3種類の直感的な記号が使われますが、公式は直感的にはわかりづらいものが非常に多いです。 grad(fg) = (gradf)g + f (gradg) などなど。読むだけで目が疲れますね。ベクトル解析ではこれらの公式を逐一使い分けなければなりません。証明も成分計算ですから、納得しづらいところもあります。でも待ってください。これらの式は、どこか似ているように思えませんか? d(ω∧μ) = dω∧μ + (-1)^n ω∧dμ この式は、微分形式を使って上の4式を統一したものです。というよりも、本当は全部同じ式なわけです。そう。積の微分の公式ですね。では、次はどうでしょうか。
rot(gradf) = 0 ベクトルポテンシャルの導入などで活躍する式がそろっています。でもじっと眺めてみてください。本質はひとつ、という感じがしませんか? d(dω) = 0 無限小の無限小は限りなくゼロである。単なるオーダーの話といっしょです 。ベクトル解析の記号では、無限小であるということには気づきにくい状態でした。でもディブのラプラシアンてなんだ?ベクトルの方向がこうなってこうなって、球面上で・・・?? そこのあなた、安心してください。ひとつベクトル解析の記号を解体してみましょう。
grad := d dは外微分作用素、*はホッジ作用素(スター作用素)と呼ばれる記号です。ベクトル解析の演算記号は、本質的には2種類の演算から構成できるということを示しています。 これは確かに、表示法の1手段に過ぎません。しかし、こうした統一的な理解ができれば、一見複雑な迷路のようにも見えるベクトル解析も、とっつきやすくなるように思われないでしょうか。
上に上げたようなことはほんの断片に過ぎませんが、物理を学ぶ上で、微分幾何は必須の道具なのではないか。 そう、私は思うようになっていきました。 微分形式と呼ばれる物理法則の記述形式が発展してきたのには大きな理由があります。微分形式で書いた法則は座標変換しても必ず成り立つという大切な性質を持つのです。 観察している慣性系を変えると、突然エネルギー保存則が成り立たなくなったように思えて困ったことはありませんか? 座標系を変えても方程式の形が変わらないというのは、異常なことで、かつとても便利なことです。この事実が微分形式の理論が発展する原動力となりました。当然、相対性理論にも必須の道具立てです(相対性理論は、 お互いに相対的な視点から眺めたときに、物理法則の式が不変であるという要請に基づく理論ですから)。
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