〜微小量の微小量はゼロ?(part2)〜

 前回の話が少々哲学的で理解に苦しんだかもしれないが、一言でまとめると

普通の2次の微小量は0とみなしてよい。ただし例外としてdxdyやdxdydzがある。

 ということである。これを踏まえて、そのdSやdVの増分について考えてみよう。さて、dSという量はdxdyに等しいが、これは前回出てきたdxdtと違って0にはならない。dxdtが0になるのは、同じ数直線上の微小量同士を掛けたためであり、

 

とか

とか

 こんなイメージで理解するのが良いだろう。同じ方向の棒同士を掛けると、細い棒の長さをさらに無限に細くするわけで、点になって消えてしまうわけだ。

 

 

 さて、今回のテーマはずばり微小量の増分、である。その前に、上の図について少し考察を加えておこう。

 まず、dxが微小量であればその定数倍adxも微小量である。また、足し算についても、結果は微小量のままである。ということは、これはベクトルであるということだ。注意しよう(なぜベクトルなのかって?それが分からなければ、お手持ちの線型代数の参考書の、ベクトルの定義のページを見るように。)

 そこで、"基底"dx,dy,dzを定義して3次元ベクトル空間を作り、今まで

a=(dx,dy,dz)

 というようにxyz座標を使って書いていたベクトルを、同じものを

a=dx+dy+dz

 というように表現することにする(太字に注意)。このような基底の線型結合により、微小なベクトル変化は全てあらわすことが出来るのがわかるだろう。

 dxやdyがベクトルであることがわかったので、上図の"×(かける)"はベクトル間の最も一般的な積であるテンソル積である、ということがわかる。しかし、dxdxは?これはテンソル積の基底だろうか?NO.注意せよ。dxとdxをかけたものは、前章の結果から0とみなさねばならない(のでしたね)。それなので、本来は9つあるはずの基底が6つしか残らないことになる。これと同じことがどこかで起こったのを思い出さないだろうか。→ 

 

 外積代数は、まさに微小世界のかけ算を表現するために用意されたツールだったのだ!!

 

 

 以下より、テンソル積の記号をつかう事をやめ、積の記号は∧とする。また、外積代数のルールを適用する。そのため、dx∧dx=0であるだけでなく、dx∧dy=−dy∧dxも成り立つことに注意せよ。こちらの方がよりファンダメンタルなルールであるし、あとで見るように、たまたま都合の良いことになる(少なくとも、dx∧dy=dy∧dxとするよりは)。

 まず、何次元の外積代数を考えるかだが、このサイトでは3次元で統一する。このサイトは初心者向けであるし、まず現実の物理にどう応用されるかが見たい。ただし、相対性理論を適用するときはこれまで見てきたとおり、4次元の外積代数を使うことだろう。

 3次元の外積代数の復習はこちら

 練習問題をおく。結局、上のリンク先の基底x,y,zが、基底dx,dy,dzに置き換わるだけのことである。dxをベクトルしかも基底と呼ぶのには少し違和感を感じることだろう。しかし、あとに進めば進むほど、その有難さを実感するはずである。

 問い:dSとdVを基底dx,dy,dz基底dx,dy,dzを使った外積代数で書け。

 答え:dS=dxdy 又は dydz 又は dzdx。プラスマイナスは実は面の正の向き。 dV=dxdydz

 問い:空間的な3次元ベクトルの微小変位(dx+3dy+3dz)と、(-2dx+dy-2dz)の張る微小面積は?

 答え:普通に計算すれば7dxdy-9dydz-4dzdx。外積はベクトルの大きさが平行四辺形をあらわす筈であったから、√146dSと書くのが良いであろう。ちなみに元のベクトルの長さは、単位を省略して√19と3である。

 この問題を考えてみると、基底としてdxをとったものの、その長さについてはまちまちで不定性があることがわかる。しかし、不定性があるからこそ無限に0に近づくことが出来るとも言えるだろう。

 

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