現在では、パソコンがあり、携帯電話があり、当たり前のようにインターネットを利用する日々を過ごしている。それと同じように、多くの音楽には違和感なくシンセサイザーが使われており、そこにMIDIという規格があることに気がつかなくとも、簡単にシーケンサーでシンセサイザーをドライブさせることができる。今から約25年前、1980年代の初頭には、こうした未来を想像していなかった人も多いかもしれない。MIDI規格はまだなかったし、シンセサイザーやシーケンサーを使った音楽はまだ特殊なものだと思われていた。しかし、こうした電子楽器が爆発的な進化を遂げる萌芽はこの段階ですでに芽生えていたのだ。
以来25年間にわたり、音楽専門雑誌編集者として電子楽器を見守ってきた僕にとっても、最初の10年間、つまり1980年代は実に刺激的で、面白かった。とにかく最新の楽器が1年後には古くさくなってしまう時代だったし、予想もできないような新製品が現れたりする。それは現在では決して味わえない感覚だった。当時どのようなトピックがあり、それを僕がどのように見ていたか、また感じていたのか、記憶の糸をたぐり寄せつつ本ブログで綴っていこうと思う。シンセサイザーやMIDIをテーマとしたWebサイトは数多いと思うが、当時の僕の立ち位置はけっこう特殊だったので、興味のある人には楽しんでいただける内容になるのではないだろうか。あくまで僕の記憶と、当時の取材メモが頼りなので、多少の記憶違いはご容赦を。
MIDIとシンセサイザーの歴史