子育て・児童虐待・家族・子育て支援・DV(ドメステッィクバイオレンス)を考える
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★分類に入らない一般書の本の書評です

成熟と喪失(母の喪失)
江藤 淳

この本は、4冊の小説を題材に現代社会の文化論、母性についてなどを論じている。4冊のうちの2冊が安岡章太郎の「海辺の光景」「抱擁家族」である。この小説に出てくる女を題材に「母親」「母性」とは何かを考えている。江藤淳は心理学についても知識があるようで、たんなる文学論というよりも心理分析でもあり文化論(アメリカ文化と日本文化・西洋文化と東洋文化)でもあるような一冊。ただ、非常に観念的な世界を論じているだけに、正直言って難しかった。また、いずれの三冊も男性が書いた女性像であるだけに、女性の立場から書かれているというより男性の願望としての「母」「母性」を論じているような気がした。あとがきに寄せられた私には上野千鶴子さんの論評が一番わかりやすかった気がする。

 

★★
抱擁家族
小島 信夫

放送大学の宿題のため、読んだ。未成熟な夫婦が織り成す日常の物語と書けば良いのだろうか?とにかくあるお金持ちの夫婦に起きた出来事が淡々と書かれている。この夫婦のはらんでいる問題は深いのだろう。ただ、久しぶりに読んだ小説だからか、どうもピンとこないような気がして、楽しく読めたとは言いがたい。江藤淳の「成熟と喪失」を理解するための二冊であるが、どの本も何を伝えたいのか、私には今ひとつはっきりとしない面も多かった。ただ、書いてある内容はとても深い内容のようなので、私の力で理解できなかっただけかもしれない。

 

★★
中田英寿 鼓動
小松 成美

中田英寿・・・今や世界に誇るサッカー選手・ 押しも押されぬ日本のサッカー界を牽引する選手というイメージだろうか? しかし、少し前までは“ジコチュウ”“生意気”が中田の代名詞だった。 マスコミに妥協しない彼の姿勢は、時にふてぶてしく生意気に見える。 しかしマスコミに報道される中田英寿は、 その裏に隠されている彼の優しさや迷いを不安が被い隠されて、 サウンドバックのように打たれ強い強靭なイメージだけを伝える。 そんな作られたイメージを払拭する、彼の実像に迫る一冊。朝日新聞に 「論語が好き。国歌を歌わない」と報道されたおかげで、思想団体から命を狙われ、 イタリアに移籍する直前はホテル住まいを余儀なくされていた事など、 驚くような彼の生活の一端が窺える。


 

★★★
中田語録
小松 成美

中田英寿が語った言葉を集めた「中田語録」。 中田英寿の本をはじめて読んだのが、この本だった。 彼は恐ろしく冷静な人だ、表面上は。しかし、裏に隠されている熱い思いが伝わる 。弱冠二十歳を過ぎた年齢の若者がこれほどまでに冷静でいられるものなのか?と驚きだった。 この本は、私にとってバイブルのように感じた。 大事にしてる本に限ってなくしてしまう(誰かに貸して戻ってこない )悪い癖で、この本もなくしてしまった・・・。 また、いつか買いたいと思っている大切な本の一冊。

 

★★
ブログを本にするnew
佐藤 英典

ブログで書き溜めた文章を「本」として出版するための方法を教えてくれる本。ブログという世界を手に入れた私たちは、簡単に「文章を書く」ことができるようになった。しかしその自分の書いた文章を「駄作」として考えている人が多いのではないか、という著者。その著者が「駄作と思っている文章を本にすることの意味」を問い直す内容となっている。つまり単純に「本を出版する」ためのハウツー本ではなく、せっかく自己表現したものを自信を持って世に送り出すことの意味付け・勇気付けをしてくれる一冊。いつか自分の本を出したいと思いながら、ブログを書いている人に「本を出す」勇気を与えてくれるだろう。

 

★★★
怒りの方法
辛 淑玉

テレビでおなじみの「辛」さん。頭の切れるズバズバと気持ちいいぐらい自分の意見を言う人というイメージがあった。もちろん私の中では「良い印象」の人である。以前別の人との対談の本を読み、ますます辛さんが好きになった。この本も期待して買ったが期待通りに面白い本であった。世の中の理不尽なことに対して「怒り」を感じる人にとって、辛さんの強さがうらやましくもあるのではないだろうか?しかし、その強さは「在日韓国人」という世間の差別の上に家庭の中では母親からも差別的な扱いを受けていた彼女の強さなのだろう。「怒り」というものを肯定的に捉えている彼女の姿勢が素敵だ。人間にとって怒りは必要なパワーであるという。「しかし私は、何度も言うように「怒り」こそが、人間性回復のために最も必要な感情であると確信している」その上で、怒りを表現する方法と怒りをぶつけられた時の対処方法を具体的に書いてくれている。「怒りを冷静に表現する」具体的な方法を実行できるためにはかなりの練習が必要だと思うが、必要なスキルとして非常に役立つ情報だと思う。そしてこの本の中で一番すごいと思ったのは「怒り」を大きなイベントに変える辛さんの発想力である。石原都知事の「三国人」発言や「ばばぁ」発言に抗議して“パラソル大行進”や“多文化探検隊”などイベントがなんとも楽しそうなのだ!一人の女性として尊敬できる人と出会って嬉しくなった一冊。

 

★★
ほんとうの話
曽野 綾子

曽野綾子は、キリスト教信者というイメージだった。 しかし数年前に「子どもには奉仕作業が必要だ」という意見を持っている、 なんだかうさん臭い人という悪いイメージに変化した。 その後、ある人からエッセイを渡されて、興味本位で読んだ 。しかしそこに書かれていたのは、 曽野綾子の飾らない赤裸々に生き抜いている人生そのものだった。誰も語らなかった 「ほんとうの話」(怪談ではありません!)。 たとえば「差別について」「女の器量について」など・・・。 はっきりと論議されないからこそ陰で悪口を言う、そんなことになるよりは 、はっきりと正直に徹底的に論議しあえば、ほんとうの事が見えてくるのでは? という著者の迫力のある生き方は「見事」という感じを受ける。 本を読む前に抱いていた曽野綾子と読後の彼女は、自分の中でまったく違う人物になった 。

 

★★★
アッカ!
中田 英寿 編集長

中田自身が編集長になって作られた「中田英寿」の本。中山美穂とのインタビューあり 、なぜか知能検査を受けた報告あり、HPでのせているHIDE’S MAIL あり。 (でも、随分前に買ったので、今更この本は手に入るのだろうか?) 中田というサッカー選手は、ほとんどイエローカードをもらう事がない。 あれだけ試合に出て、攻撃だけでなく守備にも活躍しているけれど 、出場停止処分を受けた事があるのだろうか?と思うほど警告を受ける事がないのだ! この本の中で彼を良く知っている様々な人がインタビューに応じているが、 彼の性格や考え方、行動が少し見えてくる。・・・本当に魅力の尽きない人間だと思う。

とっても、素敵な親子関係を築けている著者がうらやましい。再評価カウンセリングによって、立ち直る親子関係の様子も伝わってきて、素敵だなと思う。「涙は流したい時に流して良いんだ!」と思えるところがうらやましいな〜。

 

★★
社会福祉入門
放送大学 岡本民夫、他

 今、私は福祉現場での仕事である。子ども関係の仕事をしたいと 思い始めてから、勉強してきたものは心理学や教育学ばかりが中心で、福祉は 勉強してきたことが無かった。しかし、心理学よりも私は福祉のほうが好きだという気がしていた。 心理学は「相手の理解」が中心である。確かにそれはそれで確かに大切なことだけれど、 社会との関わりや、周りの人間との関係などは置き去りにされがちな心理学。しかし、福祉現場は トータルなものの見方を必要とする。「ソーシャルワーク」と呼ばれる由縁はその辺りだろうか…。 この本を読んで、つくづくと福祉現場にいるにも関わらず、福祉の勉強をしていない自分の 心もとなさだ。今まで自分が考えてきたことが、どういう意味を持っているのか、 そんな指針を与えてくれそうな学問であると思う。入門というぐらいだから、社会福祉という 概念や、今の社会の問題解決のための福祉に期待されるもの、高齢者・児童家庭・障害福祉、 援助技術など、分かりやすい入門書だった。もっと社会福祉が勉強したくなった一冊。

 

変動する社会と暮らし
放送大学 本間博文、他

期待していたほど、面白い内容とは言えなかった。幅広く問題を取り上げているが、 なんとなくそれぞれが紹介だけに終わっている感じだった。変動する社会の内容・ IT・食品・医療・保健・住環境などなど、多岐にわたる。たとえば、食品に関して… 遺伝子組み換え食品とは?とか、食事をどのように取っているか、 どのようなものを取っているか、今の個食問題や即席・レトルト食品は?など 様々な問題を抱えて現代は進んでいることを指摘している。確かに、入門書としてなら 良い本なのかもしれないと思う。自分にとって期待はずれだったというだけのこと。 他の人は興味深く読めるのかもと思う。

 

★☆
アンフェアな月new
秦 建日子

テレビドラマ「アンフェアー」の原作。父親が警察官だった。しかしあるとき父親が理不尽に殺され、その娘は冷血な刑事となった。平気で犯人を殺す…しかも検挙率はトップの美人刑事・雪平夏見の物語。ドラマはこの原作に沿って作られているけれど、原作に書かれている事件とドラマの事件はまったく違っていた。だからテレビドラマも面白かったけれど、小説も面白く一気に読んだ。しかしドラマに比べると「アンフェアなのは誰か」というキーワードのインパクトは薄い感じ。推理小説では無いけれど、なんとなく推理小説のような「ドキドキ感」もあったりして、とにかく気楽に楽しめる小説でお勧めだ。

 

★★★
からだを感じよう
丸山 百合子

産婦人科の医師である女性が書いた本で、とても読みやすかった。 さすが「女性」であるだけに、女性の性というものに対する深い洞察や思いやりを感じた。 性・セックスは極めてプライベートな話であり、 仲が良い友だちとでさえ話合うことは少ない。 それだけに、悩んでいることや困っていることがあっても滅多に誰にも相談できない問題である 。丸本さんの本を読んでいると 、何も心配が無くても思わず丸本さんの病院に行って、 ゆっくりと話をしてみたいと思った。妊娠・出産だけでなく、美しさや女性の病気 、最先端の不妊治療技術、ドメスティック・バイオレンスなど、幅広く取り上げられている。 性とは生きることであり、 生きるということは差別の問題や生き方の問題と切り離して考えることはできないのだと改めて 思える一冊となった。

 

★★
となり町戦争 
三崎 亜紀

なんだか不思議な小説だった。となり町と戦争をするという市の広報記事を見た主人公。いつの間にか「偵察業務従事者」として選ばれ、香西という市の業務担当の女性と連絡を取り合いながら、となり町戦争に参加する。しかし戦闘が行われている様子もなく、戦死者だけが増えていく。「一体戦争ってどこで誰がどうやって行われているのか」主人公にはまったく不明の状態で、香西という女性を通して「戦争」のあらましを想像するという物語。戦争というものの恐ろしさを伝えたいのか、行政というものの持つ不気味さを表現したいのか、最後までよく分からないまま終わって終わってしまった。「すばる新人賞」を受賞している作品ということは…現代の人の気分を表す小説ということなのかもしれない。

 

★★
バスジャック
三崎 亜紀

三崎亜紀という小説家は「不思議な物語」が多いのだろうか?短編小説が集められた「バスジャック」というこの本も不思議な話ばかり。妻が出産で居ないのに、「二階扉」をつけるように自治会から言われた主人公は、業者に頼んで二階に扉を設置する。なぜこの扉が必要なのか、まったくわからないまま自治会への責任は果たした、と安心する。そこへ子どもをつれた妻が帰ってくることになり、子どもの安全を考えて二階扉の鍵をしめたところ…さてさてどうなるのでしょうか?とにかく現実とも空想ともつかない世界が広がっている感じの小説でした。

 

★★
大河な日々
三谷 幸喜

朝日新聞の「ありふれた日々」というエッセイの3冊目。なぜこれを読みたかったか。 それは大河ドラマ「新撰組」が終わって寂しいから。題名の通り「大河ドラマ」の話も 書かれているが、まだ大河を書き始めたばかりなので、途中までで終わってしまった。でも大河の 話でなくても、面白かった。三谷幸喜に注目するようになったのは、この「ありふれた日々」を 読むようになってから。くだらないといえばくだらないのかもしれない。でも、いかにも きらびやかで華やかな芸能界というイメージとは別に、地味で誠実で、その上 カッコ良いとはいえない三谷幸喜の日々の生活が面白おかしく綴られていて、なんとも言えない。 庶民的というか、私などと全然変わらない感覚で生きていることにホッとしたり。また、妻である 小林里美との関係も笑える。さくらもも子の本もなんとなく元気が出るけれど、 この本も読んで元気が出た。小市民的な幸せが良いのかな?

 

★★
大事なことはボランティアで教わった
牟田 悌三

牟田さんと出会ったのは、1998年。 せたがやチャイルドラインの活動で初めてお会いした。 「俳優」だから、きっと威張っていて近づけない存在なのだろうと思っていたが、 そうではなかった。世田谷では「俳優 牟田悌三」よりも「ボランティアの牟田さん」の方が、 定着しているのかもしれない。私のボランティアの活動は、 せたがやチャイルドラインが基本となっている。 初めて牟田さんの話を聞いたときに「ボランティアは自らお金を払って、 自分が学習するという態度で参加して欲しい。慈善事業でも奉仕活動でもないのですから」 と話していたことを覚えているけれど、そのことの意味がどれだけ大きいことなのか、 後になって少しずつ分かってきた。 改めて自分が世田谷ボランティアセンターの人たちと出会えたことに感謝したい。

 

海辺の光景
安岡 章太郎

放送大学の宿題で読まなければいけなかった本。精神病理に犯され病院で死にゆく母親を看取るという話である。いわゆる純文学という内容だけに、なかなか難しかった。しかも戦中〜戦後の設定だから、時代背景的な心情にまったく理解できない面もあった。ただ、いろいろな示唆にとんだ内容であることが「成熟と喪失」(江藤淳)で明らかとなり、それを読み合わせるといろいろなことが分かるだろう。

 

★★★
女性が開くネット新時代
矢野 直明

インターネットの世界で成功を収めた女性が7人出てきて、 それぞれのインタビューを元に、なぜ彼女達が成功したのかを分析している。 この本を読んで、ワクワクした。私自身、色々な企画を立てるのが好きだ。 しかし、企画を立て内容を練り上げ、実行だけを別の人に託した場合、 たいていは実行した人の功績になっていく憂き目を見てきた私にとって 、自分の企画がそのまま自分の功績となるかもしれないインターネットの世界の魅力に ワクワクしたのだ。自分がそれほどたいしたことをしている人間だと思って生きているわけではない。 しかし、自分にしかできない「自分らしさ」を出せる仕事がしたいという思いは脈々と 流れているのだ。この中に出てくる女性は有能である。しかしここまでは行かなくても、 自分にしかないものを生かして生きていく事のできる世界がほしい。

 

★★
東京タワー 
リリー・フランキー

多くの人が読んだ話題の「東京タワー」を、今頃送ればせながら読んだ。九州は九州男児と呼ばれるほど「男」が強いようなイメージがある。しかしここに出てくる男はどこまでもだらしなく、「オカン」は毅然としていてカッコよい。そしてどこまでも優しくて頼もしくて、ある意味理想の母親だ。きっと男性にはこういう母親を求めて、結婚するのかもしれない…。いや男性だけでなく子どもにとって憧れの母親は「オカン」みたいな人だろう。だからこそヒット作となった。しかし…現実の私は?母親としてこんな親にはなれないし、夫に「理想の母親」を求められても困るのだけれど。何はともあれ最後まで切なくて面白い小説だった。これは「オカン」の物語だと思うけれど、九州から夢を抱いて出てきたにも関わらず、東京でだらしなく生きていたリリーフランキーがどうやって立ち直ったのか、それも気になった…やっぱり「オカン」への愛があったからなのかな?