これは児童精神科医である著者が、軽度発達障害の「高機能自閉症・アスペルガー症候群」について、医学的情報だけでなく子育てのアドバイスも含めて詳しく書いた本です。特に乳幼児期から就学期にかけて起きる問題と対応に関して、具体的に説明されています。
子どもに障害がある、というとほっとする親がいる一方で、非常にショックを受ける親もいます。障害は「個性」なのか、私にはとても難しい問題と感じていました。でもこの本を読んで少し納得できた気がします。
こ の著者は「障害」か「個性」か?という二分法ではなく、関わりの中で…その時々の状況で…いずれかを選択できるしなやかさがあっても良いのではないか。生 きていく中で起きる様々な予測不能な体験を受け止める作業は、実はとても奥深い体験であり、「障害」もそんな奥深い体験として「個性」的に味わうことをお 勧めしてくれています。
そして医療という専門家であっても「障害」と診断された親子の思いに簡単に立ち入って はいけない。どう味わうかは当事者が時間をかけて考えればよいこと。できれば楽しみながら受け止めていけるよう、周りがそれぞれの立場からサポートすれば 良いのでは? というメッセージも書かれていて、私はそんな姿勢に共感を覚えました。
障害という問題が起きたとき親は「診断」「治療」という関わりだけでなく、今ある問題や状況に“慣れ親しむ”ことも大切という、子育て全般にも通じる親へのエールを感じた一冊でした。 |