子育て・児童虐待・家族・子育て支援・DV(ドメステッィクバイオレンス)を考える
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★子育てや子育て支援に関する本の書評です

★★★
「子どものために」という前に
青木 悦

誰のおかげでここまで育ってきたと思っているんや!」「お前のためを思って 言ってやってるんや!」反抗する私に父はこの言葉で私の考えや思いを封じ込め てきました。

まだ生活力を持たない私には、どんなに親の言い分に納得できなくても、この言 葉を出されてしまっては反論なんてできません。その悔しさから、子どもを生ん だら、この言葉だけは言わないと心に誓いました。

親は「子どものため」を思っていろいろなことを考え、そして行動を起こしま す。私も子どもを思って色々なことに悩み、喜び、試み、後悔し、落胆し、楽し んで、毎日を過ごしています。

この本の著者は父親から暴力を受けて育ちました。これは彼女がいわゆる教育評 論家という立場から書いた「子育て論」ではなく、青木さん自身の子育てを赤裸 々に綴っている本です。

評 論というのはどこか他人事に人を評している書かれていることが多い中、彼女 はあくまで当事者としての立場を忘れていません。『「子どものために」という 前に』という題も、自分自身が母親から「お前たちのために父親と別れない」と 言われた事実を基にしてつけられています。

「こどもために」と言いつつ“子どものせいにする”のではなく、自分の責任とし て子育てを引き受けようとする著者の姿勢に共感しました。私が幼い頃に心に 誓ったことが実行できている自信は無いけれど、青木さんの、間違いも含めて自分を正面から見つめる姿に勇気をもらいました。

 

★★
やっとお前がわかった
朝日新聞大阪社会部

朝日新聞大阪社会部が、人間関係の薄くなった社会で 親子の絆を見つめなおすために書かれた記事を集めたもの。

親は子どもを理解できているはず、と思っていることが多い。 しかしこの「理解できしている」の中身は 「子どもの気持ちが分かる」という意味と 「親として理解できる範囲で行動してくれれば子どもを受け入れる」 という意味があるような気がする。大抵の親は「親だから子どもの気持ちが分かるはず」 と思っている。しかし自分たちの理解できる範囲だから許容できているだけなのかも・・・。

だから、自分の理解を超えた行動をした我が子に対して「お前が分からない」 「お前のことが分からなくなった」など、 まるで子どもが悪いことをしているかのように、子どもの評価を変える親は多い。しかし親が理解できないからといって子どもが一方的に悪いとは限らない。

この『やっとお前がわかった』は、理解不能となった子どもを理解するため、 親(先生)が血の汗を流した軌跡が書かれている。 いじめ・不登校・非行などといったステレオタイプな子どもたちの話題よりも、 ここで取り上げられている、「宗教にはまった子ども・早世した子ども・殺人事件に巻き込まれた子ども・ 自殺した子ども・交通事故で重い障害を持ってしまった子ども・ 結婚式に親友として「親友業」を引き受ける若者」の話が新鮮に映った。

この本では様々な子ども(若者)を取り上げ、親子とは?社会とは?を問いかける内容。 一つ一つが短くまとめられていて非常に読みやすく、思わず涙が湧き出るような内容も多い。 親は自分の方が子どもを愛している・子どものことで苦しんでいると考えてしまう。しかし 子ども自身「誰にも理解されない」と感じている中で自分の葛藤に苦しんでいたり、想像以上に親を心配していることがストレートに伝わってくる。親子という関係は味わい深い関係なのだと改めて気づかせてくれる一冊。


 

★★
大好きを伝え合う子育て
阿部秀雄

阿部秀雄さんの本は「ダダこね育ちのすすめ」を最初に読んだ。これが阿部さんの本では2冊目。

1歳半〜3歳ごろの子どもを持つ母親にとって、 ダダをこねる子どもに右往左往させられ、一日がクタクタになる。 子どもはこんなものと頭で分かっているが、 一体どうしたら子どもがすんなりと言うことを聞いてくれるのか? お手上げ状態のこともしばしば。 こんなときに子どもを納得させる魔法のような方法があれば、と思う。

しかし、阿部さんは、早くダダこねをやめさせるのではなく、 納得いくようにダダをこねるべきなのだ!と説く。 今までにない視点でこちらが納得できる部分が多い。 ダダをこねるのが悪いのではなく、 ダダをこねられたときにじっくりとそのダダコネに付き合うことで 「あなたが大好き」を伝え合えれば、 それがお互いにとって良いことになっていくのだという理論を展開。

そして「もっとそれを早く知っていれば、私の子育ても違ったかしら?」 という後悔に似た思いをも呼び覚ましたが、 とにかく子どものダダコネを大人がどう受け止めたら良いか、 分かりやすく書いてくれている。

 

★★

楽しく子育てアイデア・ブック

エリザベス・クレアリー
(田上時子訳)

「楽しく子育てアイデア・ブック」は「親が自分を大切にするヒント」「親をたのしむための5つのスキル」の3部作の一冊。

いずれも読みやすい薄さと可愛いイラスト漫画つきで、 子育て中の忙しいママにも簡単に読めるような本となっている。 具体的に分かりやすく書かれているのが特徴。この本は他の二冊に比べて、 特に翻訳調の部分がほとんどない。子どもとの関係で、うまく対処できないときに、どのように問題を整理し対応するのか、 ステップ式に書かれている。

「子どもの悪い面」を親のちょっとした誘導で「良い面」に置き換える、 子どもの良い面に注目することで良い面を伸ばす、 「悪い行動」と認知していることの認識を変えることでお互いのストレスを減らすなど、行動療法的なアドバイスが取り入れられていてわかりやすい。

子育てで困るような場面での関わりを具体的に示して、親子の良いコミュニケーションの方法を身に付けていくということを狙った本。子どもへの対応に悩んでいる方…実行できるかどうか、あまり深く考えずにとにかく読んでみては?

 

★★
子育て、泣きたい時に泣いちゃおう
小野 わき

著者は夫婦の問題で悩んでいる時に「再評価カウンセリング」というものと出会い、自分の気持ちを受け止めることで子どもの気持ちを受け止められるようになったという。

結局、自分の中に「子どもを受け止めたいけれど、その前に自分を受け止めて!」という気持ちがある事に気がつかなければ、子どもを受け入れることはできないと言うことなのだろう。

私だってそんなことにとっくに気がついているけれど、自分の気持ちを受け止め、子どもの気持ちを受け止められる「良い母」にはなれずに今日まできてしまったな〜、とチョッと読んでいてつらくなった。子育て真っ只中の母親がこの本を読むと、これからいくらでも変わっていけるかもしれない。しかし、自分流の子育てが定着してしまった私には、いまさら頑張ってみても無駄だろう、とマイナス思考に考えてしまった面も…。

それではダメだと思う一方で、何度もこういう親になろうと頑張ってみたけれど、やっぱり自分は自分のカラを破れなかった!という後悔を刺激されてしまった気もする。

とっても、素敵な親子関係を築けている著者がうらやましい。再評価カウンセリングによって、立ち直る親子関係の様子も伝わってきて、素敵だなと思う。「涙は流したい時に流して良いんだ!」と思えるところがうらやましいな〜。

 

★★
お母さんが自分をもっと好きになる方法
北村 年子

 親は子どもをキチンとしつけをするべし!というのが、子育ての常識?  今時の親は子どものことより自分のことを優先して、子育てをおろそかにしている、 と思われている。しかし、乳幼児を育てている多くのママは個人的な楽しみより「子育て・家事を完璧にこなさなければ!」と いうプレシャーの中にいる。こんな自分ではダメなのだ!「良い」母親になれなければ、 優しい母親にならなければ、と思いながら、イライラして子どもを叱り飛ばしている。そんな 自分に嫌悪しながら、ギリギリのところで頑張っている。

この本は子育てにママたちに、「子どもよりまず 自分を好きになるところから始めよう!」というメッセージがこめられていてとても素敵!子どもを 受け入れられる母親になるためには、まず自分のダメさや至らなさを含めて自分自身を 受け入れなければ、なかなかできない。

自己尊重できるようなプログラムが具体的に 載っていて、これ一冊でも十分なワークになる。忙しいママにも、さっさ!と 読むことができるので、一冊は常備しておきたい本だと思う。母親に対する優しさといたわりが この本から伝わってくるような気がする

 

★★
カッとなってあとで後悔 
  〜子どもをたたくっていけないこと〜
主婦の友社

子育て中の母親の声を集めた本である。題名の通り、内容は「子どもをたたいても良いのか?」について。もちろん賛否両論である。「叩いた方が良い」と主張する人は、それなりにキチンとした考えを持っている。それもそれなりに説得力を持っていると言える。しかし・・・、やはり暴力は繰り返すことになると思うと私は、それが正しいことであっても納得ができない。自分が暴力を受ける側だと想定すると「暴力はつらい」と思うからだ。では私の子育ては?と問われたら一切叩くことは無かった。しかしベランダに出したり大声で叱ったり、決して暴力的な行為が無かったとはいえない。「あなたは叩いていない子育てをしたかもしれないけれど、叩かなければそれで良いのか?」という議論が起きても不思議はない・・そんな程度の子育てだった。だから、子どもたちに自慢できない・他人にも胸をはれる子育てではないと思う。評価して欲しいから「叩かなかった」訳でも、それが正しいと思っていたから「叩かなかった」訳でも、暴力を使わないような子育てができたから「叩かなかった」訳でもない。自分に対する自信が無かった。一度叩き始めるととめどなく終わりがないような気がして、その一線だけは越えられなかった。かといって良い子育てができたとは思えない。専門家による「叩いて子育てするのは良くない」という主張が載せられていたが、「叩いてはいけない」という主張が「叩く方が良い」と思っている人に説得力のある内容であれば、もっとすっきりするのだろうか?

 

★★
たたいていいの?〜たたいちゃダメなの〜
(たまひよこっこ
クラブ特別編集)

子どもを叩いても良い?と質問されたら「良くない」と答える人は多いのではないだろうか。私もその中の一人だ。では、あなたは一度も叩いてませんよね? と聞かれて「もちろん」と答えるママがどのぐらいいるのか。 私は一度も子どもを叩いたことが無い。 しかし、叩いてないからといって、誉められるような子育てなんてしてていない。 子どもをベランダに追い出したり、大きな声で怒鳴りつけたり、 無理やり別の部屋に追い出そうとしたり、 叩く以外のあらゆる脅しを使って子どもを「しつけ」てきた。

この本で、叩いてしつける母親が「それに見合うように子どもを思いっきり可愛がる」 「しつけには、メリハリが大事なのだ」と主張する。 これを読んで「確かに私は叩かなかったけれど、 その分思いっきり可愛がるということもしてなかった」と思った。たたかない派の私が「たたくからこそ、思いっきり可愛がることもできる」 という母親の主張に妙に納得してしまった。 でも暴力反対の気持ちは変わらないけど…。

結局、親の接し方として“可愛がることが無くても叩かないのが一番”か、 “たたくかどうかより、叱ると可愛がるのバランス&メリハリが大事”か、どちらに軍配があがるのか分からない。

この本でわかったことはどこかに必ず正解があると思わされてきた人にとって、子育てには正解が無いことが「子育てのつらさ」なのかもしれないことだったのかも・・・。

 

★★
育児不安の構造(創刊号)
東京成徳短大(深谷昌志 他)

成徳短大では、深谷教授を代表にこの6年「育児不安」に関する大掛かりな調査をしている。その調査をまとめたもの。育児とは、授乳や離乳、食物を与えることなど子どもの生理的要求を満たす活動とともに病気や危険からの保護、睡眠、排泄、食事、言語などに関する基本的生活習慣のしつけなどの活動(有斐閣 新社会学辞典)である。

つまり、育児は乳幼児期という限定される営みであるが、子育ての初期段階とも言える「育児不安」について、調査票調査(アンケート形式による調査)を5年以上行い、それらを総合的にまとめた一冊。

これらの調査で分かったことは、母親の育児不安を高める要因として@高学歴のA(妊娠・出産前に)仕事を持っていたB核家族の中で暮らすC専業主婦でD夫が無関心である、ことが挙げられている。

また調査は6年という長期にわたり日本の都心部・東北農村部・韓国など様々な地域で行われている。この調査では、育児関与する夫の要因として@妻がフルタイムであるA妊娠中に育児雑誌を読んだB妊娠中、妻に気を使ったC子どもを見て、頑張ろうと思った・・・などが挙げられている。また、育児不安が一過性のものでない母親にとっては、その後の子育てでも自己肯定感を持てない人が多いと言う結果が出ているようだ。

つまり母親の育児不安を下げるためには、母親は出産後も働いた方が良いということになるのかも。共働き夫婦の方が夫の協力も得ることができるし、孤立した子育ては不可能(親や保育園に子どもを預けるなどが必要だから)だから育児不安にならずに済む確率が高い…。「子どもを預けて働くのは子どもが可哀想」なんてもう言わせない?!

 

★★
育児不安の構造(4)
東京成徳短大(深谷昌志 他)

シリーズ(4)は、育児不安と父親の関係も取り上げられている。

前半部分育児不安の要因として母親の側に焦点を当てている。例えば、仕事を辞めたことを残念に思っている人、妊娠したことを喜べない人、難産や出産後の体調が悪い人、子育てで苦労することが多く長期間にわたる人、夜泣きなど子どもに手がかかる人、夫や親との人間関係が悪い人、子どもが好きではなく妊娠・出産を通して子どもを好きになれない人、子育てが楽しくない人・・・などが育児不安を持つ母親の要因として浮かび上がったという報告がされている。

また父親に関しては、育児関与の促進条件として@父親になる以前の育児経験が豊富であるA働いている母親の元で育っている・・・など5つの要因があるという。また父親の育児関与が多いほど母親の育児不安が少なくなる・育児の大変さが軽減するとは限らないという結果に終わっている。つまり母親にとって育児関与よりも夫の精神的サポートを必要としていることが伺える調査となった。

この調査の結論は、夫の直接的な育児関与より精神的なサポートが重要であるという。妻を精神的に支えることのできる自立した男性なら、直接的な育児だってたやすいだろうと私は思うのだか、いかがなものだろう?

 

★★
育児不安の構造(5)
東京成徳短大(深谷昌志 他)

育児不安の構造(5)は、「育児不安」に関する調査を日本と中国と韓国で行い、それをまとめたものである。

それぞれの国の事情が異なるため、この調査結果を元に必ずしも正確な比較ができない面はあるだろう。しかし面白かったのは、中国の男性は「仕事が大事で、仕事で出世したい」という気持ちが強い。それに比べて日本の男性は「仕事より家庭が大事である」という気持ちが強い。

この結果だけを見れば当然中国の男性は家事育児よりも仕事中心の生活だと想像するのではないか?ところが驚いたことに、実際の家事育児時間を比較したところ中国の男性の方が日本よりも多い。仕事で頑張りたいと言うのも「家庭を守りたいから」という気持ちの表れらしい。日本の男性は「家庭が大事」と言いながら仕事にも精を出すわけでなく、家庭でも家事育児に積極的に関わろうとしない・・・。自立(自律)した男性が少ないと言うことだろうか?

「マドンナのララバイ」で端的に表現されるように、日本の男性は優しく労わられ傷を癒す場としてしか「女性」や「家庭」を見ていないような気がする。これではいつまで経っても女性の育児不安は解消する方向にいかないのでは?と心配になった。癒されたいのはお互いさま!一方だけにその役割を担わせていることへのおかしさに気がつかない限り、少子化も止まらないと思うのは私だけだろうか?

 

★★

三鷹市の子ども家庭支援ネットワーク

地域子ども家庭支援研究会

東京三鷹市の子育て支援には定評があると言われているが、その中身について詳しく書かれている本。子育て支援政策の中身と言うよりは子育て支援のネットワークがどうできあがり、現在どういう体制でネットワークが機能しているのか?という内容が中心である。「子育て支援ネットワーク」と言うのは、簡単に言うと行政機関の子どもが関係する部署同士の連携システムのことである。たとえば保育園・小学校・中学校などのほかに、生活保護の部署や障害福祉関係の部署、児童福祉関係の部署、発達検診を行う健康課の部署、保健所、そして忘れてはならないのが児童相談所。その他としては病院のソーシャルワーカーや民生委員なども含まれる場合もある。虐待の問題が大きくなるにつれて、今まで行政内の部署が個々に子どもの問題に当たっていたが、これからはこれらの機関がネットワーク(連携)を組んで対応しようと言う流れになってきている。三鷹はその先駆的なネットワーク重視の子育て支援策を行ってきた。ここでは特に市運営の「北野ハピネスセンター」という在宅心身障害施設の存在が三鷹子育て支援ネットワークの特徴となっていることが詳しく書かれている。そして、それらをケースマネージメントする部署として「子ども家庭支援センター」があるという。三鷹が理想形とはいえないだろうが、連携によってそれぞれの部署が関係部署同士が信頼しあい、持っている力を遺憾なく発揮するいう考え方は三鷹市に見習うことができるのだろうと思う。

 

★★

子どもを愛せない母・母を拒否する子

ヘネシー澄子

副題に「今、増えている愛着障がいが教える、母と子の絆の大切さ」がつけられている。

愛着というのは、乳児から幼児にかけての子どもが養育者にすべてを依存しきっている状態・ 養育者から受け入れられている状態のことを言う。 ボウルビィという人が、サルの実験で子サルが冷たい金で作られたたっぷりとミルクが出る母親よりも、 タオルで作られたミルクの出ない母を好んだことから、 肌と肌のスキンシップが成長過程で大切とされるということを愛着関係と言ったことから、 愛着という言葉が広く使われたらしい。

いずれにせよ、 愛着関係をキチンと築いてもらえないような親子関係しか学んできていない子どもは、 その後の人間関係にトラブルが付きまとう可能性が高くなることは確かなよう。 そのように愛着関係に障害を持ってしまった子どもたちのことについて書かれた本だ。

この本では典型的な愛着障害として現れる行動を、 例を挙げて説明してくれている。この本を読んで、「わが子は愛着障害かも・・・」 と思う親の子どもは大丈夫!でも、私はこの本を読んでつくづく、 我が家もいずれこうなるのでは?と心配になってしまったことも事実である。 だって「親としてこうしてみよう」という具体的な子育てのやり方の 大半をしてきていないのだから。 わが子が勉強ができないのも、はっきり意見が言えないのも、 すべて愛着障害のせい?かな、なんて思ってしまった。 だからこそ、今子育て中の人は読んだほうが良いのかもしれない。子育てを後悔しないために。

 

★★
育児不安を超えて
原田正文

著者は大阪で精神科医をしている。その傍ら保健所とともに大規模な育児不安に関する調査を行った、世に言う「大阪レポート」の実行者だ。

大阪レポートについては別の本に詳しく書かれているが、大阪レポートを通して感じた「著者としての思い」を中心に書かれた本。「思い」とは言え、子どもの発達に関して調査の結果などもふんだんに盛り込まれている。特に「子育ての結果は思春期に現れる」という自論から、乳幼児期に何が子どもの育ちにとって必要なのか、また今の育児環境にどういう問題があるのかを鋭く読み解く。

特に年齢別の成長に関する項目は、とても分りやすくて親切な内容となっている。育児不安がどうして起きるのか、わからないという人にはとても良い内容なのでお勧めの一冊。

 

★★★
日本人のしつけは衰退したか
広岡 照幸

この本は「育児」「しつけ」「家庭教育」「学校教育」などに関して示唆に富んだ本であった。内容をひと言でいうと「しつけの歴史を追った本」である。この本を読むと、今の多くの人が感じている「家庭教育のレベルが年々低下している」いう捉え方がいかに間違っているか、よく分かる。

この本の著者は「人々の関心はどんどん家族や家庭に向かっているし、親も「我が子のしつけ・教育は自分の責任である」と一身に子どもの人生までを背負い込もうとしているのが現代の子育て事情である」と分析している。私は子育て支援の仕事をしている者の実感として、非常に腑に落ちた指摘であると感じた。

著者自身語っているが「私は最初今の親はキチンとしつけをしていないと思っていた」という視点からの出発している。それだけに、検証については様々なデーターを利用して、客観的に分析している。

私はこの本を読んで「親のしつけ力が低下している」という社会的な通念と、「子育ての責任は親にあり」と思う子育て中の親達とのギャップが大きくなるほど、少子化や育児不安の問題は大きくなるのではないだろうかと強く感じた。私の知っている子育て真っ最中の親達のほとんどが「自分のような育児で子どもはキチンと育つのだろうか」と不安で一杯であるし、虐待傾向の親ほど自分の育児を責めているという現実がある。

ある意味、子育てをもっと“他人にお任せできる”ような世の中にならなければ、育児不安もなくならないし、少子化の歯止めもかからないと言う気がする。昔は、ほとんど親が「しつけなんてやる必要がなかった。なぜならしつけは世間や祖父母・親戚がしてくれるもの」と思っていたし、事実子どもを見ているよりも労働力として借り出されて、ほとんど育児にタッチしていないという現実があったことがこの本を読むと詳しく史実に基づいて証明されている。しつけについて悩んでいる人や興味のある人はぜひ一読して欲しい本。

 

幼児の教育と保育
放送大学(林信二郎 他)

幼稚園と保育園の違いを、子どもを生む前は知らなかった。 ましてや、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省が管轄である、なんてことは、まったく知らなかった。なぜ、幼稚園は文部科学省なのか?それは、教育だから・・・。 保育園は“保育”であり、幼児の保育は福祉であるから厚生労働省というのが理由だ。 理解できるような理解できないような分け方であるが、今後は子育て支援省なんてできて、 一元化になるのだろうか?

福祉の現場から教育の現場を訪問したりすると、 いまだに「私達は教育ですから!」と教育が上で福祉が下、と言い放つ人も居るようだ。 子どもにとって「教育」か「福祉」かという問題なんて関係がない。自分を理解してくれる人・自分の話を聞いてくれる人・自分をまもってくれる人であるかどうかが大事なのに、 大人は分けることが好きだ。レッテルを貼るのが好きだとも言える。この本は教育か?保育か? でなく、教育と保育は共存すべきという論調の本だった。

 

★★
次世代育成を考える
放送大学(原ひろ子)

この本を読んで一番勉強になったのが、 40台・50台にそれなりの体力作りをしておかないと、 60台になってガクっと体力が落ちて寝たきりになりかねないということだった。 40台・50台で@40分間やや早足で歩いてみて、やや疲れたがもう少し歩ける A30段ほどの階段を、 1秒に1段のペースで上ってみて、やや息が弾み足に疲れを感じた  B片脚で踏み切って前方へ跳び、もう一方の足で着地したとき、身長の40%以上跳べた、 の3項目ともクリアできたなら、まだまだ大丈夫、と書かれていた。

今、40台になったばかりなので、さすがにこれはクリアできそうだけれど、 運動不足気味の生活を続けていて、50台にもこの程度なら、 まだまだ・・・といえる自信がない。次世代育成とは、 乳幼児の問題だけではないということに気づかせてくれる本だった。

 

★★
父親力
正高 信男

今時の父親は入学式でも運動会でも事あるごとにビデオを携え、 わが子の成長を見守っている。政府も「育児をしない人をパパとは呼ばない」 などというコピーまで流行らせて、父親参加の育児を奨励している。 確かに私も育児支援の側の端くれとして、父親の育児参加を呼びかけている。 しかし正高さんによれば、今の父親の育児参加の形態は、もう一人母親を増やした だけで、本来の父親としての役割を果たしているといえるのか?を問うている。

母性 ・父性が騒がれていた時期も数年前にあった。母性というのは子どもを優しさで包み込こみ育てる。その反面、全てを飲み込んで殺してしまうという恐ろしい面もあると言われてい る。父性というのは、社会化するために必要な家族的な世界を断ち切ったり、こどもたちにと って壁(障害)になって立ちはだかり、それを乗り越える強さを育てると言われてい ます。しかし現代は、父性と呼ばれている内容の、社会性を身につけさせるべきチャ ンスが少なくなってしまっているのではないか、ということを指摘している。

父親の 権力を大きくしようといっているわけでは無い。父親の機能は、社会との接点をどう 子どもなりに見つけていくのか?ということを教えてくれる働きではないかと言う。 父親の仕事の内容や、その仕事に対する肯定感が子どもに伝わっている人ほど、学校 生活でも安定して生活を送っている割合が高いという。様々なアンケート結果を駆使し て、今の子育て事情を正高風な切り口で論じている。いずれにせよ、一貫して彼が主 張しているのは、母親が子どもを包み込んでいるだけの母子密着型の育児は、子ども に良い影響があるとは思えないという事だろう

 

★★★

ヒトはなぜ子育てに悩むのか

正高 信男

まだ子どもが小さかった頃、唯一の楽しみは、たまに図書館に行って育児書を借りる事だった。ある時、ふと手にしたのがこの本だった.。しかし今まで読んだ育児書には書かれていない視点が非常に面白かった。

正高さんは京都大学の霊長類研究をしている。そういう点でこの本は、他の生き物の育児との比較から、諸外国の育児状況から、歴史的に変化した育児の風景から・・・様々な角度から育児を分析 していて、自分の子育て観を広げる一冊となった。

「トイレットトレーニングはな ぜ必要なのか?」“そこにトイレがあるから・・・”。なんだか冗談のような本当 の話で、世界中を探せばトイレのない国もあって、トイレのない国ではトイレット トレニーングは無い!しかし、世界中の子どもたちはオムツをいつまでもしているわけではない。トイレットトレーニングが無くてもやがて自分の 意志で排泄を調整するようにはなる。今の母親にとってトイレットトレーニングがいかに育児不安を招いたり、親子関係で悩んだりする大きなイベントであるか、育児 に携わった人は知っているだろう。しかし、それは「トイレ」という文化的な価値観 にとらわれているから、悩んだり迷ったり苦しんだりするのだという視点は、画期的 だった!

ヒトはなぜ子育てに迷うのか?迷う事を恐れずに、迷ってよいのだという実感を得たと同時に、自分が悩んでいる事も実は悩まなくても良いことなのかもしれな い・・・と、ホッとさせてくれるような一冊だった。

 

★★
育児と日本人
正高 信男

正高さんの本を見つけると、つい借りてしまう。 この本も割りと最近図書館で見つけた。スワッドリングという育児方法を知っているだろうか? 随分前のCMで、ぐるぐる巻きにされた赤ちゃんが モンゴル系の人たちに抱いているようなシーンを見た人はいないだろうか? あの、ぐるぐる巻きにして育てる方法を言う。「ヒトはなぜ子育てに迷うのか」 に出ていたような記憶があるけれど(10年も前に読んだので定かではない)、 かつてフランスなどでも、長い間に渡って育児の方法として、 スワッドリングが当たり前だったらしい。ルソーが「最悪の子育て方法」として非難したために、 フランスではあっという間になくなったような、そんな事がかかれていた気がする。 実は日本でも結構あの方法で、育児をしていた人がいたらしく、写真まで載っている! 昔の子育てで、今となっては「子どもにとって良くない」と捨て去られた方法が、 実は人間社会がうまく機能していくための合理的な仕組みで出来上がっているのではないかという 視点で書かれている。この本で一番印象に残ったのは、 人間はぎゅっと何かに包まれている方が、気持ちが安定しているのではないか?という視点。 スワッドリングの子育て方法が、 実は生まれたばかりの赤ちゃんにとって訳のわからないような不安を与え無闇に泣く、 ということを減らす良い育児方法なのではないかということ。育児不安を訴える母親が増える中で 、つくづく思うのは、民間で伝えられている育児方法 (経験で良いと分かっているが、科学的根拠が示されていないようなこと)が、 伝わっていないという事だろう。自分の親から伝えられる育児は、 せいぜい一人〜二人の子どもを育てた経験でしかない。 昔から子どもを産んだ人なら当たり前に行えた「子育て」というものは、 周りからのそういう伝統?を伝えられ、地域から支えらていたからに過ぎず、 そんなサポートが無い、今の親の大変さをつくづくと感じた。 どんな育児が良いかは分からないけれど、育児の幅を広げてくれる視点の育児書であると思う。

 

★★
ケータイを持ったサル
正高 信男

正高教授の最新の本。なぜか、彼の本を読まずにはいられない。 サル学者だというが、サルよりも人間の観察力の方がずっと鋭いのではないだろうか? 面白かったのは、ケータイ歴三年以上で、メル友の数が300人以上の女子高生と、 ケータイを持っていない女子高生がマネーゲームをした時の結果を分析している章。 ケータイを持ってない人たちは、人に信頼感を持っている。それに比べて、 ケータイを持っている組は、なぜかメル友が多いのに、人を信じれないと感じている。 そんな結果を分析している。正高さんのすごい所は、ケータイ・専業主婦・少子化・ ジェンダーまで、家族や子育ての問題を、 今までの視点ではない視点で解き明かしてくれている点だ。最終的な結論として、 少子化をとめるためには、今時の高校生を対象に考えないといけないということ。全く同感!

 

★★
母親幻想を抜け出す
増田 修治

著書は小学校の教師である。教師というのは子どもを教育するのが使命であると言えるだろう。その教師が「生徒」のことでなく「母親」について語っているのはなぜか?教師は生徒の親から連絡帳などを通して、「手紙」を受取ることがある。彼も生徒の母親から、ある時手紙をもらったことで「詩を綴る母親サークル」を思いつき、数人の母親に声をかけて作ることになった。そこに集まった母親たちの記録である。彼はこのサークルを通して、気丈に見える母親の裏側に隠される悲しみ・いつも控えめな態度の母親の心の底に残る傷に出会う。そして我が子を愛せないと悩む彼女たちの苦しみを垣間見る。やがて「子どもを愛したい」と思いながらそうできない・うまくいかない自分に苛立ち・自信を失っている母親の思いの中に、「母親幻想」があると気がつく。一方母親たちは「詩を綴る」事を通して、どういう成長を遂げたのだろうか?彼女たちこの活動を通し、自分を見つめ自分らしく生きることを獲得する。綴られた「詩」を織り込ませながら、その成長の記録が書かれている本。著者の「先生だから指導する立場」ではなく、母親と共に成長しようとする「一人の人間」としての姿勢に共感する。親も子も「一人の人間として」見守られ大切にされることの重要さが静かに力強く伝わる本。特に詩なんて書いたことのない母親が「詩人」としても成長していく、その見事さに感動した。

 

★★★
「しあわせ家族」という嘘
村本 邦子

父親と娘の関係を書いた本。信田さんの本と同じような視点を持ちつつ、 いかに娘にとって、父親と言う存在が大きな影響を与えるか、 ということが臨床経験を交えて書かれている。 父親を「避けたり」「ないもの」として生きているかに見える娘達の行動の裏には、 実は「父」という存在が見え隠れする。 援助交際に走る女子高生も、実は「父」としての存在をどこかで求めているから、 援助交際に走るのでは?という内容など、女性としてドキっとさせられる内容だ。 子どもにとって「母なるもの」「父なるもの」のどちらが欠けても、 どこかで自分の成長に空虚さを感じるのだと、私自身も思う。 しかし、実際の父親・母親が必ずしもその対象ではない、というのが、 救われる辺りだろうか…。結局、どれだけ多くの人から、 性的な関係抜きに愛されたか、と言うことが子どもの成長にとって大事なのだと思った。

 

★★★
子どもが出会う犯罪と暴力
森田 ゆり

このところ続いている幼児・児童を対象にした殺人事件の対策として、集団登下校・スクールバスの導入・地域のパトロール強化などがもてはやされていることに危機感を覚えていました。 そんな私に飛び込んできた、この題名と著者による「はじめに」の一節。それは私の思いを確信に変えてくれる言葉でした。 《子どもから道草と放課後が奪われてしまった。不安に翻弄された大人たちが侵されている「子ども防犯安全対策」という熱病の蔓延によって》(以下略) 子 どもや女性への暴力を研究し続けてきた著者のデータだけに説得力が違います。たとえば、子どもへの暴力は見知らぬ不審者よりも身近な血縁者や知人によるも のが多い(児童虐待が最たるもの)。また学校へ「行って来ます」と出かけ、不審者に殺されるより交通事故で死亡する確率の方が遥かに高いのです。現代っ子は「子どもだけで解決できる空間」を失い、いまや道草でさえも奪われるという状況です。そんな彼らが、自ら危険を察知して自分なりの判断を下し、問題を回避するという力をどこでつけるのでしょうか? 子どもの生きる力は大人が守るだけでは育ちません。危険と安全は隣り合わせ。安全ばかりを優先させる世の中は、別の大きな危険をはらんでいくことになるとこの本を読んでつくづく感じました。 実は暴力はもっともっと身近なところで起きています。その暴力から身を守る方法は誰にでもできる方法です。「話す」「訴える」。その力をどうつけるのか、大人の「聴く力」にかかっていると改めて気づかされた一冊でした。

 

★★
子どもより親が怖い
諸富 祥彦

学校が職場になり、親からの苦情を受ける立場になってみると「子どもより親が怖い」としみじみ思う。子どもの後ろに親あり!ということが多い。この本も親への対応に悩んでいて…思わず買ってしまった。

の本を読みながら、そうそう!こういう親がいるよね?と大きくうなずいてしまう場面が多かった。また教師がどうしてうまく対応できないのかも細かく分析されている。

一教師の問題だけでなく、さまざまな原因が重なっていることや、教師と言う立場のおかれている現状なども書かれていて、「教師」という仕事の大変さが伝わってくる内容となっている。また「対応の提言」も簡潔に挙げられていて読みやすいものになっている。

ただ、提言の中には具体的な方法がわかりにくいところもあり、少し残念な気がした。紙面の都合上仕方が無いのだろうけれど…。

 

★★
子育てに男をまきこむ○得作戦
吉廣 紀代子

子育てに夫をまきこみたいと思っている妻は多い。特に第一子を生んだばかりの母親にとって、父親のサポートは欠かせないと感じる。父親はただ育児を手伝うだけでなく、母親のなれない育児に対する不安を受けとめてくれる精神的なサポート役として重要だと思う。しかし実は「子どもを育てる」より「夫を父親に育てる」方が難しいこともある。なぜなら相手は大人だから…。結婚をしたから、相手が自分の思い通りになるなんてことはあり得ない。つまり理想の父親になってくれるなんて所詮儚い夢だったりする。確かに結婚した時は「自分の理想の人」とお互いに勘違いしているが、理想どおりにいかないことを突きつけられるのが出産だったりする場合、夫婦の関係は出産と同時に最悪の状況になったりもする。そこから良好な状態に変化させるのは、女性にのみ課せられた義務ではない!男だって「子育て」を通していろいろなことに気がつくはず。夫婦の関係だって出産育児を通して新しい関係性を構築する機会となることもあるのだ。この本にはそれを実践している人、はたまたその前で怖気づいて「子どもは要らない」と決心する人、いろいろな男性が登場する。これを読んで「子育てに男をまき込む方法」がわかった女性はエライ!と思う。きっと、私には参考になっても、やはり自分の夫との関係に悩んでいたのだろうな〜。こういう本は女性が読むのではなく男性にも読んでほしい、と切実に思うのは私だけだろうか。

 

★★★
お産と出会う
吉村 典子

友人に勧められて読んでみた。読んで良かった、 いやもっと前に吉村さんの本に出会いたかった。 この本が書かれた4年後に私は始て子どもを出産し、3人の子どもの生んだ。 しかし、その間、吉村さんの本とは出合えなかったおかげで 、同じような思を抱いたまま出産を終えた。お産とは「医者に生ませてもらうもの」 であり「医者に頼れば、良いお産ができると信じていた」のは、著者だけでなく 、現代社会に生きる多くの人が信じていることだ。しかし、 そうではなかった・・・と出産を経験して初めて分る人も多い。 素朴な疑問・素朴な不安を重ね合わせた思いがこんなに説得力のある文章になるのだ と感動する。出産を迎える夫婦にはぜひ読んでほしい。

 

★★
子どもを産む
吉村 典子

前作の「お産と出会う」に比べると、現代のお産をめぐる医療的な面 (不妊治療など)も含めて、幅広く書かれている。 その分、お産に関して網羅的な知識を得られるが、一方で吉村さんの気迫は、 半減している感はあった。ただ、これからお産をするという人は、 この本を一度は読んで欲しい気がする。私にとっては「3度のお産を経験した途中で、 どうしてこの本に出合えなかったのか」 と後悔とも無念ともいえるような悔しさを感じる本だった。 この本と出合っていれば、 もう少し自分なりにもっと納得のいくお産ができたのかもしれないと思うし、 夫婦関係も、どうお産を乗り切ったかで、かなり違ってくるという気もする。