あの思い出の場所




おれは車に乗っている。友達と二人だ。

時刻は深夜12時過ぎ、海へ向かうことになった。

いつも同じ道筋をたどり海へ向かう。車でだいたい2時間くらいだ。

海へ向かうことになったのはただの気まぐれ、ただ行きたくなったから行くことにした。

ふとある道を通ったおれたちは二人、目を丸くして見つめ合った。

こ、ここは・・・

あの場所だ・・・

まさにあの場所だったのだ・・・





あれは半年も前のこと、おれたちは目標地を海に定め、しかし道は遠く険しかった。俗に言う道に迷ってたというやつだ。

そんな途方にくれていたおれらの走らせる車の中から1人の青年が視界に入る。

その青年何を勘違いしたのか親指を高々と掲げていた

そんなに指テクを披露したいのであろうか?



どうやらヒッチハイクをしているらしい。おれたちは考えた。彼はおれたちに道を教えてくれる、おれたちは彼を指定の場所まで 運んであげる。まさしくこれGIVE AND TAKE



即行で彼を車に乗せてあげることにした。

彼を乗せると何故か香る。いや、臭う。ゲロの臭いである。彼は酔っ払っているらしく酒の匂いとゲロの臭いが車の中に充満する。

この時からおれと友達はある一つの決断を薄々と予感していた。口には出さなかったが恐らく同じことを考えていたに違いない。



彼と話すうちに彼がおれらよりも2つ上であること、おれの大学の先輩であること、家の場所、なんでヒッチハイクをしているかなど が分かった。

ぶっちゃけそんな話どうでもよかった。早くこの異臭から逃れたかった。おれはこんなニュースが次の日に流れるのが怖かった。



昨夜未明、○○県○○市で3人の遺体が発見されました。

うち2人は何かの異臭に耐え切れず自分で息を止め、窒息死した模様。

ある意味馬鹿ですね。




いやだ、こんな死に方いや!

なぜか笑いをこらえてるアナウンサーを想像すると妙にむかつく。

そんなことを考えているとどうやら彼は吐き気がしたらしく一度車を降りた。

おれたちは気を使って冷たく冷えたお茶を手渡し彼を看病した。

再び車に乗ったおれたちはうまく道を切り開き目的地へと近づいた。彼の道案内のおかげである。彼の家は目的地からさらに離れた場所らしかったのでそこへ送ってあげることになっていた。

彼が再び吐き気を感じ車を降りると言ったのはそれから数分後。



車を再び降りた彼を見ておれと友達は考えた。





二人の脳はクルクル回転する。

それはまさしく扇風機の回転速度に勝るとも劣らない回転力で。

扇風機を舌で止めてくれる芸人さんもいなかったので

そのままクルクル回転し続け おれたちの脳は一つの明瞭なひらめきを導き出した。










二人はお互いに向き合いニヤリと微笑んだ。









置き去りにしよう





おれたちは彼を振り返ることなくその場を発った。

爆笑しながら




彼はなんのために存在したのか?そう、彼はおれたちに道を案内するためだけに存在した救世主だったのだ。 そしておれたちは道を案内され、彼を置き去りにしたいわばTAKE AND TAKE

ジャイアンでした









今、車で通ったところはまさに彼を置き去りにした思い出の場所だったのだ。

友達「あんたほんとひどいよね、あんなとこに置き去りにするんだもんね」

おれ「んなこと言ったって最初に言ったのはお前だったじゃん」

友達「運転してたのはあんたでしょ」







笑顔で罪をなすりつけるこの二人の姿を彼に見せてあげたい





追記

この話は実はなんの理由もなく彼を

置き去りにしたわけではなくいろいろ

理由がありました。この話だけ読むと

おれが悪魔のようですがその辺は深く

考えないでください。



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