愛とは一つの感情ではない。
それは多くの苦悩、挫折、戸惑い、悲痛、失望、狂乱の中に生じ、
多くの快楽、歓喜、欲望、熱狂、安心感の中にそのよりどころを作る。
しかしその統一された形として成り立つ「愛」という永遠の響きを奏でるものは他でもないおれであり彼女との
空間である。実体を持たないその「愛」という空間におびえるおれたちは常に掴もうとする。
相手を掴み放したくない。
矛盾だらけだ。おれたちは「愛」を心の奥底から望み、だけど心の奥底から愛に恐怖する。
二人の空間においてその矛盾は実はかけがいのないものだと思う。矛盾とはすなわち恐怖に変わる。
二人が呼吸するたびにその矛盾は音もなく忍び寄りあっという間に二人を暗闇へと突き落とす。
よく愛には障害がつきものであるという表現を使うと思う。実体を持たない愛という空間がおれはその障害そのものだと思っている。
実体を持たない愛に恐怖するおれたちはその隙間を埋めるために寄り添い、実体を作ろうとする。だからかけがいのないものなのだと。
二人の鼓動と鼓動の間に住む隔たりを埋めようとするおれたちが互いに寄り添った結果、おれたちの間には滲み出す小さな点を見つける。
二人で見つけたその小さな点は何色をしていた?
どんな形をしてた?
それが二人で見ることのできる何かであるなら・・・・
きっとそれは求めている愛であろう。
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