「ラヴェンナの自然崇拝系の施設を破壊してキリスト教にしようとしたのがまずかったかもしれません」
「一度に一つずつ改宗させるべきよ。十分な勢力を駐屯させることを忘れた報いね。
それにしても凄い大軍団ね。ゴート族が移民をした時よりも明らかに多いわ」
「このようなことになるとは」
「移民勢力との全面対決……このゲームで最も厄介な情勢よ。まあ、西ローマや東ローマ、ササン朝ペルシアならその気になれば余裕で勝てるけどね」
「とりあえず、兵力を集めないといけませんね」
「予算を磨り潰すつもりで集めないと」
「ただ、残念なことに駐屯させている兵の大半は農民兵。野戦に出しても被害が大きくなるだけですし、治安が悪化するので動かせません」
「控えめに言っても不利な情勢ね」
「腐っていても仕方ありません。集めた兵を纏め次第、投入しませんと」
「いいのかしらね? 敵は常に八十もの部隊を運用しているとんでもない相手。そこに二十かそこらの部隊を集めても、殲滅されるだけよ。戦力の逐次投入は戦場なら予備兵力、てことでいいけど、マップ単位になるとただの愚行よ」
「ですが、都市を陥落させられると困るので常に攻め続けなければなりません。農民兵だけでは一回しか耐えられません」
「いずれにしても長丁場よ。こっちがラヴェンナを手に入れた次のターンに包囲されたし」
「遠征軍すらまだ戻ってきていないので、一括して5000と22ターンに渡って100を渡すことで時間を稼ぎます」
「貰えるものは貰っておくよ」
「このゲームで講和なんて単なる一時しのぎよ。その金を使って軍隊を編成したほうがいいと思うけどね」
「その一時しのぎのための時間を得るためです。これで3ターンくらいは」
「そうでもないみたいよ」
「ゴート族、覚悟!!!」
「次のターンで破ってきたわね」
「まさかこんなに早く破棄されるとは……ですが、これで多少は手駒が揃いました、さっさと仕掛けますよ」
「さっきも言ったけど、戦力の逐次投入は感心しないわ」
「纏めていたら、都市を奪われます」
「酷い結果ね」
「我々はローマとの対決を意識していたので騎兵はおざなりですから、騎射に散々苦しめられています。矢を撃ちつくしてからも素早く動いて突っ込んでくるんですから」
「ここまであからさまに弓矢を浴びせかけられるとさすがに不利ね。勝てそうな戦いもそれで幾つか落としているわ」
「そういえば、史実のローマ軍も苦戦していましたね」
「さらに戦力の逐次投入の愚を犯しているわね。敵と同等の戦力すら整えていないわ。ガミラスより酷い」
「仕方ありません。適当に攻撃して、敵の注意をそらしたりしたないと、都市を攻撃される。実際に戦闘になったら農民兵がメインの各都市はその戦力を大きくすり減らすことになります。勝てることは勝てるでしょうが、二十部隊を率いる将軍が三人もいるんじゃあ、一度勝っても二度目で潰される」
「酷い戦略ね」
「いえ、移民は戦力の補充が出来ませんから、持久戦に持ち込めば必ず勝てます。ようするに敵に自軍より大きな被害を与え続けることが出来ればいいのです。幸い、それはそんなに難しいことではありません」
「いや、だから今まで結構失敗してるでしょうが。何とか戦いになってるのは、こっちの回復力が敵を上回っているからよ」
「といった矢先に負け戦ですね。まだまだ敵の戦力は残っています。これを殲滅する日はいつになることやら」
「違うわ、これで東ゴート族は滅亡したわ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「どういうことです?」
「この時点で東ゴートの将軍は全て死亡したからよ。
実は一族が全て死亡するとその勢力は滅亡する、ていうルールがあるわけ。大抵の勢力はいくら一族の将軍を殺しても何処かに隠れてるのか、一般人から登用しているのかボウフラのように沸いて出てくるけど、移民勢力はゲームのシステム上、どうしても一族をそれほどもてないのよ。そういう意味では比較的くみしやすい相手なのよ」
「そうと分かっていれば、将軍にだけ攻撃を集中させたものを」
「今が414年夏。東ゴート族との全面戦争開始が408年冬だから、12ターンもかかったわ」
「しかも無意味に戦力をすり減らしたおかげで、各方面の戦力が低下しています。これもかなり痛い問題です」
「そういえば、東ゴート族は滅ぼしたけど、勢力の指導者が戦死したわね」
「しかも新たな指導者は自然崇拝者です。キリスト教でいく予定であったゴート族には著しく扱いにくい人物ですよ。しかも新指導者は比較的若いので、今後は全ての都市の治安に悪影響を及ぼしそうです」
「こうなったら、適当に船を建造しましょ」
「建造してどうするんです? 言いたくありませんが、ゴート族では海軍の維持費だけで経済が崩壊します」
「別に艦隊をつくるわけじゃないんだから、維持費を気にする必要はないわ。
勢力の後継者をキリスト教徒にしたら指導者を乗せて適当な海賊に海戦をしかけて」
「しかけて?」
「さっさと死んでもらう」

「うぎゃああああああっ!!!」
「そこまでやりますか」
「勝つためよ。大した問題ではないわ。これで勢力の指導者はキリスト教徒となり、これからも心置きなく勢力の拡大と布教が出来るわ」
「そ、それではなんとか掻き集めた軍団で東進を開始します。さしあたって、イタリア侵入直前に略奪したサロナを攻略しましょう」
「でもガリア方面の戦力を整えないと、不味いわよ。東ゴート族と戦ってる時は大人しかったけど、今さっき攻撃してきたから」
「まさに四方八方に敵を抱えていますね」
「さらにスラブ人が来襲してくるとか言ってるから、そう遠くないうちにやってくるかもしれないわね」
「また敵が増えるんですか?」
「うんざりするけどね」
「こうなれば、敵は全て叩き潰すのみです。各都市で軍拡と布教を行い叩き潰してやります」
「それくらいじゃないと、このゲームでは勝てないわ」
「何とかサロナは攻略しましたが、すでに各戦線の戦力不足は致命的なまでの域に達しています。今の我々はいかなる攻勢も行うことが出来ません」
「完全に守勢に立ったわけね。やっぱり東ゴート族との戦いが響いているのかしら?」
「あれさえなければ、ゴート族はとっくにコンスタンティノープルを視野に入れていたはずです」
「そうそう、前に同盟したヴァンダル族だけど、何とかヒスパニア辺りに入植したみたいよ」
「我らが友邦の勝利は我らのものでもあります。とても喜ばしいことです」
「だけど、今は良い感じに西ローマに負け続けているのか、領土が最後の一つになっているわ」
「あまり当てには出来ませんね」
「分かっていたことだけどね」
「スラヴ人が南下してくるそうですから、彼らをどうにかしないといけませんね」
「出来ればフン族みたくアジア方面に行ってもらいたいものね。そこでフン族を蹴散らしてくれればコンスタンティノープル奪還も容易になるわ」
「彼らがどこに来るのか、今の段階では不透明ですが」
「まあ、どこかに入植してくれれば、脅威も半分以下に落ちるから、適当な勢力が犠牲になることを祈りましょう」
「ガリアでの戦いもあまり順調ではありませんね。それなりの大軍を用意しても、経済力で上回る西ローマの予備軍との戦いで退けられてを繰り返し、結局この20ターンでたった一つしか都市を得られていません」
「ま、それでも攻勢自体は結構成功しているから、アウグスタトレヴェロルム陥落も時間の問題……あら?」
「どうしました? その様子だとまたよくない報せなのでしょうが」
「西ローマはブルグント族と同盟をしているんだけど」
「彼らが参戦したと?」
「うん」
「我々は西ローマとともに、ゴート族を討つ」
「我々の同盟は少しもあてにならないのに、どうして敵の同盟はまともに作用するんですか!!」
「仕様じゃない?」
「本当に嫌な仕様ですね」
「まあ、でも連中はさっさと叩き潰せたし、430年夏にアウグスタトレヴェロルムは我々のものとなったわ」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
「例のごとく略奪するのね。鬼畜過ぎて、同盟があてにならない真の理由がよく分かるわ」
「な、何を言っているんです。孫子にも敵国内で得た補給物資こそ価値があるものと書いてあるじゃないですか」
「悪行を古典で正当化しようとするなんて、アーサー王も落ちたものね。
それは買い付けのことで、略奪のことじゃないと思うけど。ま、略奪同然のものがあることは否定しないけど」
「そ、そんな細かいことはいいんです。これで軍を編成し、さらに進撃を続けますよ」
「まさに略奪遠征だわ」
「とうとう旧東帝国方面に戻ってきたわ」
「どれだけこの日を待ち望んだことか」
「目算どおり、アテネ、テッサロニケ、コンスタンティノープルの人口は回復し、略奪し甲斐のある都市になっているわ」
「この地域を征服すれば、目標の十六都市は目前です」
「ガリア方面の戦いも好転しそうだし、これなら余裕で勝てそうね」
「まずはテッサロニケに攻撃を開始?」
「どうしたの?」
「どういうわけか、テッサロニケをフン族が占領しています」
「ああ、きっと移住した小アジアからやってきたのよ。ご丁寧に船まで作ってね」
「まあ、いいでしょう。さっさとテッサロニケに攻撃をしかけます」
「ま、これならすぐに陥落するでしょうね」
「ええ。すぐにここを制圧し、アテネ・コンスタンティノープル奪還のための基地にしますよ」
「あら?」
「どうしました?」
「少し前に移民になったとか言ってたランゴバルト族がやってきたわ」
「また移民との対決ですか?」
「嫌なのは分かるけど、バーバリアン・インベイションにおける醍醐味だから。通常版の拡大したローマ帝国との対決みたいなものよ」
「ですが、早まるのは禁物です。まだランゴバルト族が敵になると決まったわけではありません。ここは一旦やりすごして、彼らが別方向に行くことを願いましょう」
「ま、確かにランゴバルト族は国境近くでうろちょしてるだけだし、これならしばらく戦わないかもしれないわね」
「ついでに外交官で20ターンに渡って金品を渡すことにしましたから、このまま領土を素通りしてくれるかもしれません」
「領土の素通りはさすがにありえないと思うけど。まあ、ハンガリー辺りから侵入して被害もなくイタリア北部でラヴェンナを通り過ぎたんだから、期待くらいはしたいわね」
「ただ、ガリア方面の圧迫によって、そちらに兵力が集中しているので、彼らが妙な了見を持った際に我々はかなりの窮地に立たされるという難点があります」
「西ローマとは常にガリアで対決してるもんね。幸い、二つの都市が近くにある状態だから、いつも救援をしあうことで防いではいるけど」
「とにかく、この戦略が成功すれば」
「言った傍からで悪いけど」
「どうしました?」
「ランゴバルトがメディオラニウムを包囲したわ」
「なんですと!!!」
「敵の備えは少ない。メディオラニウムを叩き潰すのだ!!!」
「た、度重なる背信行為!!! 彼らに騎士の自覚はあるんですか!!!」
「そもそも騎士の時代じゃないでしょ」
「西ローマからの圧迫で常に戦力不足のガリアから軍を動員することは出来ませんから、何とか南イタリアなどから余った戦力を引き抜いて」
「ま、幸いなことに今回の敵は三十から四十の部隊。東ゴートとの対決と比べれば明らかに楽よね」
「ええ。ですから、部隊の派遣さえ間に合えばメディオラニウムを救うことが出来るはずです」
「間に合わなかったみたいよ」
「奪えるだけ奪え!!! 死んだゴート族だけがいいゴート族だ!!!」
「農民兵だけで戦った割には敵のお数は半分以下に」
「まあ、農民兵が大して強くないことに変わりはないけどね。何しろ、西ローマ最強の歩兵一部隊を十以上の農民兵の部隊で取り囲んでタコ殴りにしたのに、こっちの部隊が三分くらい消費してようやく倒せたんだから」
「メディオラニウムは略奪されましたが、ランゴバルト族を殲滅次第、奪還します」
「敵の数はかなり減ったから余裕で勝てそうね。幸い、北に逃げようとしてるからガリア方面の軍隊で叩き潰せば万事解決よ」
「その通りです。メディオラニウムでの借りを返してやります」
「ちょ、ま、話せば分か……
ぎゃああああああ!!!」
「勢力の指導者は死亡。ランゴバルト族も滅ぼせたわね」
「移民勢力は持久戦に持ち込めれば回復力に勝る我々が有利ですが、やはり一度に多くの敵を相手にするのは骨が折れます。これが弱小勢力の時に来たらどうなっていたことか」
「ま、確実に全滅ね。こっちも移民勢力にならないと、まともな戦いにならないわ」
「そういえば、最近ガリア方面で良い将軍が見つかったそうね」
「ええ。成人した時点で指揮が3ある見所のある若者でした。西ローマやブルグントととの対決で常に戦果をあげ、今は星6の名将です。
ただ……」
「ただ?」
「なんでこれだけの人物が東ゴートとの対決に間に合わなかったのか、物凄く理不尽です。今となっては大した敵も残っていませんし、彼を活躍させにくいんです」
「しかも一ターンが半年、ていう仕様だから意外と早く使えなくなるんだから、本当に微妙よね」
「ま、フン族のテッサロニケと、東ローマのアテネも占領。メディオラニウムも奪還。これでコンスタンティノープルを手に入れれば、条件の十六都市に手が届きます」
「コンスタンティノープルが東ローマの領有から東ローマ反乱軍のものになっているわね」
「また反乱が起きたんでしょう」
「見事に東ローマは亡国の道を歩んでいるわね」
「最初の頃に少し戦っただけなのに、いつの間にか消えかかってしまったような印象です」
「領土の大半をササン・ペルシアとフン族、東ローマ反乱軍に奪われているわ。残っている領土は……エジプトくらいのものね」
「さっきからコンスタンティノープルを攻めているのですが、何度攻めても援軍が来るので、一向に攻め落とせません。なんとかしたいところですが……」
「それはもう、出来る限りの兵力を集め続けるしかないわね。そのうち勝てるわよ」
「スラブがいきなり裏切って攻撃してきました」
「貿易したい、ていうから生かしておいたのに、調子に乗ってるわね、こいつは」
「さすがは赤熊の先祖です」
「ま、その辺りは後方の部隊に任せて、コンスタンティノープルを攻略しましょ」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
「何の盛り上がりもなくコンスタンティノープルを落としてしまいました」
「そりゃあ、消耗戦を強いてたんだから当然よ。立て籠もってたのはこっちの半分なんだから、よっぽど油断しない限りは勝てるわよ」
「これでクリアですね」
「だけどさ、最後の都市なのに略奪? そこまでしなくてもいいんじゃない?」
「し、しまった。つい癖で」
「略奪が癖になるなんて、野蛮な王様ね」
「むぅ」
「それにしても随分と時間がかかったわね。西ローマが消えるまであと二十年かそこらしかないわよ」
「東ゴート族の蜂起さえなければ、もっと早くに終了できたのですが」
「改宗の問題もあるから、丁度いい地盤固めの時間が出来たとも思うけど」
「その戦いで一族が何人死んでいると思っているんです? どう考えてもマイナス面が大きいと思います」
「バーバリアン・インベイションも確かに面白いけど、ちょっと微妙なところがあるわね」
「微妙?」
「宗教や移民の要素とかは面白いけど、その分兵科で面白いのが減っているわ。基本が歩兵、騎兵、弓兵、槍兵だけじゃちょっと少ないわ」
「確かに、象兵や戦車、豚、犬、ファランクス。勢力を特徴付けるような兵科が消えていますからね。まあ、象や戦車はすぐに暴走するからはっきり言って邪魔なんですが」
「あと、世界七不思議が消えたのも不満ね。まあ、あれを早期に手に入れちゃうと楽勝モードが漂って、セレウコス朝なんかでやると最初は苦労しても後半案外楽に勝てるのよね」
「それでもローマの投石器に将軍が敵と激突する前に吹き飛ばされた時は頭が痛くなりましたね。思わずリセットに手が伸びました」
「その辺りを上手く解消してくれれば、もっと面白いゲームになったのにね」
「おや?」
「どうしたの?」
「確か、ライダーのやっていた東ローマのセーブデータがあったと思ったのですが、見当たりませんね。どこまで進んだか見ようと思ったのですが」
「多分……自動セーブに入ってたんじゃない……」
注:自動セーブは毎ターンごとに行われます。おかげでうっかりセーブを忘れていたデータが飛んだこともあります。
「……」
「……」
「イリヤスフィール。用事を思い出しました。しばらく失礼します」
「おい!!」