「前回は分量を考えないで一気に書いたから、全体のバランスがかなり悪くなっているけど、あまり気にしないでね」
「本当に誰に向かって話してるんです?」
「こっちのことよ。それはさておき、戦いはかなり順調ね」
「うん、順調すぎて怖いくらいだよ。これなら、ブリタニアを大陸から追い出す日もそんなに遠くないね」
「どこかの美形テロリストが言いそうなことですね」
「あれはアメリカで放送できるのかしらね? あれどうみてもイギリスの名前を使ったあれだし」
「大丈夫じゃないですか? 話そのものはいい感じです」
「でも、あれってフランスが第二次百年戦争に勝ってアメリカ大陸を制覇したら、ブリタニアじゃなくてガリアになるのかしらね? でもって皇帝はナポレオン八世だか九世か誰か」
「スペインならヒスパニア、ドイツならゲルマニア、てところですね」
「何の話をしているの?」
「こっちの話ですよ」
「これからブリタニアの大陸最後の都市に攻撃をしかけるよ」
「その前に敵が二部隊いますけど、平気ですか? 援軍を待ったほうがいいと思いますよ」
「大丈夫だよ。これでも、有利な敵には何回も勝ってるんだから」
「それでも、敵の将軍が使っている戦車には気をつけたほうがいいですよ。これ、野戦ですから」
「うぐぅ、戦車が突っ込んできたよ」
「いい感じに歩兵の密集体系を突き破ってきますね。これは厄介です」
「あ、後ろに一人だけ出て孤立したから、騎兵で追いかけるよ」
「戦車は手強いですから、騎兵を二、三だけでは足りないと思いますよ」
「なかなか倒せない……こうなったら、将軍にも一緒に攻撃させるよ」
「最初の敵は倒せたけど、被害が大きいよ」
「戦車に追いつけないものだから、将軍も含めた騎兵で攻撃しかけてましたからね。戦車は地の果てに消えましたが、こっちの将軍もかなりダメージが大きいです」
「これで勝てるかな?」
「やってみないと分かりませんが、戦車でこっちの戦列を崩されるのは厄介ですね」
「うぐぅ、将軍が殺されたよ」
「勝負は決まりましたね。将軍が死ぬと、士気が落ちるんです」
「頑張ったけど負けちゃったよ」
注:この戦い、うっかり数を記録する前に進めてしまったので、数字がよく分からない。とりあえず、敗北しました
「ちょっと、自信過剰だったわね」
「大丈夫です。イタリア近辺の軍団を再度投入すれば普通に勝てますから、気を落とさないでください」
「うん、今度攻撃したら圧勝できたよ」
「ブリテン島は大陸側に戦力を集めすぎていい感じにボロボロですね。大陸側を攻めながら、適当にやっててもアイルランドまで完全制覇出来ました」
「ここまで領土が広がると、有能な将軍を戦闘じゃなくて都市経営にもってかれちゃうのが困るよ」
「治安の悪い領土の近くに首都を置けばいいんだけど、それをやると極端に偏るのが問題ね。結局、領土の中央に首都を置くしかなくなるわけだし」
「多少、内政に問題のある人物でもアカデミーや大学を置いて、従者を増やしてボーナスを得られますからね。それでも足りなければ、コロシアムを使えば、治安を維持できます。本当にローマは恵まれた勢力だと思いますよ」
「お金がかかるけど、反乱が起こるよりはマシだね」
「今の時点で高価なユニットを揃えないと使い切れなくなってるから、ほとんどお金のあまりを使っているような感じですね。
さすがに2ターンかかる兵科はそんなに用意してませんけど」
「これで、このゲームもそろそろ終わりか」
「来るべきときが着ましたね」
「えっと……どういうこと?」
「細かいことは省きますが、史実ではユリウス・カエサルがガリアでの勝利によって市民から高い支持を得ることに成功しました。彼はその支持を背景に、元老院を倒し、ローマに独裁政権を打ち立てました。それと同じことを今からするんです」
「元老院に反乱を起こす、てことだね」
「ルビコンを越える時が来ました。奇襲を仕掛けて一気に全てを決してしまうんです。スキピオ家とブルトゥス家は当面の敵を撃破するのに忙しいので、後方には戦力がほとんど残っていませんから、彼らの領土も制圧してしまいましょう」
「領土を侵犯しても責められないね」
「一応、領土通過まで許可されてる同盟国だもの。いきなり攻撃を仕掛けない限りは出入り自由よ」
「たまに元老院から危険人物と見なされてリーダーの死を命じられることもあります。勿論、断れば即開戦なので、こういう形で奇襲できるのは本当に喜ばしいことです」
「あ、次のターンにローマに直接攻撃しようとしたら、まだ民衆の支持が得られていないとか言われて攻撃できなかったよ」
「これは市民の支持で元老院を攻撃できると表示されたターンにやらないといけないんです」
「それじゃあ、軍隊を収容してゲルマニアでも攻めることにするよ」
「あら、まだ残ってたの?」
「ブリタニアにデンマークとかスウェーデンのほうに押し込まれてたみたいだった」
「と、一ターンしたらまた機会が到来したそうです」
「出しなおさないとね」
「面倒だよ」
「ローマは長い平和を謳歌して、それほど強力な軍隊を編成していないから、結構簡単に勝てるわよ」
「ローマの兵の大半が、マリウスの改革以前のものだね。よく残ってたね、こんなの」
「ローマ攻略がある意味、一番あっけない瞬間なんですよね。予め編成した最強の軍隊を送り込めば簡単に勝てますし」
「本当にあっさり勝っちゃったよ」
「何故にシャドームーン?」
「影のお月様?」
「全然違いますよ。あと、これを見てこのゲームにそんな台詞があるのだと勘違いしないでくださいね」
「それはともかく、今が紀元前175年。始めたのが紀元前270年だから、ここまでの道のりは長かったわね」
「ですが問題はこれからです。強大なスキピオ家とブルトゥス家は残ってますから、彼らとの全面対決をしなければなりません。これからが、本当の戦いです」
「今度も略奪を繰り返さないといけないのかな? ローマの人口は凄いことになってるよ」
「それなら安心して。ローマ系は人口が多くても、文化的に同じだから略奪しなくても結構まともに統治できるのよ。カエサルみたく、寛容の精神で挑んでもそれほど問題ないわ」
「あとはローマ攻略ために集めた戦力の余りで戦力の薄いイタリア半島の全ての都市を攻略すれば巨大都市が三つも手に入ります。目標の五十まで残り十五都市、頑張って攻略してください」
「うん、今も色々なところで兵隊を集めてるし、変なところに親族がいないか探してる。外交も遠くのパルティアとトラキアと組んでるから、ブルトゥス家を牽制できるよ」
「これまでたくさんのお金を貢いできた効果が現れるか、必ずしも保障の限りではありませんけど、イタリア半島を制圧した後はバルカン半島のコリントを攻め落とすのがお勧めなので、その方面に海軍ともども集結させてください」
「どうして?」
「コリントにあるゼウス像は保有している全ての都市の治安が二十パーセント改善されるんです。大国になったからには是非とも手に入れたい施設ですね。それに、ギリシアも平和でほとんどの都市が軍備を有していませんから、周辺の都市も簡単に攻略できるはずです」
「ぼくが戦ってるところにはそういうの一つもなかったけど」
「これはあくまで世界七不思議をモチーフにしているのよ。この七不思議は紀元前二世紀にビザンチウムのフィロンが認定したものね。なかなか面白いお遊びだわ」
「それぞれの施設の効果はこんなところです」
「全部東側だね」
「いいところに気がついたわね。つまるところ、ヘレニズム王朝で始めると、この七不思議が簡単に手に入るのよ。ある意味、一番有利かもしれないわね。ゼウス像に関してはローマと戦争をしないと手に入らないと思うけど。それまでにその辺にまで勢力を拡大するから」
「ローマは強いですから、丁度いいハンデだと思いますよ」
「イタリア半島の全都市を落としたから、残りの兵士をギリシアに上陸させるよ」
「ブルトゥス家の主力はロシア方面に展開しているから、ギリシアにはほとんど残っていないから、楽に勝てるはず。だけど、山のような大軍が手薄になったゲルマニア方面に押し寄せているわ」
「うぐぅ、ローマが手強いと思って、こっちに兵士を回しすぎたよ」
「ここを抜かれると、後々拙いことになるわ。このゲームの特徴として、そんなにレベルの高くない都市からは強い兵科を雇えないのよね」
「農民兵や哨戒兵ではとても戦えませんからね。時間稼ぎに戦わせてみたら、凄く酷い目にあいました」
「絶対に守りぬかないとね。でも、兵士の数が不安だよ」
「それなら、傭兵を雇ったらどうかしら?」
「傭兵?」
「将軍は地域の傭兵を好きなときに雇えるのよ。一度に二十部隊も雇えるわけじゃないけど、その場しのぎにはもってこいね。近場にいる将軍を派遣しましょ」
「それじゃあ、ゲルマニア方面の都市全てに兵士を作ってもらって、将軍の傭兵と組み合わせて倒すんだね」
「今のゲルマニアで集められる軍隊は大したことありませんから、時間稼ぎくらいしか出来ません。敵を減らすための盾だと思ったほうが良いですね。ですから、都市から出さないで守りに徹したほうが」
「うぐぅ、もっと早く言ってよ」
「見事に全滅しましたね」
「そりゃあ、農民兵と哨戒兵が主力じゃね。負けるの当然よ。とりあえず、数だけは減ったみたいだから、次の攻撃で倒せたみたいだけど」
「でも、何とかまともな兵士で固めた軍隊を集められたよ」
「近づいてきた敵は265。こっちは392。数の上ではかなり有利ね」
「それじゃあ、例のごとく攻撃をしかけるよ」
「近づこうとするとどんどん数が減っていくよ」
「いい弓兵が揃ってますね。それに、投槍も結構威力ありますよ」
「私は弓兵はどうも好きになれないから、あまり使わなかったわね。敵の弓兵はいつも騎兵で潰してたし」
「ローマ攻略のときは結構平気だったのに」
「そりゃあ、あの時の兵科はマリウス以前のだからよ。ブルトゥス家の兵科は戦争やりまくってるから、十分こっちにも対抗できるのが揃っているわ。投槍だけで随分と減ったわね」
「これなら敵が来るのを待ってればよかった」
「それだと敵に主導権を握られかねないから、早めに攻めたほうがいいと思うわ」
「それはともかく、今は力ずくで攻めきりましょう。今更引き返しても、ダメージが大きくなるだけです」
「とりあえず、いつものように包囲して殲滅するよ。弓矢のことは、あまり考えないで突撃だね」
「ほら、なんとかなりました」
「結果は200対8。大勝利ね」
「でも、今までより明らかにダメージが大きいよ」
「さすがは最強のローマ軍ね。敵に回すとその恐ろしさが分かるわ。数に任せて囲みこまないと危なかったし」
「勝ったんだから贅沢言わないことにしましょう。手持ちの兵力は相手のほうがすっと上、ていうのは懸念材料ですけど」
「何度戦っても、弓矢が手強いし、いつになっても敵が来るよ」
「仕方ないわ。統計によると、ブルトゥス家の軍事力は世界最強みたいだし。野戦兵力はそれこそ尽きることなく来るはずよ」
「うぐぅ、守りきれるかな?」
「安心してください。生産力では相手のはるか上をいってます。後方で集めている兵力を片っ端からゲルマニア方面に回しさえすれば、数の論理で十分に勝つことが出来るはずです。それに、ギリシアの大都市を片っ端から落とせば生産力が低下しますから、敵の兵力が増強されにくくなります」
「うん、なんとか守り抜いてみせるよ」
「そういえば、暗殺者が見当たらないんですけど、どうなったんです? いざという時は、敵の将軍を殺してしまえば守りやすくなりますよ」
「皆寿命で死んじゃったんだよ」
「そういえば、ここまでくると結構楽に勝てるから、暗殺者の育成をサボってたのよね。ブリタニア戦は一部を除いて連戦連勝だったし」
「だってぇ」
「難しいモードでやると、敵も暗殺者を仕掛けてくるから、前線に出す将軍が片っ端から殺されるのよね。で、こっちも敵の将軍が率いた軍隊とは戦いたくないから暗殺。敵も負けじと暗殺、こっちも復讐のために暗殺。これ以上殺されるなら、前線なんかやれねーよ、てことで後方の都市の治安維持のために一族を移動。
するとあら不思議、前線から一人も将軍がいなくなったわ」
「無茶苦茶だね」
「私もなにやってるのか途中で分からなくなったわ。普通にスパイともども展開させればいいとは思うけど」
「でも、やっぱりローマは強いよ。数が多くないと勝てなそうにない戦いが何度もあったよ」
「付け焼刃で弓兵を用意したけど、やっぱり使い難いわね。慣れてないせいもあるけど」
「お姉ちゃんは派手好みだから、地味に効果のある弓兵が好きになれないんですよね」
「だって、弓兵使ったらゲームが面白くなくなる、て評判なのよ。それなら使わないほうがいいじゃない」
「現実も弓矢のほうが剣や槍よりも強いですからね」
「とりあえず、敵の攻撃が止まったみたいだから、編成した部隊で攻撃してみるよ」
「ギリシアから裏手を攻撃して回ったほうが手っ取り早いと思うけど」
「そっちは間に合ってるから、こっちからも行こうと思うんだ」
「挟み撃ちね」
「うん。あ、ブルトゥス家の軍団が来たよ」
「今回は余裕ですね。敵は298ですけど、こっちは272と171の二部隊。多分、余裕で勝てますよ」
「それじゃあ、一気に仕掛けるよ」
「あれ?」
「どうしたの?」
「171のほうが先に戦ってるよ」
「すぐに助けに行きなさい。下手をしたらこっちが全滅よ」
「じゃあ、騎兵を全速力で向かわせるよ。歩兵も全力で走らせないと」
「ぼくの騎兵を抑えるために歩兵が来たよ」
「機動力を利用して前と後ろから攻撃してやりなさい。歩兵が近衛大隊となかなか高級だけど、それで倒せない相手はそんなにいないわ」
「すぐにやられると思ったコンピュータ担当の軍が意外と頑張ってるよ。ぼくのところに来てる分を差し引いても、敵のほうが多いのに」
「そういえば、コンピュータの担当が戦闘指揮に優れた将軍でしたね。これならなんとかなりそうです」
「後ろに置いて来た歩兵も戻ってきたし、そろそろ総攻撃だね」
「勝ったわね」
「結果は258 and 150対68。大勝利です」
「それじゃあ、いよいよ城攻めを」
「って、すぐ近くに敵軍が来たよ」
「スパイを出すのを怠った報いね」
「しかも数が多いです。234対334です」
「さすがにそれは拙いわね。ローマ軍との戦いは出来るだけ多数でやらないと、こっちが死ぬほど危ないし」
「逃げないと」
「行動力を使い切ったわね。もう逃げられないわ」
「うぐぅ、敵のほうが100も多いよ」
「そうそう、ローマのレギオンに劣った兵力で挑んで勝ったのはハンニバルとカエサルくらいだから、頑張って戦うように」
「絶対に勝てない、てこと?」
「この様子なら、どうにか勝てると思いますよ」
「どうやって?」
「まず、後ろにほうにある坂道に陣取ってください相手が痺れを切らして出てくるまで待つんです。敵のほうから仕掛けてきたときは必ず動きます」
「坂道を登ってきたところで攻めるんだね」
「そういうことです」
「でも、なかなか来ないよ」
「そういう時は例のごとく、三倍速にして動いてもらいましょう。これで待ち時間を短縮です」
「それで何度も危ない目にあったよ」
「うっかり解除を忘れて戦ったものだから、ほとんど指示を出せないまま戦闘が終わったことがありましたね。その時はこっちの数が敵の三倍はいたから、よく分からないうちに勝っちゃいましたけど」
「ま、いくら遅れても、敵と殴りあう直前には気づくから、大抵は余裕で勝てるんだけどね」
「あ、敵が動き出したよ」
「出来るだけ敵を引きつけて下さい。槍を全て投げるまでの心積もりで」
「さすがに坂の差は大きいね。敵の士気がどんどん低下してるよ」
「逃亡兵は多数。いつもなら、追撃するところなんですけど」
「そんな暇はないよ。ここだけで手一杯だよ」
「まあ、敵も将軍が率いてるから、そのうち戻ってくるのよね。不利なことにこっちは画面の端っこ。こっちは逃げたら逃げっぱなし、だけど相手はよほどのことがないと、戻ってきかねないわ」
「でも、これで互角に持ち込めました。囲むのに兵力が足りませんが、体力はこっちのほうがずっと残っています。諦めないでください。ここを枕に全滅するくらいの覚悟で望むんです」
「うん。ここが正念場だね」
「かなりグダグダした戦いね。陣形はほとんどバラバラ。あちこちで分かれて戦ってる歩兵を騎兵が援護に向かう、ていう形式になってるわね。完全に」
「あ、敵の将軍を取り囲んだよ」
「チャンスです。そこに全力を傾けてください。そうすれば」
「敵が敗走したよ」
「結果は123対35。英雄的な勝利よ」
「でも、これでだと前進できないね。もう少し、戦力を整えるよ」
「まあ、すでにギリシア方面は完全に平定しましたから、これまでのような攻勢はしかけてはこないはずです。余裕を持って勢力を拡大できますね」
「うん、連戦連勝だね。あと二つ都市を攻略すればゲームクリアだよ」
「油断は禁物ですよ。ブルトゥス家はロシア方面に閉じ込めつつあるとはいえ、そっちでは連戦連勝しているみたいで、領土が広がっています」
「そういえば、スキピオ家はどうなったの?」
「戦力の大半が北アフリカにいるので、こっちのことは無視してプトレマイオス朝と戦ってます。念のために用意していた海軍がそれほど役に立ちませんでしたが、偶に来る海上封鎖を解かせるには使えますよ。いい感じに領土を広げていますね。アレキサンドリアの陥落もそう遠くはないと思います」
「このゲームはどの勢力でやっても最後の敵はローマなのかな?」
「ローマの制圧がこのゲームの勝利条件の一つだから、ローマの近くにあるカルタゴやガリア、ギリシア以外は大抵、周辺の勢力を取り込んで強大化したローマとの決戦がメインとなるわ。この三つだと、その気になれば早期にイタリア半島を制圧できるもの」
「あ!! トラキアが裏切ったよ」
「そういえば、ブルトゥス家の後ろを突くために何回も金品を渡したのに、全然動いてくれなかったんですよね」
「それがまさか、こんな時に来るなんて思わなかったよ」
「仕方ないわ。我が国以外は全て仮想敵国だもの」
「そういうことです。戦争ゲームのセオリーですよね」
「残り二都市はブルトゥス家からじゃくて、トラキアを攻めて取ることにするよ。ロードス島に派遣予定の艦隊は黒海を通り抜けさせて、トラキア攻略に向かわせる」
「あ、さすがにむかついたみたい」
「今までの背信行為を考えたら、当然の報いなんですけどね。それでも、なんで弱体化しているブルトゥス家じゃなくて、快進撃のユリウス家に挑んでくるのかは分からないですけど」
「まずは、トラキアが包囲した都市を救助しないと。幸い、大都市だからしばらくは持つけど、急がないと」
「いざ攻めれば、中と外で挟み撃ちが出来ます。安心して攻撃しましょう」
「集めた軍隊を向かわせるよ」
「今回は都合、城の中と外の軍隊を指揮できるけど、片方はコンピュータに任せてみる?」
「今回はコンピュータには任せないことにするよ」
「それじゃあ、背後からの援軍で後ろを脅かすんです。これで敵は背後にも戦力を振り向けなければならなくなります」
「城のなかから軍を出して、ぐるっと城壁を回って、援軍を少しずつ近づけて」
「敵は二分されています。迎撃に出来たファランクスを歩兵と騎兵で包囲して殲滅しましょう」
「敵はこっちがファランクスを全滅させた辺りで逃げちゃったよ」
「まあ、それでも大勝利には違いないわ」
「ここには少数の守備隊を残して、トラキア攻略に行くことにするよ。艦隊もそろそろつくころだから、丁度いいね」
「投石器を作ったみたんだけど、使い道はあるかな?」
「こっちの数があまり多くないから、城に突入するよりも外に出て来た敵を殲滅するか、兵糧攻めにして勝つ、てことばかりやってましたからね。今は手薄なギリシア、てことで力攻めがメインですけど」
「投石器は城攻めだけでなく、野戦でも十分に利用価値が高いわ。試しにもっていっていきなさい」
「そこまでいうなら、使ってみるよ」
「と、言った側から敵がしましたね」
「354対422 and 248。戦力の差は前回のブリタニアに負けたときの戦い以上ね」
「あの時は負けたけど、今度は勝てるよ」
「まあ、勝っても負けてもトラキアの寿命が少し延びるだけですけどね。艦隊に乗っている戦力も相当なものですし、各方面で訓練中の部隊を集めれば世界征服だって出来ます。トラキアなんて、その途中にある石ころみたいなものです」
「なんか、弱いもの虐めをしてる気がするよ」
「戦争は弱いもの虐めが一番いいのよ。まあ、でもこの戦いでは貴女のほうが弱いものだから、気にしなくてもいいわ」
「どうすればいいかな?」
「まずは投石器で敵第一陣のの陣形を乱してください」
「それじゃあ、投石器を敵の前衛に向けて、攻撃するよ」
「攻撃があんまり当たんないよ」
「投石器の命中率は低いんです。当たることはほとんど期待しないほうがいいですよ」
「うぐぅ、それじゃあ駄目じゃないか」
「いいえ、駄目じゃありません。敵の陣形を見てください」
「え?」
「ぐちゃぐちゃだね」
「敵の陣形がこれまでにないくらいに乱れました。間隙を縫って歩兵を突入させるんです。あとは個別に後ろから騎兵で突撃をかければ楽勝です」
「敵が壊走していくよ」
「敵の将軍を殺し損ねたので、放っておくとまた戻ってきますが、敵の援軍が近いのですぐに陣形を整えてください」
「敵の援軍が来たよ」
「さっきの敵の残存兵力に気をつけて戦ってください。今度も同じ要領で投石器を使うんです」
「う、うん」
「投石器はゲーム中でも有効な兵であることが立証されましたね」
「こうなると、敵の大軍も楽勝だね」
「結果は324対108 and 106これで英雄的な勝利にならないのが不思議だわ」
「敵が坂道を駆け上がっていったから、上手く追撃出来なかったんだよ」
「まあ、これで敵野戦軍はほぼ壊滅しましたから、トラキアの都市を攻略しましょう。もはや、勝利は目前です」
「じゃあ、トラキアに止めをさしに」
「あ、トラキアが滅んだみたいよ」
「どうして?」
「軍拡に予算を使いすぎて、内政がボロボロだったみたいね。トラキア最後の都市で反乱軍が蜂起したわ」
「もう少しでトラキアを倒せたのに」
「まあ、仕方ないと思いますよ。」
「うん、近場の他の都市を攻略してゲーム終了だよ」
「今は紀元前165年。紀元前270から始めたから105年。210ターンでクリアしたことになりますね」
「ローマが手強かったよ」
「上級者にはローマを占領する前に五十近くの州を支配して、その後でほとんどローマと戦わないでクリアする人もいるみたいね。でも、今回はそれだとつまらないから、真面目に同胞と戦うことにしてもらったわ」
「占領地は大体、現在のイタリア、フランス、スペイン、イギリス、アイルランド、ドイツ、チェコ、スロバキア、オーストリー、ハンガリー、ポーランド、ギリシャ、ルーマニア。こうしてみると、エジプトや北アフリカ、小アジア、シリアが入っていないので全然ローマ帝国じゃありませんね。ほとんどナポレオンやヒトラーの目指したヨーロッパ大帝国です。
ここにロシアを入れれば完璧だったのですが、治安を維持するために末端で虐殺ばっかりやりそうです」
「まあ、ローマ帝国の領土を再現しようとすると、軽く五十州越えるから、やってる間にゲーム終わっちゃうわよ。ま、その後もプレイできるから不可能ではないけどね」
「とりあえず、これでクリアですね。最初に言ったこと覚えてますか?」
「うん、ローマが勢力を拡大して、トップの人が元老院を倒して皇帝になったんだね」
「上出来です。これで一般常識としての知識は身につきましたね」
「固有名詞や途中の過程がほとんどないのはどうかと思うけど」
「それから……」
「それから?」
「世界征服するためには虐殺するしかないんだね」

「「完璧(です)ね」」
「いいのかそれで?」