「やっぱり、あいつは悪魔ね」
「ここでも負けましたね。ここは引きましょう」
「同感」
「なかなか突破できないわね」
「まあ、仕方ないわ。コンスタンティノープル、ていうかビザンティウムは守りやすいところなんだもん」
「まあ、確かにここは結構手強いところなのよね」
「あ、陛下、突破出来そうよ」
「約束された勝利の剣!!」
「大変です!! 海軍はクリスプスによって全滅させられました!!」
「なんですって!!」
「今です、父上」
「猿が人間に追いつけるかーッ!!! 貴様はこのコンスタンティヌスにとってのモンキーなんだよリキニウス!!!!」
「まだ兵力はある、五万よ!!」
「まあ、そろいもそろって新兵なんですけどね」
「やる気を削がないで。ついでに、貴女も皇帝になりなさい。マルティニアヌス」
「道連れですか? ていうか、今名前がつきませんでした?」
「細かいこといわないの」
「悲しいです」
「五万? そんなせこいものでは勝てないぞ、オフェラ豚!!!」
「なんですって?」
「いきなり、やってくれるじゃない」
「誰が豚よ」
「ん? ひょっとして体重増えたとか?」
「ひょっとして図星?」
「人をブタブタ言ってるのが非常識なのよ」
「あんたが言う? ショタコン」
「真祖が魔法使いに傷を」
「ちぃっ!!」
「あ、後ろに離れました」
「逃げる気?」
「離れないと、あなたをぶちのめせないでしょ? 殴り合ったらあんたが強いんだから」
「やるっての?」
「そっちこそ、やる気マンマンじゃない」
「あのー、ちょっと。台本と違うんですけど」
「あ、監督降臨」
「丁度いいわ。ここで貴女をぶちのめして、第六法の日に備えてやる」
「じゃ、やろっか」
「あのー」
「真祖は無数の光を紙一重でかわしている」
「ですが、蒼崎さまに近づけていません」
「臆病者が!! 逃げるな!!」
「接近戦しか能がないくせに!!」
「近づければこっちのものよ!!」
「させるか!!」
「真祖が間合いを詰めるごとに魔法使いは間を開けていく」
「まさに静と剛のぶつかりあいです」
「二人ともいい感じに剛だと思うがな」
「あ、真祖の間合いに入った」
「そこだ!!」
「ちぃっ!」
「無駄よ。わたしの身体能力は全てにおいて貴女を上回っている。マーブル・ファンタズムを使わずとも、貴女などに負けはしない」
「ふーん、スカートの裾をちょっと破ったのが貴女の力? 大したものね。そんなんで勝った気になれるなんて」
「あの爺もそうだったけど、どうして魔法使いにはこう負けず嫌いが多いのかしら?」
「負けず嫌い? 負けたんでしょ? そして、今回も負けるのよ」
「なら、ちょっとだけ遊んであげるわ」
「また近寄れるとでも?」
「逃げるなど、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
「あれは、アルクェイドさんが光の線をかいくぐっています」
「まさか、真祖は黄金聖鎧の領域に」
「よく分かりません」
「あ、また間合いが詰まった」
「隙だらけなんだよ!!」
「くぅ!!」
「やはり、魔法使いなどこの程度のものか」
「言ってくれるじゃない」
「しかしだ、魔法使いと戦う時には一気に決着をつけることを決めていた。止めにはやはり、マーブル・ファンタズムが相応しい!!」
「それなら、こっちにも考えがあるわ」
「そ、外なる神!!」
「暴走しまくりです」
「はあああああああああああああああああああああ!!!」
「数十万条の光の束が全く効いていない!!」
「や、奴は化け物ですか?」
「って、殺す気マンマンです」
「この星ごと消し飛ぶかも!!」
「しまった!!」
「つまり、アザトースを吹き飛ばしたんですか?」
「作者的にはどうかしら? いくらなんでも、邪神を吹き飛ばすなんて作者がOKと思うわけないけど」
「それに関しては、あくまでマーブル・ファンタズムで作り出したものだから問題ありません。不完全なんですよ。真なる邪神がこんな下等生物に負けるわけないじゃないですか」
「邪神賛歌がすごいことになってる」
「アンフィニッシュド・ブルーは魔法なんですか?」
「さあ? 人気投票にあったのを利用したに過ぎませんから、なんとも言えません。勿論、第四かどうかも分かりません」
「いいかげんだな」
「それにしても、すごい爆発でしたね」
「煙が晴れた……あれは」
「いい様ね」
「く、首だけになってる」
「いい感じに消し飛んだわね。けど、生きてるみたいね」
「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!」
「げ、首から下がはえてきた」
「さすがは吸血鬼」
「だけど、魔法でやられた体がまともに動くかしら?」
「なめるなよ、今すぐ貴様の血で……うっ!!」
「言った側から転びましたね」
「た、立ち上がれない。足に力が入らない……頭痛がする……吐き気もだ……な…なんて事だ……このローマ皇帝が気分が悪いだと?」
「って、この期に及んでまだローマ皇帝ですか」
「意外なほどなりきってるわね」
「じゃあ、止めをくれてやるわ」
「マーブル・ファンタ――」
「遅い!!」
「ぐふっ!!」
「あ、あの方向は」
「って、しまった」
「おろかなり、リキニウス。ここが、コンスタンティノープルの近く、ということを失念していたようね」
「逃がすか!!」
「もう遅いわ!!」
「ちぃっ!!」
「さすがは、五大教会コンスタンティノープル。力が一気に戻ってきた。ああ、今はビザンティウムだったわね」
「みたいね。力がみなぎってるじゃない」
「服まで変わってるよ」
「では、ここからが本当の戦いだな。殺人ショーのスタートよ」
「言ってくれるじゃない。今度は塵すら残さないで極めてやるわ」
「二人とも、これが劇だ、てこと忘れてない?」
「わたしでも抑えていたと言うのに、羨ましい限りだ」
「ていうか、リキニウスとの戦いはこんなに激しかったんですか?」
「そんなわけないじゃないですか。あそこで魔法使わなきゃ、とっくに終わってるような戦いですよ」
「誰か止めないの? このままだと、劇が破綻するかもしれないわ」
「誰が間に入るんです? あのパワー、塵も残りません」
「もう一人の魔法使いは? あの老人ならこの二人にも引けはとらないかと」
「ああ、出番が終わったら多元宇宙に行っちゃいました。あくまでゲストだし」
「この飲血鬼!!」
「三流魔術師!!!」
「気にしていることを!!」
「あ、外れた光球が戻って来て、真祖の後頭部に直撃しました」
「自在拳ですか」
「中国拳法?」
「百年も生きていない小娘が!! わたしを舐めるな!!!」
「って、全然効いてません」
「年増が!!!」
「死ね!!」
「まだ生きてるわ!!」
「生かしといておるのだ」
「あんなこと言ってますけど、青子さまはいい感じにボコされていますね」
「間合いすらとれていませんね」
「個人的にはあそこで真祖に殺されてくれるとものすごく嬉しいのだが」
「危ないから離れましょう」
「って、こういう時こそ翡翠の追加パッチでしょ?」
「今回は無茶出鱈目の度合いの比重があっちに傾いていて無理そうです」
「それそれとして、このまま終わりそうですね」
「いえ、魔法使いにまだは魔法があります。それをなんとかしないと、勝利はおぼつきません」
「なんとかしろ、真祖。ぶっ殺してくれたら祝福してやるぞ」
「あれじゃあ、駄目ね」
「今度は塵も残さないわよ!!」
「メルティィィィィッ・ブラァァァァッドッ!!!」
「え?」
「く、想像以上の凄いパワーだな」
「だ、誰が残りました?」
「煙で分からないわ」
「晴れてきました」
「立っているのは」
「やーらーれーたー」
「ちっ、生きてやがる」
「アルクェイドさんは……」
「あそこよ」
「やった……………おわったのだ! 魔法使いはついに我が『ヤハウェ』のもとにやぶれ去ったッ! これで何者もこのコンスタンティヌスを超える者はいないことが証明されたッ! ローマ軍!! キリスト教!! フフフフフフフフッ マーブルファンタズム!!!
とるにたらぬ雑種、異教徒どもよ! 支配してやるぞッ!! 我が「知」と「力」のもとにひれ伏すがいいぞッ! 世界はこの朱い月のものだッ!!!!!」
「どうやら、一応、台本どおりに決着が着いたようですね」
「最後に本音が出てるし」
「どこがヤハウェなんです? まだ改宗してないはずです」
「雑種、て。あいつもにたようなものですし」
「母親がクラウディウス二世の血を引いている、とか聞きましたけど」
「そんなもの、捏造に決まってます」
「なるほど」
「それはさておき、リキニウスが投降してきたわ」
「白旗揚げる辺り、二人とも自覚あるみたいね。意外と余裕もあります」
「ひょっとしたら、アドリブなのかもしれませんよ」
「わたしもやりたかった」
「迷惑なアドリブよ。無意味に容量喰うし」
「まあ、ここまでやられたとあっては、降服しないわけにはいかないでしょ」
「命は助けてあげるけど、降服の儀式はやってもらうわ」
「で、具体的にはどうすればいいの?」
「全裸で首輪と目隠しつけて四つんばいで引っ立てられて、乳首に針を五、六本刺して、○○○と△△△の両方にバイブ突っこんで、快感にむせび泣きながら、靴を舐めて『何でもしますから、いかせてください』とかいってちょうだい」
「誰がするか!!!」
「冗談よ、冗談。膝まづいて許しを請えばいいから」
「分かったわ」
「くびり殺されただけで満足するか」
「さて、これでわたしの地位も安泰ね」
「鬼っぽいけど、まあ。リキニウスも似たようなことやってるからいいか」
「さて、今や不敬虔な男たちが取り除かれたので、太陽の光は以後、暴君の専制支配を浄化しました(中略)どこにおいても、すべての者が勝利者コンスタンティヌスを褒め称え、救済者であるこのお方の神のみを信じると告白したので、もはやかつての悪事の記憶はなかったのです」
「これはもう、ブラックユーモアの域に達してるわね」
「魔は滅びなければならないです」
「なぜにゴットライディーン?」
「陛下、クリスプスの軍、民、官における支持は大変なものになったわ。これで、後継者問題も安泰ね」
「……あいつの任地にコンスタンティヌスを送って。副帝として」
「え? コンスタンティヌスはあんたでしょ? ていうか、功績は無視?」
「息子に同じ名をつけたのよ。功績? そんなものは無視して、いいから送れ」
「分かったわ」
「あと、クリスプスをイストリア(イタリアの東にある半島)のポーラに呼びだして」
「父上、私に何の罪があるというのです?」
「自分の胸に聞いてみれば?」
「父上!!」
「公認早々に公会議か。早いわね」
「うむ、これ以降もこれで異端と正統で揉めるんだが、これがその最初の大騒ぎだな」
「これが最初の公会議、てわけね」
「そうだ。これ以降も現在に至るまで21回の公会議が召集されている。まあ、プロテスタントは最初の数回以外認めていなし、東方正教会は第八回以降を認めていないがな」
「皇帝の演説が始まるわ」
「我が友らよ、汝らの集いに与えることは、予の祈りの目的であった。そして、今やその願いが叶えられたのでは、予は万物の王に感謝の念を表明しなければならないことを承知している、何故なら、そのお方こそは、どんなものにも勝るこのよきもの、すなわち一堂に会した汝ら全てを歓迎し、全てのものによって共有される一つの見解を目の当たりにすることを許されたからである」
「キリスト教の保護者というのが名目になっているからな。一応、軍隊の祈りの言葉にも採用されている」
「なによ、このイカレタ軍国主義者が謳い文句にしそうな台詞は?」
「確かに、神に祈ってはいるが、皇帝、軍隊、勝利。以外のことは何も言っていないな。軍隊の意思統一のために言わせているだけなのかもしれん」
「カラカラ帝のせいでローマ市民権にあんまり魅力がなくなったことも理由みたいね」
「あんなことを言っているが、大帝は教義内容のことなどほとんど知らなかった。便利なキリスト教が分裂するのを好ましく思っていなかっただけだろう。そういう意味では、彼こそ公会議の創始者といえる」
「って、貴方は埋葬機関の女と違うわね。実は大帝嫌い?」
「好きになれるほうが珍しい。まあ、作者はこの手の人物は大好きなんだがな。教義の内容も知らずに召集するのには閉口したが」
「まあ、それもエウセビオスの手にかかれば、どんな言葉も知恵のある助言になるんだけどね」
「あの美辞麗句は凄まじいからな。大帝がまったくの別人だ」
「確か、これでも決着着かなかったのよね。この論争」
「うむ、コンスタンティヌス大帝とその後継者はこの後も、政治的な都合でアタナシウス派を支援したりしたからな。アリウス派を追放したりもした。この件に関する最終的な決着は381年のコンスタンティノープル公会議をまたなければならない」
「ちなみに、エウセビオスはここで大帝に始めてであったのよね。少なくとも、公式の場では」
「そのエウセビオスはまさに最悪の教会史家だ。その内容は出鱈目と誇張に富んだ素晴らしい出来の小説だ」
「なにそれ?」
「試しに、初期の教会史家エウセビオスの書いた『コンスタンティヌスの生涯』を『ローマ帝国衰亡史』にでも照らし合わせて読んでみるといい。こんな気分が味わえる」
「最悪」
「初期の教会史家がこれだからな。後も推して知るべきだろう。衰亡史以降の作品を読めば、その内容がさらに凄まじいものであることが分かる」
「あんた、本当に神父?」
「ここで暴走しては、埋葬機関の芸を奪うことになるからな。信仰とは切り離して考えている」
「それは立派ね」
「大帝の政敵が魔術や占いに耽って戦略を決めていたというが、この頃の皇帝は神秘性をまとうために形式的に行っていたことだからな。別に大した意味はないない」
「うーん、大帝の敵は徹底的に貶めてるわね」
「彼は素晴らしいまでの宣伝マンだからな。彼の著作をまともに信じては、ライバルたちは全て、史上屈指の暴君ばかりになる。その時点で、ほぼ全ての配役に困るな」
「大帝の配役にも問題が出てくるわよ」
「彼は権力者にへつらう最大級の俗物だからな。勢力を欲していたのだろう」
「そういえば、エウセビオスは大帝の隣に座ってるわね」
「権力への階段が近いからだろうな。それに、大迫害の際に宗旨替えをするなどをしたとも言われている。少なくとも、尊敬できる人物ではない」
「って、人が遠くにいると思って言いたい放題いってくれますね!!」
「仕方あるまい。全て事実だ」
「ガルウッルルルッルルウルルルル」
「だが、わたしは貴女の救世主殺しどもへの見解は全く問題ないと思っている」
「へ?」
「やっぱりそうですよね。邪悪なるユダヤ人は一匹残らず地上から掃除しないといけませんよね」
「そう、悪魔の民ユダヤに真なる教徒が奴隷となる必要は全くない。その逆は構わないが」
「き、教会て一体……」
「この出来事はどんな言葉をも凌駕するものでした。近衛兵と武装した兵士が、宮中の玄関口を取り囲み、抜き身の剣でそこを警護しておりました。そして、神の人たちは何の怖れもなしにこの者たちの間を突き進み、最奥の皇帝の間に入ったのです。
その場所で、ある者は皇帝と一緒に横臥し、ある者は両側に置かれた座椅子に座ってくつろぎました。それは想像されたキリストの王国の似姿であり、生活しているのは、現実ではなく夢であると想像されたに違いありません」
「国民の目が、二十周年祭に向いている隙に邪魔者を始末するわよ」
「ち、父上。私には貴方に対する叛意などありません。私を信じてください」
「叩き殺せ。犬のように」
「はーい」
「これでわたしの地位も安泰だな。ついでに、やつと姦淫の疑いのある妻ファウスタを殺せ。目障りだ」
「了解」
「■■■■――――!!!!」
「さすがのエウセビオスも、これには言い訳できないでしょ」
「そうでもないわ」
「ノーコメントです」
「そうきたか」
「さすがにこれに恐れをなした彼が、どんなことでも神に告白すれば許してくれるキリスト教に帰依したという説があるの。その時にコンスタンティノープルの建設を薦められたといわれているわ」
「これまでの所業を見てると、全然平気そうだけど」
「心臓に毛どころか、皮膚貼ってそうね。ついでに毛はワイヤー」
「同感」
「何を言っているんです!! 大帝はあまりにも純粋な心を持っていたが故に、口先だけの輩を採用して民に圧政を強いてしまったお方なんです」
「今更、そんなこと誰も信じないわ」
「しかも、それが大帝治世下の高い税金の言い訳になっているのよ」
「捏造か」
「しかも、彼の著作にはクリスプスは出てこないのよ」
「隠蔽」
「見ざる・言わざる・聞かざるです」
「これより、ノウァ・ローマの開都を宣言する」
「ノウァ・ローマ? コンスタンティノープルでしょ?」
「いいえ、最初は新しいローマの意をもつノウァ・ローマが都市名だったのよ。まあ、定着しなかったからコンスタンティノープルになっちゃんだけど」
「それにしても、思ったより人が少ないのね」
「そりゃあね。改装したての町だし。最盛期には三十万から四十万人がいたと言われてるけどね」
「それでも思ったより少ないのね。バグダッドみたく百万人はいたかと思ってたわ」
「これでもキリスト教圏の都市としては他に比類ないわ。ぶっちぎりで超越しまくっているのよ」
「人の少なさの割には、やけに豪華ね……ところかしこに、見覚えのある像や柱があるんだけど」
「当然よ。遷都のために片っ端から持ってきたんだから」
「なんですって?」
「だから、他のところから持ち出したのよ。勿論、異教の神殿はたてまくったし、教会からも何か使えるものはひっぱり出させたわ」
「な、なんでまたそんなことを」
「だって、見映えがよくないじゃない」
「うわ!! またかよ」
「驚くことじゃないわ。財政が逼迫してたから、結構やってたのよ。銅の神像を溶かして、貨幣を鋳造したこともあったわ」
「な、なんてことを」
「まあ、エウセビオスはそれを彼のキリスト教への帰依ゆえの正義の行い、とか言ってたけどね」
「そいつ本当に最悪ね」
「とりあえず、ここからローマは新たな時代に入っていったのよ。ちなみ、その使い道は派手な衣装代だったとか」
「おいおい、暴帝街道まっしぐらかい」
「しかも、美辞麗句を受けるのが大好きだったみたいね。こういうのはなんだけど、かなりの俗物よ」
「皇帝は神の知恵の霊にどこまでも満たされておられていたので。御自分の名を関した都がそれを示して見せるべきだと判断し、都からあらゆる偶像を一掃することが正義に適っていることだと判断されました。こうして都の何処においても、聖所で神々と見なされて拝されているものの像や、不浄な血で汚れた祭壇、火で全焼される犠牲、悪魔の祭り、その他の迷信を信じる者の慣習が消えたのです」
「本当に、薄ら寒い笑いがこみ上げてくるわ」
「それじゃあ、洗礼を受けるわ。誰かいない?」
「ここはニコメディアのエウセビオスにお任せを」
「ん? カエサリアじゃないの?」
「丁度同じ名前です。個人的には、こんなところで洗礼受けさせたくないんですが、仕方ありません。洗礼を受けてください」
「他の説によると、彼は死んでも改宗しなかったと言われているけど」
「いいんですよ、そんなことは。さっさと改宗しなさい」
「彼だけが、その生前や死後において、ギリシア人の間でも、万人の間でも、いや古代ローマ人の間でも、ほかの誰も手にしたことがないと人が言うようなものに値したのです。彼のような人物は全歴史がはじまって以来、わたしたちの時代に至るまで、記憶に残されていないのです」
「最後まで美辞麗句かい」
「全く、これだから教会の連中は」
「五月蝿いですね!!」