コートCD  レポート2006




コートCD(反射防止コートCD)の音質変化を実験データなどの

数値で確認したいと昨年より念願していたところ、

OJI Special パソコンPC/DPAT01(ディーパット01)の製作者

西出晃さんの協力で実現することができました −感謝合掌−

  

それにより、CDの読み取りで生じるC1・C2エラーや

ジッターなどの測定データを得ることができました

それで分かったことを報告したいと思います。

  

CDの読み取りエラーはご存知のとおり

CIRC (Cross Interleaved Reed-Solomon Code)

クロス・インターリーブド・リード-ソロモン・コードの

誤り訂正符合により非常に高い訂正能力で補正されます。

簡単に言うと、データを広い範囲に分散させて記録することで

読み取り時に欠陥でわからなくなったデータがあっても

それに近い正しく読めたデータを使って訂正することが出来る。

    

CIRCでデータをほぼ完全復帰することが出来るのですから

データ(バイナリデータ)だけで考えれば

データが同じなのだから音質が変化することはありません。

  

バイナリデータを簡単に説明しますと 

16ビットデータは 0〜65535までの数値で

表されますが、ビットで言うと

     0は 00000000 00000000

 65536は 11111111 11111111

この値のことをバイナリデータと言います。

16進数表記で言うと それぞれ 00H(Hはヘキサと読む)とFFHです。

22.05KHzの1LSB信号の羅列は

00H 00H 00H 00H FFH FFH FFH FFH 00H............

となります。左右の信号が交互に入っていますので

 16ビットが2ヶずつ記録されています。

   

但し、実際のCD盤には連続する 1 を避けるため8ビットを14ビットに

EFM変調された信号が記録(スタンプ)されています。ですからピックアップで

読みとったデータはEFM復調されて再び8ビットデータに戻されます。

例  01100100 → 01000100100010 → 01100100

    01111111 → 00100000000010 → 01111111

    

 

図1 C1・C2エラー(宇井かおりさんの「セレンディピティー」同じアルバム2枚の個体差)

縦軸がエラー数、横軸が時間(分)  

      

C1・C2エラー(図1参照)の測定で分かったことは

同一のCDなら何度測定しても時間と供に発生する

エラー数はさほど変わりが無く再現性があると言うことです。

従って測定の再現性も十分良好と思われます。

ただ同じアルバムCDでも同一でないとエラーの

発生数が異なります。ここではC2エラーは無いもののC1エラーは

438と503の違いが出ます。これはたぶんスタンプされた

ピットのスタンプ不良かアルミコートのアルミがのっていない

ピンホール抜けなどによる影響と思われます。

図2

図2のようなエラーが多いCDですとエラー訂正があっても

訂正作業によるノイズなどの悪影響が出る可能性があります。

    

それから測定データはありませんが

反射防止コートの有り無しではC1・C2エラーはほとんど

変化しないことがわかりました。

つまりコートしてもC1・C2エラーにはほとんど影響が無い

(増えても減ってもいない)のです。

勿論測定前にCDプレーヤーでコート有り無しの試聴を

していてコート盤の音質変化をはっきり確認していました。

と言う事はCD特有の付帯音ノイズや

微小音の消失と言う現象はC1・C2エラーの影響では

無いことになります。

宇井かおりさんのアルバム「セレンディピティー」のC1エラーは

とても少なく、数分間全くエラーの無いところさえあります

ところがコートCDの音の変化は最初から最後まで音が

出ている所は全て変化して聞こえます、良質と思えるCDでさえ

付帯音ノイズや微少音の消失からは逃れられないのです。

   

となるとやっぱりレーザーピックアップの

サーボノイズまたはジッター(時間軸のノイズ)なのか・・・・

今回、サーボノイズの測定は出来ませんでしたが、

ジッターの測定は出来ましたのでご覧下さい。

   

 

図3 ジッターの測定  左がコート無し盤、右がコート盤

 
図3はジッターを測定したものです。

ジッター値は絶対値測定はできないようなので

あくまで同一条件下の測定の相対比較となります。

コート盤ではジッターがコート無し盤よりも0.05減っていることがわかります。

これは他のCDを測定しても同じように0.05減ることが確認できました。

つまり反射防止は確実にジッター低減に寄与しているのです。

ジッター低減になる理由としては反射防止でレーザーピックアップ出力が

向上しより正確な時間軸の信号検出に役立っている可能性があります。

ただ、ジッターの低減は音質向上に繋がると言われているものの

ジッター値と音質の関係は 直接的な因果関係を示すのは難しく

更なる検証が必要になります。

    

最後に、CDプレーヤーでは明らかに違って(良方向に)聴こえる

コートCDですが、パソコンPC/DPAT01でデータをリッピングすると

コートしていないCDとの音質差がほとんど聴き取れません。

DPAT01の音質はコートCD同様、付帯音の消失、微少音の再生が

ありますが、その他に、揺るぎのない圧倒的な存在感を感じます。

たぶんこれこそがCDの持つ真のクオリティーなのかもしれません。

 それを考えると

同じ光学メディアのリアルタイム再生しかないSACDとDVD-Aは

誰も本当の音(デジタルデータ)を聴くことは出来ないのかもしれない

もったいない話です。