ここはとある国の王宮です。
国王ご一家は王様とお后様と3人の王子様。
3番目の王子様は、つい1ヶ月前におうまれになったばかりです。
お后様は上のお二人の王子様をおひとりの力でお育てになりました。
今回の3番目の王子様も同様にお育てになろうとしておられます。
が、今回はちょっと事情が違うようです。
お后様はたいへんながんばりやさんです。
これまでもお二人の王子様の子育ての傍ら、『隣国』の経営と運営に貢献なさった上に
『別国』におきましては、首相に続く筆頭大臣も務められてきました。
今、さらに自国にご自分専用のお城を建てようとなさっています。
そのいそがしさといったら・・・
第1王子のアルベルト様はご学業に専念され、第2王子のピュンマ様は幼稚園へ通われ・・・と、
自立なさっておいでなのですが、1ヶ月前にお生まれになった第3王子のジョウ様が、
これまた大変なやんちゃ王子なのでありました。
お后様は夜もゆっくりと眠れません。
眠れない夜は片手でジョウ王子様をあやしながら、
新しいお城の内装工事に取りかかっているのでありました。
「お母様、ただいまもどりました。」
第1王子アルベルト王子・・・小学校からのご帰還です。
「まあ、おかえりなさい。今日の学校の様子はいかがでしたか?給食はきちんと残さずに食べていますか?」
「はい、お母様。今日は算数のテストで100点をとりましたよ。
給食も残さずにたべました。でも、やっぱり大人がつくるお城の料理の方が僕は好きです。」
しっかり者の第1王子・・・さすがに長男です。齢7歳にして風格がただよっています。
「ほほほっ、コック長の張大人がきいたら喜びますね。今日はこれからどなたと遊ばれますの?」
「はい、ジェットくんとジェロニモくんが遊びに来ます。
ジョウが起きていたら顔をみにこさせてもよろしいですか?」
「かまいませんよ。」
「ありがとうございます、お母様。特にジェット君が気にいっているみたいなのです。」
「まあ、うれしいこと!もう少し大きくなったらいっぱい遊んでいただかなくてはね。」
ジェットくんはアルベルト王子の1番の仲良しなご学友です。
ジェロニモくんはとっても大きな体をしていて、まるで王子のボディーガードのようです。
そこに第2王子のピュンマ王子も幼稚園から戻ってきました。
元気よく走ってきてドアを開けます。
「お母様〜ただいま帰りましたです〜お弁当とってもおいしかったです〜またお肉のお団子を入れてくださいです〜」
幼稚園1年目の第2王子はまだ日本語が正確なようではありません。
「おかえりなさい、ピュンマ王子。また走ってかえってきたのですね。
お迎えのグレート侍従長は・・・またおいてきてしまったのですか?」
「あっ、ごめんなさい・・・またおいてきてしまいましたです・・・」
ピュンマ王子が失敗したというように方をすくめました。
「ホホホッ、元気があってよいですよ。あっ追いついたようですね」
「・・・ゼエゼエ・・・王子・・・少しゆっくりと走っていただけると・・・このグレート・・・ありがたいのですが・・・」
気の毒に・・・毎日のことはいえ・・・今日も息が切れているようです。
「いつもご苦労様ですね、グレート侍従長。」
「いえいえ、のこのこお后様。これが私の仕事ですので・・・さて、ピュンマ王子、今日はイワン先生のところに行く日でありますよ。」
「あっそうでしたです。忙しいです〜〜〜。」
急いで幼稚園カバンをはずして着替えようとするピュンマ王子。
「ピュンマ王子がんばって!張対人がおやつを作って待っているはずです。それを食べていってらっしゃいな。」
「はい、そうしますです〜」
パタパタパタ・・・また走っていくピュンマ王子をグレーと侍従長がヤレヤレといった顔でおいかけたのでございました。
さてさて、第3王子のジョウ王子は・・・ただいまお昼寝中・・・眠っているときは天使です。
お后様も同じことを考えておいででした。
昨日、二人の天使がジョウ王子の誕生のお祝いにやってきていました。
二人の天使は王子の誕生のお祝いにすてきな予言をしてくれていたのです。
二人の天使の蒼い瞳と紅い瞳が王子を見つめています。
「まあ、かわいい王子様だこと!」
「でも、やんちゃ坊主さんでもありますね?」
天使たちにはなんでもお見通しです。
「この王子にはすてきなお姫様があらわれますよ。」
「そうですね、やんちゃも腕白もすべて包んでくれるくらいすてきなお姫様です。」
「目印は亜麻色の髪でしょうか?」
「でも、この王子様はそれにはじめのうちは気がつかないかもしれませんね。」
「・・・少し天然かもしれません。」
・・・天使たちは遠慮がありませんでした。
のこのこお后様・・・喜んでいいのか、心配な種が増えたのか・・・複雑です。
それでも
「ジョウ王子様、あなたはだれよりも優しく強くすてきな男性に成長しますよ。」
との予言をもらってほっと一安心。
天使たちはお守りにしろい羽を残していきました。
のこのこお后様、ジョウ王子の寝顔をみながらそんな未来を考えます。
考えながら、『さて♪我がお城の運営も本格的に始動させねば・・・』と新たな決意を胸にますます元気なのこのこお后様なのでありました。
〜おしまい〜

