遥かなる未来にて〜面会の日〜 2


3ヶ月ぶりの再会で弾む会話の中、突然、ルナがアルベルトを振り返って尋ねた。

「ねえ、アルベルト?メールで音楽のホーマン先生の事を書いたけど、本当にここにいる事知らなかったの?」

「ああ、全くの偶然だ。俺もまさかあいつの名前を聞くとは思わなかったよ。」


「なんの話しだ?」

ジェットが口を挟む。

一瞬『不味かったかな』という顔をしてアルベルトの顔を見たルナだったが、アルベルトは『一向に構わない』といった風に話し出した。

「アルベルト、言ってなかったの?」

「学生時代に一緒に音楽をやっていたヤツがあの学校に先生としていたんだ。」

「へえ、そんなこともあるんだな。でも、なんでわかったんだ?」

「その先生がね、ほらあの曲、アルベルトが時々弾いてくれる『雪割草交響曲』を私達が知っている事がわかると、『誰から教わったか』ってきかれちゃって。アルベルトの名前を言ったら実は知り合いだったって訳。」


「ふうん。なるほどね。」

なんとなく納得顔のジェットを横目に、今度はジョ−がアルベルトに聞いてきた。

「そういえば、この子達を寄宿制の学校に入れてみようかって話しになった時、この学校を紹介してくれたのは、アルベルトだったよね。」

「ああ確かにそうだが、ホーマンの事まではわからなかった。ここは、セキュリティに関しては昔から評価が高いし、実際確実なんだ。それで、ここならと思ったんでな。」

「じゃ、以前からこの学校を知っていたって事?」

ソレイユが興味深げにアルベルトを覗き込んだ。

「そういえばここって旧東ドイツ領内だよね。もしかして・・・このあたりの出身なの?」

ソレイユの真直ぐな質問にアルベルトもすんなりと答えてしまう。


「ああ、実は、俺はあの学校の出身なんだ。遥か昔の事だがな。」


照れながらあまりにもあっさりと白状してしまうアルベルトに、ジョ−やフランソワーズ、ジェットの方が驚いている。

「そんな事初耳だぞ!なんで今まで黙ってたんだよう?」

例によって、ジェットが食ってかかるがアルベルトは、

「言う必要も無い事だ。」

とサラリとかわしてのけた。

「まあ、そうだったの。やっぱり懐かしいもの?」

フランソワーズが優しく微笑むが、

「正直よくわからない。あまりに昔のことだ。いい想い出ばかりとは限らんしな。」

少し遠い目をしたのでそれ以上は、誰もきけなかった。


話題を変えるようにジェットがルナに向かって明るく聞いた。

なあルナ?お前達が今着ているそれって制服だよな?初めてみたけど、良く似合ってるじゃないか。かわいいぜ。」

「そお?私もなかなか気にいっているのよ。ソレイユの方もかっこいいでしょ。ここの制服評判いいんですって。制服に憧れてここに入ったなんて言っている子もいるのよ。」

「もともとは男子校だよね。共学になった時に新しくデザインしたんだって。以前の制服は学校の資料館に展示してあって、見た事あるよ。今のコレとはちょっと違う感じだけどセンスはいいよ。なんか、こう・・・お坊っちゃま風でさ。実際ハイクラスの家の子が入っていたみたいだし。」


何下に言ったソレイユの言葉にすかさずジェットが反応した。アルベルトも『まずい』と思ったがすでに遅し。

「へえー、アルベルトってお坊っちゃまだったんだあ」

ジェットがニチャーと笑いながら言ったその顔は、まさしく『してやったり』 もしくは『一本頂き!』

それを聞いてソレイユも『しまった』と悟ってアルベルトをちらっと見たが、後の祭り・・・。


「このガキ、余計なことまで言ってくれたな。後で覚えてろ!」


 『ジロリ』と睨まれながら一括されて、そして固まった。それを見てジョ−が取り直そうとした時、

「あらっ。アルベルトおじさま!おじさまならきっとお似合いだったと思うけど?もうだいぶん古いみたいだから、生地もくすんでセピア色になっちゃってるけどね。それに、あの制服を着ている皆様、知的でとっても素敵よ。写真で見る限りでは。」


ルナの悪魔の囁き(?)のような爆弾発言にジョ−も凍り付くが、本人『全然なんともない』といった風にアルベルトの睨みを笑顔ではね除けている。

「まあ、そんな写真が残っているの?」

フランソワーズもこの悪魔の囁きに負けたのか、はたまたルナの笑顔に便乗しているのか、火に油を注いでしまっている。

男連中が凍り付いているこの部屋の空気をものともせず、アルベルトの鋭い睨みを全く気にする様子もなく、いや、すっかり無視して

「そうなのよ。何枚か集合写真のようなものがいっしょに展示されていてね、セピア色でとってもイイ感じの写真なの。ママン・フランも見てみたい?今度のデジカメで撮ってメールで送ってあげましょうか?」

女同士、盛り上がっていて廻りが見えないらしい。こうなっては、誰にも止められない。


 アルベルトは頭を抱えてしまった。凄みをきかせる気力も失ったようだ。

『・・・送るな・・・と言っても無駄だろうな。』


アルベルトの判断は極めて正しかった。


2、3日してフランソワーズをはじめメンバーのみんなは、少年期にアルベルトが着用していたであろう制服の写真を見る事となったのは、言うまでも無い。


Image


 ルナは無敵です(笑)

 アル兄様ごめんなさい!あなたを落しめるつもりで書いたんじゃアないのですけど(爆)


 尚、このお話が生まれるには段階がありまして(汗)

 その1 霜月様作『ゴキブリ掃討作戦 〜in ギルモア邸』にて1枚の写真が発見される

 その2 きんぎょ様の『セピア色の写真』でその真相が明かされる

 その3 森本様によってその写真が公開された

 そして遥かな時を経てソレイユとルナがその写真と同時代らしき数枚を新たに発見した


 と、以上の流れがございまして、(皆様お貸し出しありがとうございました)

是非とも、その1〜3を御覧になる事をお勧め致します!それぞれ、下の入口よりどうぞ!


霜月様の『ゴキブリ掃討作戦 〜in ギルモア邸』にいかれる方〜

(霜月様のサイト『霜月の小部屋』の小説のお部屋にございます)


きんぎょ様の『セピア色の写真』を読まれる方〜

(霜月様のサイトにございます)


森本様によって公開された写真を御覧になる方〜

(森本様のサイトに所蔵してございます)

↑霜月様のサイトにもございます