注:このお話は、『存在理由』の後日談・・・と言えるものです。

     フランソワーズの回想から、始まります。








『 封印 』


 双子達が、初めて私たちの戦いの場面に遭遇した。

 自分自身にむけられた銃口。

 投げ付けられた忌わしい言葉。

 間一髪のところで、難は逃れたけど、それは衝撃となって心に刻みつけられた。


 私たちの本質・・・

 ゼロゼロナンバー・サイボーグである私たちの逃れられない宿命・・・

 それは・・・「戦い」・・・


 私たちが、「戦う」ことを宿命づけられた「人間」であるように、その私たちの元に生まれついてしまった双子の運命。

 その戦いを目の当たりにしてしまうことが、避けられない・・・これもまた運命

 戦いの日々は割けられない・・・これは、もやは、私達にとってもそして、双子にとっても・・・宿命なのかもしれない。

 そう・・・それは、たとえ、自分達が「戦う」のでは、なくとも・・・。


 常に自分の隣に位置する「戦い」・・・それを、ついに目の前で目撃してしまった・・・アレはまぎれもない事実。


 身体への傷は避けられたけど、心には「ショック」となって表れてしまった。

 そして、それは、私たちにも衝撃となって重く被さってきたのだけど・・・。

 私達の杞憂を余所に、双子は柔軟な子供の心で、それをなんとか乗り越えてくれたようだった。

 正直、ほっとしたのは私たちの方・・・。

 今後も「戦い」は決してなくなりはしない。

 2人が、自分自身の力で理解して、ひとつひとつクリアしてくれなければ・・・。

 今回のように、避けようとしても避けられない場面がきっとやってくる・・・。

 どんな場面に遭遇したとしても必ず護ってあげる・・・改めてみんなは、自分の心に誓っただろう。

 こんな運命を背負ってしまったことを恨みもせず、私たちを「好き」といってくれた2人の心に答えるために。






 でもね、本当はあなた達が戦いの場面の遭遇したのは・・・これが始めてではなかったの。






 もっとずっと以前に、これよりももっと恐ろしい事が起こっていたの。






 それは、心に傷を与えただけでなく、肉体をも傷つけて・・・。






 でも、それは、今、ふたりの記憶の中には、残っていない。

 あまりにも急激で過酷な記憶だったから、その記憶をあえて消去してしまった。

 ・・・いや、消去とも違ったわね。

 それは一時的に、故意に、「封印」してしまったのだったわ。

 そう・・・それは封印された過去。

 いずれ、歳をおって自分自身で、感情を整理出来るようになれば、いつかは思い出すだろう・・・記憶。

 記憶が蘇る頃は、多分、理性でその感情おさえる頃が出来るだろう・・・記憶を封印したイワン本人が、そう言っていた。

 私たちが「戦う」本当の意味を理解できるようになっていれば、たとえ記憶が蘇ったとしても「わかってくれる」だろうと・・・。




 それまでは・・・封印する。そう決めた忌まわしい事件。


 それは、今回のようにあなた達に銃口が向けられた。そして、放たれた実弾。

 よく似ていたわ・・・状況は・・・。


 違ったのは、身体に傷を負った事と・・・あなたたちの襲い掛かった敵に対して、銃口を向けたのは・・・そして撃ったのは・・・


 ・・・わたしだったということ。

 そして、それをあなた達は、その瞳で「目撃」した・・・。 






 そして、それをあなた達は、その瞳で「目撃」した・・・。






 そう・・・あなた達を護るために、撃ったのは、私。


 ・・・躊躇も容赦もなく・・・




 あなた達が生まれて1年が過ぎた頃・・・初めて遭遇した誘拐未遂・・・あの時も私は、敵に容赦なく銃口を向けていた。手加減なんて、する余裕もなく・・・もっとも、そんなことをするつもりもなく。

 あなた達は小さすぎて、起こった事態が理解できていなくて・・・むしろフォローされたのは、ケアが必要だったのは、私の方だった。

 それから、この子達を鑑に乗せて、「手元」で護ってきた。




 ・・・なのに・・・




 同じ事が繰り返されてしまった・・・。

 今も思い出されるのは、あの時、なぜ?・・・という後悔。




 あの時、なぜ私ひとりで双子を遊ばせていたのだろう?

 安全を考えていつもは二人以上で上陸するのに。

 どうしてあの時だけ自分しかいなかったのだろう?

 いや?ちゃんとジョーがいっしょにいた・・・最初は。

 そう・・・思ったより暑くて、子供達の帽子を忘れてきてしまって、彼が取りに帰ってくれていた隙だった。

 ほんの少しの間のことだった・・・今になって考えてみれば・・・

 少しの油断、足りなかった配慮、なくしていた緊張、なにより・・・自分達が未だもって、BGから追われている、彼等にとっては「お尋ね者」のサイボーグであるという自覚が薄れていたこと・・・が、原因。






 そして・・・

 あの日あんなに暑くなければ・・・

 あんなに日差しが強くなければ・・・

 自分が帽子さえ忘れなければ・・・

 ジョーが側にいれば・・・




 きっとあんな事にはならなかったはず・・・


 2度と繰り返しては行けないこととして、自分の中で後悔として刻み込まれている。

 今も鮮明に・・・あの日のこと・・・。


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