「ジェット?お願い!助けて!今すぐにお金持って○○駅まで来て!」
ジェットの携帯電話に残っていた伝言。
着信時刻は、ホンの10分前だろうか?
自分の部屋に携帯を置き去りにしていたことに気付いて、モニターを覗き込むと、着信アリの表示。
留守電を確認すると、ルナからのモノで・・・残っていたメッセージは・・・。
何事がおこったのかと、あわてて、ジェットは、リダイヤルボタンを押していた。
トウルルル〜〜〜カチャ!
たった1回のコールで、待ち兼ねたようにルナの声が聞こえてくる。
「ジェット?よかった!やっとつかまった!」
動揺を隠さないジェットの声が、受話器越しの大音響となって、ルナの耳に伝わってくる。
「そんなに大声出さなくても聞こえているわよ?」
ルナは、思わず耳から携帯を遠ざけて、大声に対して反論した。
「だから?何があったんだって!?」
「ジェット?今、カードか現金、それと「オトナ」の身分証明書もってる?」
「へっ???」
ジェットは、自分の杞憂が、どうやら見当違いだったことを、落ち着き払ったルナの声から、やっと感じ取った。
「・・・何言ってるんだ?」
「だから、少しお金が必要なの。それと、「大人」も必要なの。」
「・・・よくわかんねえけど・・・両方一応もっているぜ?もっとも現金は・・・3万くらいだぞ?」
「十分よ。ジェット?「オトナ」よね?」
「ああ・・・いつもちゃんと財布にはいってらあ。」
「よかったあ〜。所で今どこ?」
「俺の部屋。」
「お願い!今すぐに、○○駅まできてくんない?」
「別に構わないが・・・今、暇だし。」
「やった!ねえ?『足』は何?」
「そこだったら、自前で・・・電車と徒歩だな?」
「ビックリした!ジェットの自前って言ったら、飛ぶしかないじゃない?・・・ドキッとしたわ!」
少々声をとがらせるルナ。
それも、もっともだ。
ジェットの自前の足といえば・・・誰もが『飛んできた』事を意味するのだと、認識しているのだから・・・。
<町中でどうやって飛ぶ気なの?・・・あっ・・・ジェットならやりかねないわ!>・・・等と、ルナの脳裏には、瞬時に考えが巡ったのであった・・・。
「必要なら?今から、そこまで「自前」を使ってみてもいいんだぜ?」
「いいわよ!お願い!大人しく電車できて!あたし達、改札を出たところにいるから。」
ジェットが、先程のお返し〜とばかりにイジワルをする。
「くくっ!」と軽く笑って、ジェットは通話を終了すると、言われたとおり、大人しく電車に乗り込むために、研究所を出た。
ルナに言われた駅で降りて、改札を出ると、その駅の目の前は、バスターミナルとなっていてた。
正面のガードレールに、器用に腰掛けたルナとソレイユが、ジェットに向かって手を振っている。
「早かったわね?ジェット。まさか・・・それ、使ったんじゃないよね?」
ルナは視線をジェットの足下に落とす。
「あのなあ・・・こんな町中で使えるモンなら・・・使い方をおしえてもらいたいもんだぜ?」
「あらっ?パパ・ジョーは、張大人のお使いで使っていたんでしょ?・・・町中でも?」
「そりゃ、一体何時の話だ?」
「さあ?・・・昔のこと?この前グレートおじさんが、そんなこと言っていたわ。」
「確かに・・・大人のパシリに使われていたようだぜ?アイツは・・・。 まあ、いっか・・・ところで?俺を呼びつけた用件は?」
・・・やっと本題に入るジェットだった・・・。
「そうそう!来てくれてありがとね!」
ガードレールからヒョイッと降りると、ルナは、とびきりの笑顔でまずは素直に礼を言った。
ソレイユもジェットの前まで歩いてくると、いきさつを説明するために口を開く。
「僕達だけじゃ『買えなかった』んだよ。」
「買えなかった?何が・・・だ?」
「「刃物!」」
・・・いつもながら、見事な唱和だ・・・
「ハモノだあ???」
思いもつかなかった単語を聞いて、素っ頓狂な返事を返してしまったジェット・・・。
道行く人の視線が集まる。
しばし・・・大衆の注目の的を化した。
・・・本人は一向にお構いなしだったが・・・。
「もう・・・恥ずかしいなあ。そんな大きな声だして!」
「おっ、お前達がとんでもないこと言うからじゃねえか?!」
周りの視線に負けないジェットの迫力・・・ついついソレイユが他人になろうと引き加減だ。
・・・それでも、とりあえず一言だけ反論してみる。
「・・・ジェット・・・落ち着いてよ・・・。ボク、恥ずかしいよおー。」
「あっ・・・?」
自分が目立っていたことに、やっと気付くジェット。
なにやら周りでは、若い女の子達がこちらを見て、クスクス笑いをしている。
「・・・やべえ・・・」
「全く・・・こっちよ。歩きながら話すから。」
ルナが、ジェットの腕をぐいっと引っ張った。
3人はそそくさと、とりあえず、その場を離れるために歩き出した。
「ジェット?安心して。何も物騒な事に使おうって言うんじゃないから。」
「あったりまえだろっ?そんなこと!」
ソレイユは、真剣なジェットの視線に気付いて、小さな声で、ゴメンと恐縮している。
問題な発言をしたのは・・・確かルナだったはずだが?当の彼女は・・・至って涼しい表情だった・・・。
「で?ちゃんと説明してくれ?」
「勿論よ!あのね・・・。」
