GS美神SS MS横島
横島「…………」
いつもの事務所、その屋根裏部屋で音を立てずに俺はベッドに座っていた。
沈黙の中、ぎし…と木の軋むような音がする。
! ルシオラ…?
思わず顔をあげた視界には………
おキヌ「横島さん………?」
横島「おキヌちゃん………!」
…馬鹿だな俺、ゴメンおキヌちゃん。
そんなことを考えているとおキヌちゃんが近づいてくる。
おキヌ「それ…小竜姫さまが持ってきた、パピリオの手紙ですね…?」
横島「ああ・・・! 読む?」
―というわけで私は今、小竜姫の弟子になって妙神山再建を手伝ってまちゅ。
修行もやらされまちゅがあんまりおもしろくありまちぇん。
でもま―おまえら人間と神族にはいろいろ借りもあるし、おかげで成長も出来るらしいので将来のためにつきあってやってまちゅ。
ベスパちゃんは本人の希望で魔族の軍隊に入りまちた。
だもんで、もうあんまり会えまちぇん。
でもルシオラちゃんのことはすごく気にしてると思いまちゅ。
…私も気にしてるからでちゅ。
生き返ったらすぐに知らせてくだちゃい。
ついしん―アシュ様と土愚羅様に私の代わりにお花をあげてくだちゃい。
おキヌ「『パピリオより』―」
横島「…泣かせるよなあ…!」
そこで俺はいたずらを思いついたガキの様な顔をして振り返った。
横島「ホレ、受け取れ!」
土愚羅「花をそなえるよりわしが回収されたこと伝えてやらんかいっ!!」
怒っている様な泣いている様な顔(顔しかないけど)で叫ぶ土愚羅を見て、もうちょっとからかうことにした俺は
横島「でもどーせ廃棄処分だし……」
そう言ってやった。
土愚羅「なんでわしだけ死刑なのよっ!? わしがアシュ様に絶対忠実なのはそうプログラムされた兵鬼にすぎんからで―」
おキヌ「土愚羅さんのことなら…」
ああ……教えちゃダメだっておキヌちゃん。
土愚羅「ホレみろホレみろっ!!」
横島「………」
ゆっくりと右手に収まっている淡く光るホタルをみつめる。
横島「結局、ルシオラだけが……!」
おキヌ「結局、十分な量の霊破片はとうとう集まりませんでしたね……もう…あとほんのわずかなのに…!」
おキヌ「よそから霊体を持ってきちゃダメかしら…?」
土愚羅「バカ言え! 基本量が確保できとらんと別人になるだけだ!」
横島「くそっ、俺の中にルシオラの霊体は山ほどあるのに――!! 何で使えねーんだよ!?」
土愚羅「魔物ならともかく、おまえは人間だからな―――そう何度も粘土みたいにちぎったりくっつけたりでは魂が原形を維持できんのだ。」
!………魔物!?
横島「なあ土愚羅……一つ聞いてもいいか?」
土愚羅「ん、なんだ?」
おキヌ「横島さん?」
横島「魔物に…俺が魔族になる方法ってあるのか?」
おキヌ「よ、横島さん!?」
土愚羅「ホンキか?」
横島「そうすれば…そうすればルシオラを助けられるんだろ!」
おキヌ「横島さん、しっかりしてください! 何を…何を言っているか分かってるんですか!?」
美神「ちょっと、なにさわいでるの!小竜姫さま達もいるんだから静かにしなさい。」
美神さんが来るとやっかいだ、今のうちに………
おキヌ「美神さん! 横島さんが………」
横島「行くぞ土愚羅!」
文殊 【転】【移】
カッ!!
美神「ちょ…何っ!!
美神さんの声はもう聞こえない、もう戻れない…戻る気も無い。待ってろよ…ルシオラ……
おキヌ「………というわけなんです。」
少し落ち着きを取り戻したおキヌが話し終えると同時にその場にいる内、三人が反応を示す。
小竜姫「ちょ、ちょっと待て下さい! 横島さんは魔族になると…そう言ったんですか?」
美神「あのバカ…」
美智恵「彼らしいわね、方法はともかく………」
小竜姫「………そうですね。でも、横島さんは魔装術は使えませんし、人間が魔族になる方法なんて……」
ワルキュ「…まさか!?」
美神「何、ワルキューレ心当たりでもあるの?」
皆の視線の集まる中、ワルキューレはベレー帽に手を添え、うつむいて沈黙している。
ワルキュ「…………すまん、失礼する……」
そう言うや否やワルキューレの姿が掻き消える。
美神「ちょっ、ワルキュ……まったく」
小竜姫「わ、私のほうでも調べてみますから……じゃ」
イライラしている美神の視線を受け、引きつった笑顔を見せながら、ワルキューレとは違った音をたてて小竜姫は姿を消した。
美神「ああああぁ、どいつもこいつも………」
美智恵「落ち着きなさい令子。まず西条君や横島君の知り合いのGSに連絡をとりなさい。」
美神が出て行くと、蚊帳の外だったおキヌがおろおろと美智恵にたずねる。
おキヌ「あの…私はどうしたら……」
美智恵「横島君のアパートの方に行ってもらえる? もし戻っていたら連ら……」
おキヌ「はい、行ってきます!」
美智恵「………まったく、彼は人気者ね……」
美神除霊事務所の入り口から飛び出したおキヌは横島のアパートへ向かって走っていた。
その前方から二人の男性が歩いてくる。走ってくるおキヌに気付いたのか、一人が話し掛けてくる。
ピート「あれ、おキヌさん。何所行くんですか、事務所に集まるのでは?」
おキヌ「わたし…はぁはぁ、横島さん、はぁ……アパートへ、行か…ないと、………」
最後に周りには聞こえないような声で横島の名を呟くとまた走り始める。
それを見たピートは隣にいた唐巣神父に視線を移す。
神父「………行ってあげなさい。美神君の方は私が行くから…彼女を手助けして上げなさい。」
ピート「はい、先生。」
そう言うとピートはおキヌを追いかけ、横島のアパートに向かった。
そしてアパートに着いた時、ピートの目の前には死にそうな顔をしたおキヌと、その前で泣き崩れる小鳩の姿だった。そこで初めて事情を知ったピートは呟くように………しかし力強い声でおキヌ達に話しかける。
ピート「行きましょう…妙神山に、小竜姫さまならきっと………きっと横島さんの居場所を見つけてますよ!」
おキヌ「そう…ですね、行きましょう小竜姫さまの所へ、そして……横島さんの所へ…………」
ピートの言葉に顔を上げて答えるおキヌ、そしておキヌの前にいた小鳩がそっと立ち上がる。
小鳩「私も……私も連れてってください!!」
日本の南に位置する無人島に横島は四人の人影に話し掛けていた。
横島「悪いな、お前等まで巻き込んで………」
雪之丞「あまり気は進まんが、勘九郎ようには成らんというから手伝うだけだ。」
タイガー「横島さんわしら友達ですケン、雪之丞さんはただ照れとるだけジャ!!」
パピリオ「何言ってるんでちゅかポチ、ルシオラちゃんを生き返らせるでちゅから他人事じゃないんでちゅよ!」
ベスパ「私のほうもルシオラを生き返らせることに依存は無いからね。」
ベスパとパピリオが意見を言った時、横島の顔は曇っていた。
横島「……ベスパ、パピリオ…お前ら本当に良いのか、俺がやろうとしている方法は………」
ベスパ「知ってるよ、土愚羅様に聞いたさ。魔族を殺してその力を結晶に蓄えていく…その結晶を飲み、お前の魂を魔族の物へと変質させる………そういう方法なんだろ。」
横島「そうだ、魔族を殺さなきゃいけないんだぞ! お前等に魔族を裏切らせるなんて…」
ベスパ「気にするな、さっきも言ったがこれは私の望みでもあるんだ。」
パピリオ「そうでちゅ、いまさら言うことじゃないでちゅよ。」
横島「ありがとう、皆これからよろしく頼む。」
にっこりと微笑む横島の後ろからドクターカオスとマリアが歩いてくる。
カオス「おい小僧、メシが出来たぞ。」
横島は声をかけてきたカオスをあっさり無視すると、後ろにいるマリアにむかって礼を言った。
横島「ありがとうな、マリアが来てくれて助かったよ。何しろ誰もまともな料理が出来ないからなぁ………」
苦笑しながらマリアを見つめる横島に心なしか表情を柔らかくしたマリアが話し掛けてきた。
マリア「横島さん・マリア・横島さんの・役に立てる・嬉しい。」
横島「そ、そう、わははは…なんか照れるな。」
土愚羅「おまえ、相当なタラシだな……わしはこれからエネルギーを溜める結晶を作るが―――方法はどうするのだ? アシュ様レベルの魔人を倒すのか、並程度の魔族を倒しても100人ぐらい倒さんとエネルギーが足りんぞ!」
パピリオ「そういうことなら決まってまちゅ。アシュ様にも勝てたんでちゅから………」
雪之丞「ここはアシュタロスレベルの…」
横島「いやじゃー! あんな化け物と戦って死んだらどうする、命あってのモノダネやぞ!! もちろん並みのムカツク魔族をちまちま倒して溜めていくにきまっとろうが―!」
全員「…………おまえって…」
妙神山頂上付近に息を切らせた3人の姿があった。
おキヌ「はぁはぁ……小鳩さんもう少しですよ。」
小鳩「はい………横島さん、私…私、頑張ります!」
喋る余裕のある2人に対し、1人余裕の無い男がいた。
ピート「ゼェゼェ…」
ピート(よ、横島さん…僕は貴方を尊敬します。 こんな荷物を持ってこの道を登ったなんて!!)
ピートが弱気なことを考えている中おキヌは鬼門に開けて貰っていた。
おキヌ「小竜姫さまー! はーん、どこ行っちゃったんですか!!」
小竜姫「こっちですよ、おキヌちゃんにピートさん、あと……???」
奥の部屋から手招きする小竜姫はちょっと困った顔で言いよどむ。
小鳩「あ、すみません。私、花戸小鳩と申します。」
小竜姫「はぁ、小鳩さんですか? 失礼ですけど普通の人にしか見えないのですが…」
おキヌ「小竜姫さま、関係者なんです……よ・こ・し・ま・さんの!!」
小竜姫「ピクッ…そ、そうですか……私はよ・こ・し・ま・さんの最初の師匠を務めました、小竜姫です。」
小鳩「ピクッ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
ピート「か、かんじんの横島さんが何所に行ったのか分かったんですか?」
青い顔をしたピートが悲鳴に近い声で聞くと、3人のうちの一人…小竜姫が笑顔で答える。
小竜姫「そうそう、そうです。ヒャクメを脅してにお願いして調べてもらったんです。横島さんの居場所は分かりましたから、これから説得に行こうかと思っていたんです。」
全員「小竜姫さま、私(僕)も連れて行ってください!」
コンコンッ
神父「美神君失礼するよ。」
美神「先生! あれ、ピートは?」
神父「ピート君はおキヌちゃんの手伝いに行かせたよ。それで一体何があったんだね。」
美知恵「それは私の方から説明し…」
エミ「ちょっと令子! オタクん所の横島がウチん所のタイガー連れてったと思ったら、オタクから電話で呼び出すなんていい度胸なワケ!!」
美知恵「……………………」
話の途中で邪魔をされた美知恵は視線を娘へ向ける。周りの視線を一身に受けた美神は焦ったように言う。
美神「ち、ちょっとエ…」
冥子「きゃーん令子ちゃん〜! またせちゃった〜? あれ〜、みんな〜どうしたの〜」
美神「冥子、ちょっと黙ってなさい!」
冥子「え、えっ、令子ちゃんなんで怒ってるの〜? 怒らないで〜! 令子ちゃんに怒られたら私〜私〜。また式神が暴走しちゃう〜〜っ!!」
あきれた様子で見ていた美知恵は近くで呆然としている唐巣に声をかける。
美知恵「…………ふぅ、唐巣神父もこっちでお茶でも飲みません?」
神父「い、いいのかねこのままで……」
美知恵「みんなでじゃれてるだけ…ほっときゃそのうちやめますわ」
素知らぬ顔でほほほっと笑っている美知恵を見て唐巣はつぶやく。
神父「変わらないなぁ君は…。」
ベスパ「ポチ、私の眷属が侵入者を発見した、小竜姫たちだ。」
石の上に座った横島は、ベスパの報告を聞いて項垂れるとつぶやく。
横島「やっぱり最初は小竜姫様とヒャクメか…」
ベスパ「ちがうヒャクメじゃない、おキヌとハーフバンパイアの男、それに人間の女だ。」
ベスパが横島の考えを覆す。
横島「お、おキヌちゃん!? 力ずくで止めに来たんじゃないのか、それに人間の女って……」
目を見開いて驚く横島に少しあきれた声でベスパがたずねる。
ベスパ「で、どうするんだ、始末して良いのか?」
横島「良くない良くない、戦いに来たんじゃないみたいだし…話してみよう。」
動物の鳴き声も聞こえないほど静まり返る森の中、四人の足音だけが響く。沈黙を破ったのは小竜姫だった。
小竜姫「みなさん、少し休みましょうか。」
ピート「そうですね。小鳩さんもいることですし、それがいいと思います。」
小鳩「す、すみません、私のせいで……」
小竜姫「大丈夫ですよ、横島さんならもう気が付いてこっちに向かっているはずです。」
おキヌ「え、どうしてそんなことが……」
小竜姫「気が付きませんでした? さきほど妖蜂が飛んで行きましたから、そろそろ…」
ガサガサッ
音がした方へ皆潤んだ視線を向ける。
おキヌ「横島さん!!」
おキヌの声に葉音を立てた人物が出てくる。
美神「おキヌちゃん、私とあんなにカッコイイ横島君を間違えちゃダメよ!」
出てきた人物を見た小竜姫たち四人は盛大にコケた。
一番回復の早かったおキヌは大きな声で叫んだ。
おキヌ「何やってんですか横島さん、美神さんのお面なんか被って!!」
横島「あ、ばれた。」
小竜姫「あ、あ、あ、当たり前です! 何考えているんですか!!」
途中ですがあとがき
MS(魔族専門スイーパーの略です。けっしてモビルスーツの略ではありません)横島を
読んで頂き、ありがとうどざいます。
一応エピローグ:長いお別れのところから書いてます。もうちょっと続くんですが
私は昼の2,3時間と週二日の夜しか時間が無いためもあり、はっきり言って筆が遅いです。
しかも国語の成績が5段階中2かほとんどは3でしたからすっごい駄文なのは自覚してます。
だから怒らないで下さい。
感想と文句のおありの方は掲示板のほうにお願いします。
ちなみに続きはこのままこのページに書いていこうかなぁと思っています。
それではまた