脳梁離断術が脳に与える影響
「左右の大脳半球の最大の連絡線維を切断して、脳に悪い影響はないのですか?」これが皆様の感じられる最も多い質問です。それに対する答えは、「脳の機能を救うために脳梁を切断するのであって、大脳機能は改善することはあっても悪化することはありません」。小児の脳梁離断術に対する、手術前後の大脳機能の検査はわれわれの施設でも毎回行いますし、外国からも詳しい論文が報告されています。
その結果、思春期前の小児では、脳梁離断術により大脳機能が悪化することはほぼ皆無と考えて良いでしょう。逆に8割以上のお子さんで何らかの改善が見られます。改善の程度は患者さん一人一人によってかなりばらつきがあります。手術前の脳の状態が良いほど、手術後の改善も著しいようです。逆に、手術の時期が遅すぎて、手術前に大脳機能が荒廃しきっていると、手術によりもたらされるメリットも非常に少なくなります。
つまり、脳梁離断術はまだ大脳機能が極端に障害されないうちに施行されれば、単に転倒発作の抑制のみならず、きわめて良好な大脳機能の改善が期待できる手術です。逆に、効果のない薬物療法を長年にわたって継続し、患児の言語機能が喪失してしまうまでに脳が障害されてしまうと、手術により転倒は消失しても、余りめざましい大脳機能の改善は期待できません。
手術後に発作が再発することはないのか?
脳梁離断術の効果は、基本的には永続すると考えて良いでしょう。しかし、手術直後は脳の状態が不安定なために、転倒発作以外の発作が増加したりすることがあります。手術効果が安定するには、大体半年くらいを要します。半年経過して得られた手術効果は、ほぼ永続すると考えて良いでしょう。しかし、脳梁離断術はてんかん焦点を切除したわけではありません。てんかん波の主要な通路を遮断しただけですから、片方の脳からだけの発作は残ります。特に、捻れる発作は残存する発作の中で一番厄介なものです。
はげしくからだが捻れると、転倒発作に近い形で患者さんは倒れ込む場合があります。ビデオ記録で観察すると、いわゆる転倒発作ほど激しくはなく、怪我をすることはまれですが、倒れることには変わりはありません。このようなねじれの発作(姿勢発作)は、多くは前頭葉から発生します。右に捻れる場合は、左の前頭葉の焦点を疑います。左に捻れる場合は右側の前頭葉です。
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