てんかん発作の中でも最も重症な発作型が転倒発作です。転倒発作は、突然激しく倒れ、しばしば骨折などの外傷を伴うのが特徴です。勢いよく前のめりに倒れることもあれば、どしんと尻餅をつくこともあります。なかには、ドアをばたんと閉める音だけで発作が誘発される患者さんもいます。
このような転倒発作は、小児の重症てんかんにしばしば見られます。代表的な重症てんかんとして知られているレンノックス・ガストー症候群においても、転倒発作は特徴的な発作の一つとなっています。
転倒発作は、てんかん発作の中で最も怖い発作です。転倒発作が怖いのは、単に倒れるから危険であるという理由だけからではありません。転倒発作を反復すると、次第に大脳機能が低下していくという、きわめて深刻な症状を伴うからです。

左右同期性のてんかん波
転倒発作はなぜ起きる?
このような転倒発作はなぜ起きるのでしょうか。転倒発作を持つ患者さんの特徴は、脳の広い範囲にてんかん焦点が分布していることです。左右の大脳半球のてんかん波が、脳梁を介して急激に同期することにより転倒発作が生じます。
脳梁とは何でしょうか。図を見ていただくと分かるように、脳梁は左右の大脳半球をつなぐ大きな連絡線維です。脳梁は、しばしばてんかん波の重要な通り道(伝播経路)となります。左右のてんかん波が脳梁を介して急激に共鳴する現象を、てんかん波の同期化と呼びます。脳波上では、左右のてんかん波が全く左右対称型に同じ形をして出現するのが特徴です。私たちが調べた結果では、転倒発作を持つ小児の80%でこのような左右同期性の異常波が非発作時にも記録されました。
これは、発作を起こしていないときの脳波で見られた数字です。転倒発作が起きるときは、おそらくどの患者さんも、左右の脳が一瞬にして激しい同期性のてんかん波に襲われ、瞬間的停電状態になると推測されます
左右大脳半球を連絡する脳梁
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