【日本接吻大全】





  目次

・はじめに

・基本二十手

・近代の接吻


  はじめに

我が国には古来から「接吻」という文化がある。
そして我が国にとって「接吻」とは、とても重要な意味を持つ。
すなわち「接吻」とは、人前ですることははばかられ、物陰に隠れて行われる二人だけの神聖な儀式である。
お互いの愛を確かめあい、絆を深めあい、あるいは他の異性と「接吻」する事で刃傷沙汰や裁判沙汰に発展する事もある。
そう言った意味で、欧米の「キス」とは比べられないほど奥ゆかしい、美しい文化であると言えよう。

しかしその奥ゆかしさのせいか、「接吻」の仕方がわからない日本人が多い。
隠れて「接吻」をし、その事は口にもはばかられるので、誰にも教わる事ができないのである。
そのため、日本人は一人ひとりがこっそり「接吻」の仕方を考え、それを実行してきた。
結果、我が国には様々な「接吻」の型がある。
古くから伝えられているものだけで二十種、さらには近年発明されたものを含めれば数え切れない。
この「日本接吻大全」は、その接吻の型のうち「基本二十手」と「近代の接吻」を記すものである。




 基本二十手
基本とされる「二十の型」である。
全ての接吻の基礎となっており、我が国の常識でもある。
最近では「基本二十手」を知らない若者が増え、分をわきまえない接吻を平気で見かけるようになった。
この項はそんな若者たちに是非知っていてもらいたい、最低限の知識である。


【接吻せっぷん

最も基本的な型で、最も一般的に行われる型でもある。

お互いの口と口をくっつけるという単純なもので、一般に「接吻」と言えばこれの事を指す。

初心者向けの型である。






【遊舌ゆうぜつ

舌を使った接吻の、最も基本的な型。

お互いの舌を伸ばし、絡め合う。

唇はつけないという純情さが奥ゆかしくも狂おしい。






【接吻様せっぷんよう

口以外にする「接吻」のこと。

恋人以外にも使われることが多い。

額や頬、手の甲などが一般的だ。






【天橋立あまのはしだて

「遊舌」の一種。

長く伸ばした舌を絡め合う。

その舌と舌が作り出す橋は荘厳かつ繊細。






【絆きずな

「遊舌」の一種。

「天橋立」で伸ばした舌を、優しく結びつける。

恋人同士が約束をする時にも使われる。






【花鳥風月かちょうふうげつ

「遊舌」の一種。

「天橋立」で伸ばした舌を、蝶々結びにする。

「遊舌」の中でも特に美しい形とされている。






【百舌落としもずおとし

高所から相手めがけて飛び降り「接吻」をする。

ダイナミズムを追求した接吻である。

中級者向けの型である。






【松竹梅しょうちくばい

片方が逆さになって「接吻」をする。

かなりの「吸い付き」を要するので、初心者には向かない。

高くまっすぐにそびえる「松竹梅」はシンプルながら美しい。






【大車輪だいしゃりん

「松竹梅」の一種。

二人で側転をするように「接吻」をする。

動きながら接吻できるので、忙しいカップルなどが好んで使う。






【枝垂れ柳しだれやなぎ

「松竹梅」の一種。

片方が横になって「接吻」をする。

「松竹梅」ほど頭に血が上らないので、近年ではこちらの方が主流になっている。






【竹蜻蛉たけとんぼ

「松竹梅」の一種。

「枝垂れ柳」の状態から、竹蜻蛉のごとく横回転をする。

敵に囲まれた時に使うとよい。






【猫じゃらしねこじゃらし

「接吻様」の一種。

猫のように首の後ろを甘噛みする。

癒し系な接吻として人気が高い。






【獅子じゃらしししじゃらし

「接吻様」の一種。

獅子のように首の頸動脈に喰らいつく。

SM系な接吻として人気が高い。






【姫林檎ひめりんご

「接吻様」の一種。

姫林檎をかじるように額を噛む。

初心者向けの型である。






【富士林檎ふじりんご

「接吻様」の一種。

フジ林檎をかじるように相手の顔にかぶりつく。

顎を外す技術を要するので、初心者にはお勧めできない。。






【大蛇うわばみ

「接吻様」の一種。

大蛇のように首まで飲み込む。

食べちゃいたい、という表現のルーツでもある。






【八股大蛇やまたのおろち

「接吻様」の一種。

八股大蛇のように足まで飲み込む。

かなりの熟練を要する接吻である。






【色即是空しきそくぜくう

接吻から「色」の概念を取り除いた接吻。

「空」を感じて「接吻」をする。

かつて学会で賛否両論の大論争を巻き起こした型。






真 色即是空しん しきそくぜくう

「色即是空」の一種。

「空」を感じて「接吻」をする。

人は相手がいなくても接吻はできる事を証明した型。






【勇者ゆうしゃ

「色即是空」の一種。

「うんこ」を使った接吻。

これを乗り越えた物は勇者と呼ばれ、思う存分賛美される。




以上が「基本二十手」である。




 近代の接吻
20世紀は接吻の世紀であった。
様々な革命家が登場し、多くの名接吻が産まれたのである。
ここに、少ないながら代表的なものを記す。


【リングりんぐ

「舌の魔術師」と呼ばれた山本姉弟の接吻。

「遊舌」と「色即是空」を組み合わせた接吻である。

伸ばされた舌は自らの口へ帰り、なんともいえない趣深さをかもし出す。






【らせんらせん

「リング」の続編。

山本姉弟は「らせん」でメジャーデビューを果たした、いわば出世作。

舌と舌が絡み合うようで触れない、絶妙なテクニックが求められる接吻である。






【ループるーぷ

「リング三部作」の最後の作品。

そのまま山本姉弟の遺作となった。

逆向きに伸ばされた舌はなぜか哀しく、永遠に相手を求めて彷徨い続ける。






【イン・ザ・スカイいん・ざ・すかい

接吻に鉄棒を用いた初めての技。

アトランタオリンピックで高野・水島コンビが使った事で有名に。

人類の飽くなき空への憧れは「イン・ザ・スカイ」よって完遂された。






【イン・ザ・スカイ2いん・ざ・すかいつー

「イン・ザ・スカイ」失敗時にとっさに出した舌が絡んだもの。

結果的には高得点となり、高野・水島にシドニーのメダルをもたらした。

ちなみにこの時は「百舌落とし→松竹梅→枝垂れ柳→竹蜻蛉→イン・ザ・スカイ2」のコンビネーション。






【月島流 色即是空つきしまりゅう しきそくぜくう

「色即是空」の第一人者、月島名人の接吻。

「正の気」と「負の気」を感じ「接吻」する。

ここから月島の飽くなき探求が始まった。






【直立不動ちょくりつふどう

「月島流」の名を轟かせた接吻。

何もせずに「接吻」する。

この型を身につけるには、少なくとも40年の歳月を要する。






【考える人かんがえるひと

月島流の迷走期の接吻。

ただひたすら考える。

この月島名人をかたどった彫刻は、あまりにも有名である。






【無

月島流接吻の極地。

この後、月島は謎の失踪を遂げてしまう。

残された椅子はつまり「接吻」である。




他にも、相手を逃がさない「キャメルクラッチ」や「八股大蛇」で飲みこんで勢いよく相手を吐き飛ばす「カタパルト」、「遊舌」の極み「AYATORI」など多くの技が存在するが、ページの都合上割愛せざるを得なかった。
もっと詳しく勉強したい方は「続・日本接吻大全」や「はじめての接吻」、「いけない人妻・午後の情事(フランス書院)」を特にお勧めする。




参考文献
・日本書紀
・聖書
・カーマスートラ
・接吻抄(滝沢馬琴)
・東京大学物語(江川達也)





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